26話 ぴきーん
アズマver
ちくしょう...なんで俺だけしょぼい能力なんだよ...俺が何したってんだよ!
みんな慰めてくるのも何なんだよ!いい能力かも知れないだろ!
「ま、まぁまぁアズマくん、覚醒なんて二の次よ。大切なのは戦闘能力だわ」
「キシシ、そうだよアズマ、能力なんて関係ないよ...」
ゾワッ
「うぉっ!?」
「どうしたんですかアズマ氏、髪の毛なんか立てて無理に覚醒ぶらなくていいんですよ?」
「失礼だな!なんかゾワッとしたんだよ...もしかして、会長とネコ嘘ついてます?」
「「うっ...」」
「くそが!...あれ?なんで今俺嘘がわかったんだ?」
「ふむ...アズマ氏、私どっちにコイン持ってると思いますか?」
ハツメが俺の前に左右の手を握りしめて差し出す。
「え?そんなの分かるわけーー」
ゾワッ
「うおっ...右?」
「正解です...次は?」
「うーん、うぉ...また右?」
「次」
「う...左?」
「次」
「...右」
「次」
「左」
「次」
「左」
「次」
「...うん?持ってない?」
「次」
「左」
「...全部正解ですね、アズマさんすごい!」
「う、うん、す、すごいですよアズマさん」
「いや、逆に怖えよ、何でこんなに当たるんだハツメ?」
ハツメはまたアゴに手を添えて考えている。さっきみたいに結論を出してくれるのかな、ただ運が良かったとか嫌だよ?
「私の考えで言うと、アズマ氏は直感が恐ろしく鋭くなったと思います」
「「「「直感?」」」」
「はい、あくまで私の仮説ですが...Pウイルスの覚醒って人間が本来持っている能力を最大限引き伸ばすものだと考えています。」
「ご、五感と、とかですか?」
「はい、ダッシュ氏の言う通りです。他にも、ダッシュ氏のように体の一部分を変化させたり、私の予想では骨を固くすることができる能力者もいると思います。あとは体内の組織を組み替えて皮膚を硬くしたり、治癒能力をあげたり...中には能力者自身も耐えきれないようなものもあると考えています」
「なるほどね...でもそれだとアズマくんは」
「へ?」
「そうなんです。どれにも属さない能力で、どちらかというと迷信的な方なんですよ」
「つまりどういうことなんだハツメ?さっぱりわからんぞ」
「はぁ...レアな能力ってことです。ネコ氏の能力は【サーモグラフィー】アズマ氏は言うなればーー」
ゾワッ
パンッ
そういうとハツメは、俺に向けてポケットの中で銃を発砲してきた。撃たれた俺は何故か自然と頭を伏せていた。
「【第六感】ってところですかね?」
「...まじか」
弾は当たらなかった。俺は無意識に弾を避けていたのだった。
「本当にすごい能力だったのねアズマくん」
「キシシ、よかったねアズマ」
「あっちゃんがカンチョーしたかいがありましたね!」
「...おう」
「かの偉人が感じていた虫の知らせや、剣豪が持っていた相手の攻撃信号察知なども、第六感が起因しているという諸説もありますね」
「...おう」
静かにしている俺を見て、会長たちは不思議そうにしていた。
「どうしたのアズマくん?嬉しくないの?」
「いや」
「アズマ氏もまだ実感がないので、困惑しているんでしょう」
「いや...お前銃で俺のこと撃たなかった?」
「...?はい撃ちましたけど」
「危ねえだろ!?まだ攻撃察知については試してもなかったよね!?なんで何も言わずに撃っちゃってんの!?」
こいつ自分の予想に自信ありすぎだろ。
あと何でお前銃持ってんだよ。色々怖くて放心状態だったわ。
ついに明かされた。
主人公の能力です。
伏線とかはないので、予想もクソもないですよね。




