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パンデミック起きたけど生き残る気力がない  作者: ちぐい
二章 ろりと犬とダッシュと編
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閑話 エイプリルフール

この話は本編と一ミリも関係ないんで、読まなくても大丈夫です。こういうのめっちゃ好きなんで書きました。ふと思い立ってしまったので。間に合ったやでー。

「返事なんてこれくらいでいいだろ、別にあんたじゃなくても助けてただろうし」


「あなたにとっては誰でも変わらなかったかもしれない。でも私は違う。()()()が助けてくれたから()()()が私の命の恩人なの」


「なに?哲学の話?」


「そんなに難しい話じゃないけど」


 ムスッとした表情で睨んでくるけど可愛いだけだな。睨むってのはあの猫かぶった会ちょ…なんか背中がゾクっとしたからやめておこう。腹も減ってることだし。


「ねえ、名前教えてくれない?」


「俺の?」


「他に誰がいるの…」


「東 京次」


「私は神崎詩乃。よろしくね」


「おー」


「…」


「…」


 え?何この気まずい感じ。今日のゴタゴタで忘れてたけど、会長達にも言ったように俺他人との会話苦手だったわ。神崎も早く帰ってくんねえかな?


「ねぇケイ、一つ聞いていい?」


「…」


「…ケイ?一つ聞いていい?」


「…」


「…どうしたの?」


『ハーイ!カットカット!東くん!何やってんの!』


「すいません!セリフ忘れました!」


「しっかりしてよ東くん」


「すいません神崎さん!」


 今は映画『パンデミック起きたけど生き残る気力がない』の撮影中だ。初めての映画で失敗ばかりして怒られまくっている。今日もセリフ飛ばしたし、この後めちゃくちゃ監督に怒られるんだろなぁ…。


 ――――――――――――――――――――――――


「もういいよ!じゃあ明日もあるから台本読み込んどいて!」


「はい、すみませんでした…」


 こってり絞られた後、撮影場を出て家に帰る。はぁ、こんな映画の何が面白いんだよ!くそ!あのハゲ親父小指をタンスの角にぶつけろ!


「東くん」


「ひぃ!?すみませんすみません!小指ぶつけなくて大丈夫です」


「何言ってるの?」


「…なんだ神崎さんか。なんでもないですよ」


 監督(ハゲ)じゃなくて俺より一つ上の神崎詩乃さんだ。監督(ハゲ)は演技にリアルさを出すため、とか言って本名を使わせている。そこら辺はどうでもいいんだけどさ。


「ならいいんだけど…東くん、この後暇?」


「へ?いや、暇っちゃ暇ですけど」


「わかった。じゃあ飲みいこ」


「はい?」


「なに?この私とは飲めないの?」


「ひぃ!?お、お伴しますよお嬢様」


「決まりね。店は取ってるから行きましょ」


 この人は苦手だ。顔が整い過ぎていて近寄り難いし、演技以外じゃ常に無表情でなに考えてるかわかんないからな。


 ――――――――――――――――――――――――


「ほんとあの監督は厳しすぎるんれすよ!」


「東くん、お酒そこまで強くないのね」


 はい、酔いました。だってこんな美人と飲むと緊張してペース狂いまくりだもん。役作りのために始めたタバコを加えて火をつけると、先の方がチリチリと鳴り、口内に煙たい臭いが広がるので紫煙を吐き出す。


