1話 脱走ですかい?
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「はぁっ、はぁっ」
とにかく走る、この場所から逃げ出すために。
出口がどこにあるか分からないが、とにかく走ってドアを開けようとして鍵がかかっててを何回も繰り返す。
「っ、いたぞ!!被験体042だ!!!早くこっーー」
「はあああっ!」
こちらの存在気づいた職員が、大声をあげながら銃をこちらに向けようとした。完全に銃口が向く前に抑え、跳び膝蹴りを放ち顎の骨を砕く。
「うぐぁ!」
「...ふぅ」
「おい!あっちから声がしたぞ!」
「くそ!シェリーさん、早く逃げよう!」
休む暇もなく、また次の職員の声が聞こえる。この場に留まることはできないので、一緒に逃げている女性に声をかける。
「はぁ...はぁっ、ん、あなた、どんだけ体力あるのよ」
「ウイルスに感染してからだよ。ほら、早く走ろう!」
早く休ませてあげたいけど、出口どころか隠れる部屋すら見つからない。
「どうすれば...ん?」
先ほど顎を砕いた職員を見ると、「001」と書かれたカードが胸ポケットから出ていた。
さっき開けようとしてダメだった部屋が「012」だったはず...もう少しで行けるな。
「シェリーさん、あと少しで休めるかも!」
「ホントね?信じるわよ?」
「うん!行こう!」
彼女の手を取って走り出す。
001...001...あった!急いでドアに駆け寄り、横にあるカードリーダーにあてる。
ピー
どうやら無事開いてくれたようだ。
「どうだっキャッ」
「ごめん早く隠れなきゃ」
もうヘトヘトの彼女を引っ張って部屋に滑り込む。
俺が042と呼ばれるように、001にも誰かいるのだろうか...。
「おいおい...なんだいあんたら?人様の部屋に勝手に上がり込んで、ここはホテルじゃないんで勘弁してくだせぇよ?」
「す、すまない...今追われてるんだ。匿ってくれ!」
「...まさかあんたら、この施設から脱走しようとしてるのかい?諦めなよ、ここはそこら辺の警察署より厳重ですぜ」
「それでも俺は行かなきゃならないんだ!...う」
そこで初めて001の部屋にいた人物を見て、たじろいでしまった。横を見ると、シェリーさんも震えていた。
純粋な殺傷能力。
男はただそこにいるだけなのに、自身の能力を他者に知らしめている。こんな人間がいるのか?まずいな、ここは安全な場所じゃないのか...。
「頼む、彼女だけでも見逃してくれないか?」
「...ん?おいおい、あっしは何もしやせんよ。人を勝手に判断して失礼なあんちゃんだ」
「あんちゃんって...君は僕より年下なんじゃないか?」
目の前の男はまだ幼さを残した顔立ちでいた。
なのにあの威圧感があるから、余計歪に見える。
「関係ないでしょう?あっしからしたら、あんちゃんは格下なんだから」
「ぐ...俺より格上な君でもここからは逃げられないと?」
明らかな差は分かってても、ハッキリ言われると来るものがある。
「いんや?余裕だね」
「じゃあ、俺たちとーー」
「嫌でさぁ、あっしは仲間が迎えに来るのをゆっくり待ってればいいんでね」
「そこをなんとか「居たぞ!001室だ!早く002を連れてこい!」くそ!もう見つかったのか!?」
001の男と話していると、職員に見つかってしまった。職員2名と俺たちと同じ服を着た男が1人入ってくる。くそ、このまま終わるのか?
俺は打開する策をひたすら考えていた。
誰なんですかね。




