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パンデミック起きたけど生き残る気力がない  作者: ちぐい
二章 ろりと犬とダッシュと編
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22話 ぱぁんっ

部屋を見渡すと、5人の中学生ぐらいの子供がいた。(はるお込み)

意外と俺たち以外にも生きてる奴はいるんだな。

全員俺の来訪に驚いているようで、ポカンとした顔でこっちを見ている。てか隣のやつ大丈夫か?穴という穴から液体漏らしまくってるけど...。

まあ、盗人に情けなんていらねえか。


「俺のカバン盗んだ奴出せ」


「は、はぁ!?お前誰だよ!いきなり窓割って入ってきやがって...はるおのことも殺しやがった!」


「いや、生きてるだろはるおくん。Pウイルス持ってるようだし」


流石に俺も中学生殺すほど怒ってないしな。まぁ、軽くボコボコ(半殺し)にしたけど。他の2人も気絶してるからパンダに襲われないように信号機に吊るしといてあげたし。


「息してねえんだよ!人殺し!」


「...え?まじ?」


はるおを見てみると、青白い顔で白目を剥いていた。


......


「だ、だだだだだだ大丈夫だろ?」


「ふざけんな!心音も聞こえねえぞ!」


「おいはるお!起きろ!起きないとぶっ飛ばすぞ!」


パァンッパァンッとはるおを張っていると目を覚ました。

......っぶねぇ、ヒヤヒヤしたぜ。


「はっ!?ここは?」


「おいはるお!大丈夫か!?」


「さっきまでおばあちゃんと話してたのに...」


「お前のばあちゃん去年死んでるだろ!?お前三途の川行ってるじゃん!」


危うく中学生を殺すとこだった。まぁ、なったらなったでいいんだけどさ。

はるおの無事を確認すると、さっきから騒いでた男はこちらを睨んで詰め寄ってくる。


「おいてめぇ!どう落とし前つけてくれんだ、あぁ!?」


「早く鞄返せ」


「話の通じねぇやーー」


パァンッ


「え、痛」


もう面倒くさい、会長たちが見てたら怒りそうだけど暴力で解決してくか。


「ちょまーー」


パァンッ


「わ、私女のーー」


パァンッ


「ま、またおれっ」


パァンッ


「へ、へへっはひっ」


「...」


パァンッ


4人張ってやった。女?関係ねぇよ。媚びてきやがってムカつくぜ。

4人って足りない?いや、なんか漏らしてる奴がヘラヘラして自分でビンタしてたから引いて触ってない。はるおは勿論ビンタした。


「...とりあえず、全員正座」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

中野ver


さっき窓ガラスが割れた音がしてから、言い合うような声が聞こえその後嘘のように静まり返った。


「中野くん...逃げなよ」


「な、なな、何で?」


「中野くんならどこまでも逃げられるでしょ?私のせいで逃げられなかっただけじゃない」


琴吹さんが小さな声で話しかけてくる。

もともと、このグループは同じ中学校のクラスメイトだった。みんな仲良しグループ...僕を除いて。


でも、このパンデミックが起きた時、たまたま琴吹さんを助けたことから、一緒に生き残ろうと()()()仲良く生活できていた。


災害発生から2週間、たったそれだけで人間が壊れていく様子を見ていた。

リーダーの最上くんは、最初はみんなで助け合おうと違うグループの生存者とも共存していた。

それが食料を得るために他の生存者から盗んだり、時には殺して奪うようになってしまった。まだ食料も余裕があるのにだ。


それを琴吹さんは注意し続け、ある日...それで完全に最上くんを見限った琴吹さんから逃げ出そうと打診を受けた。

しかし、琴吹さんが風邪をひいて今にいたる。


「私のせいで、ごめんね...もうあなただけでも逃げて」


彼女が震える声で、語りかける。

外にいるのは、天使か悪魔か。


「だ、だだ、大丈夫だよ。こ、琴吹さん。君はここでまっ、待ってて」


「だめよ!せめてここにいて!危ないわよ!」


「い、いいんだ。琴吹さんは、ゆ、唯一僕の喋り方を馬鹿にし、しないでくれた。あありがとう、す、すきっ、好きです!」


「...へっ?」


「き、きき気持ち悪いよね?こんな、奴にす好かれるって、ごごめーー」


「うれしい」


「へ?」


「こんなボロボロにされた私でもいいの?」


涙を流しながら返事をしてもらえた。僕は世界一幸せなのではないだろうか?


「うん!う、うん!どんな琴吹さんでもか、関係ない!ぼ、僕は琴吹さんがす、好きだ!」


だからこそ。


「だ、だからこそ!」


行かなくてはならない。


「い、行かなくては、ならない!」


「待ってよ!やっと気持ち伝えたばっかりなのに!」


大丈夫だよ、琴吹さん。僕は今誰にも負ける気がしない。それに、最上くんたちは変わっちゃったけど。強さは変わらない、騒ぎを解決しているかもしれない。


そうだ。喋り方を馬鹿にしない人だっていたんだ!希望を持って生きればまだ僕たちはーー


ガチャリ


「...あ?犯人みっけ」


「........ぁ」


希望のドアの先は絶望だった。

天使でも悪魔でもなく、そこにあるのは死のみ。

呼吸をするのにも許可が要りそうな部屋の真ん中には、全員正座させている、殺意の権化がいた。


ま、まだだ!さっき希望を見つけただろう!理由を説明すればわかってくれるかも?


「あ、ああの。かか、鞄をと、とったのはーー」


「ハキハキ喋れぇ!聞こえにくいんだよ!」


終わった。







「す、すみませ、ん。僕の、僕の話し方、へ、変ですよね?」


「ちげえよ!そんなもんどうでもいい!声が小さい!」


あれ、終わってない?

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