「何言ってるんれすか!まだまだ飲めますよ!」


「ふふ、はいはい、明日に響かない程度にね」


「…」


「どうしたの?」


「あ、いや、神崎さんも笑うんだなって…」


「失礼だなぁ。私だって楽しいと笑うよ?」


「す、すみません」


「いいよ。自分でもあまり笑わないのは知ってるから」


「そうっすか…」


「タバコは普段から吸うの?」


「いや、この役始めてからですね。でも辞められなくなりそうです。嫌ですか?」


「別に、どっちでもいい」


 タバコの話題だったのに、まるでこの世の全てに興味がないというような表情をしている。そんな表情でも絵になるのはさすが人気女優と言ったところか。


「神崎さんって、趣味とかあるんすか?」


「んー、特にないかな?あまり熱中することもないし」


「じゃあ彼氏とかは?この間週刊誌に撮られてましたけど」


「あはは、あれはしつこい先輩から誘われて嫌々行った時にね。彼氏はいないよ、なに?私に気があるの?」


「いやいや!そんな滅相な!」


「ふーん、私は結構興味あるんだけどなぁ」


「へ?」


 この人なんて言った?あの国民的女優である神崎詩乃が俺に興味があると?ま、まさかそんなわけねーよな?はは、そんなわけないに決まってる。

 タバコを挟んでいる手が震える。演技をする仕事なのに動揺が隠せない。なにを無駄な夢を見てんだ。


「そもそも私が飲みにさそってる時点でなにか思わなかったの?」


「あ、あー、俺映画とか初めてなんで特には…」


「ふふ、どう?私が東くんのこと好きかどうか当ててみる?」


「新人いじめて楽しいですか?そんなん好きじゃないに決まってますよ」


「それはどうして?」


「俺の顔は神崎さんに群がってくる野郎と比べると、月とスッポンですもん。今回だって目が絶妙に死んでいるって理由だけでキャスティングされてますし」


「まぁ…うん、そうだね」


「少しは否定してよ!」


「はは、平均よりは全然かっこいいよ?」


「そ、そうですか」


「何照れてんの、可愛くないよ」


「辛辣…」


「確かに、私に言い寄ってくる人は昔からカッコいい人ばかりだね。でも、あまりに見過ぎで慣れちゃってるの。ここまでくるとある程度の顔があれば見た目は気にしなくなるわ」


「そんなもんですかねぇ…」


「東くんはどうして俳優さんになったの?どうせ人気になって色んな女性とお付き合いしたいからだけど」


「そ、それだけじゃないですよ!」


「それは否定しないんだ…まぁそのクズさが東くんっぽいね」


「絶対あんた俺の嫌いでしょ!」


「ふふ、好きよ」


「はひ?」


 頭の中が真っ白になる。もう何も考えられない、飲み過ぎだな、帰ろうか。


「ちょ、ちょっとちょっと!何帰ろうとしてんの!」


「あ、すみません。なんか意識飛んでました」


「ふふっ、そういうところかなぁ」


「え?」


「東くんって面白いんだよね。目は死んでるくせに楽しい人なんだよ」


「それだけ…?」


「それだけだよ。人が恋に落ちるのに確かな理由なんてないんだから、それはこの私にも同じで気づいたら東くんのことを目で追ってた」


「まじで言ってるんですか神崎さん?」


「詩乃」


「は?」


「詩乃でいいよ」


「し、詩乃さん…」


「んー、まぁ最初はそれでいっか!それで?私と付き合うの?もし考えたかったら、返事はまだ後でもいいよ」


「ま、まだ現実味がないんであとでいいですか?」


「…意気地なし」


「後でいいって言ったじゃん!?」


「男ならビシッと決めなさいよ!」


 ――――――――――――――――――――――――


 店を出て2人で歩く。衝撃的すぎて酔いはとっくに冷めてしまった。だから隣を歩く詩乃さんを見ても酔いのせいで見てる幻覚じゃなくて本物だとわかる。


「よし、じゃあこれからよろしくね?」


「ほぼ強制でしたけどね」


「なに?嫌なの?」


「いや、なんつうか…まだ現実味がんむぅ!?」


「…ぷは、これで信じた?」


 まじかよこの人。キスかましやがった…。めちゃくちゃ柔らけえじゃねえかこんちくしょう!


「ハイ、シンジマフ」


「ふふっ、ほんと面白いなぁ」


「そんなにですか?」


「面白いから好きなのか、好きだから面白いのか、どっちだかわかんない。でも、そんな小さなことはこれから確かめていけばいいでしょ?ケイ」


 そう言って笑う彼女は、この世に存在する何よりも可憐に見えた。俺はこれからこんな人と付き合っていけるのか…幸せもんだよ。


「ケイ?聞いてるの?」


「あ、すみません。なんですか?」


「だから、今日って何日か覚えてる?って」


 そう言われてスマホをだして時間を確認する。そこには「4月1日0:23」と表記されていた…は?


「騙しやがったな!女狐!」


「あはは!ひどい言いようね」


「くそぅ!俺の純情を弄びやがって!てかキスまでしてどんだけ体張ってんだよ!」


「ぷ、くふふ。ごめんごめん、でもケイ聞いて?」


「なんすか…もう何も信じませんよ」


「私がケイのこと好きって言ったのは日付超えるまえだよ?」


「…」


「どうしたの?」


 ニヤニヤしながらこちらを見てくる。この人、こんなに笑う人なのかよ。


「…」


「んー?ケイはどうしたのかなぁ?」


「めちゃくちゃ好きだよ馬鹿野郎!絶対俺が幸せにしてやるからな!楽しみにしとけよ!」


「うん、そうする」


 この人を幸せにする。世界一は無理だけど絶対に「幸せだ」と言わせてやる。死ぬ気でこの人の幸せを作りあげてやる。


「でも、ケイが仕事無くしたら私が養ってあげるよ」


「俺の覚悟台無しにしないで!?」

ありがとうございました。映画オチでみんな幸せ、とかいうの好きなんですよねぇ...

え?そんなん書いてんなら本編もっと書いて文章力を成長させろ?ハッハッハごめんなさい...

これからもよろしくお願いします。

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