6話 しゅっぱつ
短いです。
出発は明日だから、今日はレイと一緒にハツメに会いにきた。
「ハツメー、いるかー?」
「なに普通に女の子の部屋に入ってるんですか、訴えますよ?」
「やれるもんならやってみやがれ」
「あ、菜々氏!」
「ごめんなさい」
「冗談ですけどそんなに怖いんですか…」
一悶着の間レイはずっと俺の後ろに隠れている。
「おいハツメ、お前まさかレイにも解剖とか言ってねえだろうな?」
「心外な!私がレイちゃんにそんなことするわけないですよ!アズマ氏じゃないんだから」
「俺は別なのね…ほらレイ、俺らの博士だぞ」
「…はかせ?」
「話すのは初めてかな?レイちゃんはじめまして、私は椎名Chloe発芽です。よろしくお願いします」
「クロエの発音いいのが無性に腹立つな」
「…くろえちゃん」
「うっ!」
ハツメは突然両膝をついて口を押さえて涙を流し始めた。
「どうした?死ぬのか?」
「死にませんよ!」
「…だいじょうぶ?」
「大丈夫だよレイちゃん、ただ私の最年少ロリキャラがこうも早く奪われるとは…」
「お前小学生に何言ってんの!?」
「後輩キャラはあずさ氏だし、ロリキャラはレイちゃんだし…」
ぶつぶつ呟いているけどもうほっとく。
「ハツメ、レイのフェーズを見てもらいたいんだが」
「私は何キャラ…ハッ、なんですか?」
「だからレイの感染段階を聞きたいんだけど」
「ああ、間違いなく10割いってますね、今は気持ちが安定しているようなんで大丈夫ですが、気持ちが不安定になると結構まずいですね」
………
「そうか…あ、そうだ。レイ、お前の家族に会いたいか?」
「…?かぞく?」
家族という単語を聞いて不思議そうに首を傾げる、可愛いなちくしょう。
「レイの父さんや母さんのことだぞ」
……
「…わからない」
「は?」
「…どうやらレイちゃんはショックによって混乱して記憶を失ってるみたいですね、こうなったら待つしかないですよ」
「…そうか、レイ、ここにいる人達はみんなお前の味方だ。困ったらみんなを頼っていいからな?」…
「…けいじは?」
「あ?俺は…俺もお前の味方だ。でもな?俺みたいにいつ死ぬかわからない奴よりも他のやつを頼った方がいいぞ」
「…けいじしんじゃうの?」
そういうとレイは少し悲しそうな雰囲気を出し始めた。
「うっ…」
「アズマ氏…流石に子供にそれは可哀想ですよ」
「うるせえ!…そうだなぁ。じゃあ約束するか!俺はレイが一人で生きられるまでは死なない!」
「…ほんと?」
「ああ、指切りげんまんだ」
「…うん」
そうして俺はレイの驚くほど小さい小指と指切りげんまんをした。ほんと、いつ死ぬかわからないんだけどな。誰かなんとかしてくれ。
その日はレイの簡易的な健康診断をするだけして、部屋に帰って眠りについた。
――――――――――――――――――――――――
目を覚ます。今日はモールに探索しに行く日だ。本当は死ぬほど行きたくない、文字通り死ぬかもしれんからな。
準備は済んでるが、ある問題が発生した。
「…はぁ、レイ。離してくれ」
「…やだ」
レイが服の裾を掴んだまま離さないでいた。もう!この子どこまで可愛いのかしら!
「俺はそろそろ行かなくちゃいけないんだ」
「…やだ」
そんなことを繰り返していると、会長がこっちに来た。
「レイちゃん?アズマくんは強いからちゃんと帰ってきてくれるよ?」
「…やだぁ」
「レイちゃん…」
「会長、大丈夫ですから他の奴らのとこに行っといてもらえますか?」
「…頼んだわ」
会長が去ってから、膝を折ってレイと目線を合わせて頭をガシガシ撫でる。
「レイ」
「やだ」
「昨日俺は死なないって約束したろ?それを信じないってことはお前は俺との約束を破るってことでいいのか?」
「…やだ」
「じゃあ信じろ、俺は死なん。お前に合う服とかも持ってきてやっから、大人しく留守番していてくれ、な?」
「……うん」
本来俺はこんな事言うような奴じゃなかった。俺はレイに影響を受けていたのだろうか。まぁそれもいいな。もう一度レイの頭を撫でて会長たちのところに向かう。
「アズマくん、大丈夫なの?」
「うす。でも死ぬわけにはいかなくなっちまいました」
「そうね、みんなもそうよ!帰りを待つ人が私たちにはいる!だから必ずみんなで帰るのよ!じゃあ行くよ!」
「「「「「はい!!!」」」」」
士気を高めて外に向かう。この時の俺はまさかあんなことがあるとは思っていなかった…。
すいませんすいません!俺の中の亀さんの所為なんです!時間かかるくせにつまんなくてすいません!




