3話 ばらし
あざす
歓迎会の翌日、現在マンションの一室に数人集まっている。これから何が始まるかと言うと…
「さて、会議をしましょう。今後私たちはどうするか、決めていきます」
前に学校で会議した時の面々が集まっていた。初めて見る人もいるが、代理の人だろう。怪我で動けないか死んだかのどっちかだな。
「まずは現状の確認ね、並木さんお願いします」
「はい」
そう言って立ち上がったのは眼鏡をかけた真面目そうな女子だ。確かこの人は生徒会のメンバーだっけ?
「書記の並木です。前回の会議では生存者が64人いましたが、現在50人に減っています。そして、昨日歓迎会を開いて私たちの仲間に入った人数を合わせると、70人です」
結構多いな。
「マンションの部屋はまだ余裕がありますが、電気節約や安全のために、今は自由に部屋を使ってるけど今後は最低でも2人以上同じ部屋で過ごしてもらいます」
「もちろん例外もあるわ、ちゃんとした理由があれば一人で使っていいわよ」
まさかパンデミックが起きてからでも悪魔の言葉『2人組作って』を聞くとは思わなかった…まあネコと組めばいいか
「あ、戦力になる人は安全のために散らばってもらうわよ。マンションのどこで問題が起きても駆けつけるようにね、例えばアズマくんとネコくんとかは同じ部屋にはなれないわ」
「はい終わった終わった」
「キシシ、わかりました」
ちなみに会議に参加している人たちの中にネコに対して何か言う人はいない、思っていても言わないのは偉いな。ネコに対して裏切り者とか言う人に言った会長の「お前より使える」発言はさすがに痺れたなぁ。こういうことも言えるからあの人は人望があるんだろう。
「食糧に関してはまだ余裕がありますが、今後のために蓄えておく必要があると思います。これで現状報告を終わりにします」
「ありがとう並木さん。部屋組みに関しては後でやるわ。次は猛から言うことがあるらしいわよ」
そう言うとタケさんが立ち上がる。あの人が人前で話すの初めて見る、珍しいな。
「あー、食糧に関して一つ提案がある。自家栽培をして少しでも食糧を増やそうと思う、何人か手伝ってくれれば後は俺が監督して作る、以上だ」
「はい、以上で終わりです。あとで手伝ってくれる人がいたら猛か私に声かけてね」
そんな人いるんだろうか。タケさんがこっちをガン見してくるけどそんな人いるんだろうか。
「じゃあ最後に、近隣の店やここから数キロ離れたとこにあるショッピングモールに食糧とかを探しに行く班の有志を募るわ。最初の探索は3日後になるから行きたい人はそれまでに教えてください…では解散!」
「「「ありがとうございました」」」
洗礼された挨拶を聞きながら俺も部屋に帰ろうとする。あ、部屋組みどうしよ。ぼーっとしながら歩いていると、ハツメがこっちに向かってきた。
「アズマ氏、このあと暇ですか?」
「なんだよ、別に暇だけど」
「ではこの後私の部屋に一人で来てください」
「えっ」
えっ
「実はアズマ氏にお願いしたいことがあるんです」
そう言うとハツメは足早に帰っていった。若干頬を赤く染めていたな…いやいやいや、まさかそんな訳ないでしょ!ねぇ?奥さん!…一応寝ぐせ直しとこ。
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ハツメの部屋に向かうと、ドアの前にネコが立っていた。
「よ、よう。ネコも誘われたのか?まさかの3pか…」
「…アズマは何考えてるんだい?」
「いや!別に何も!」
「キシシ、アズマも来たことだし入ろうか」
「あ、待ってまだ心の準備が!」
ネコがドアを開けて入っていってしまったので仕方なく付いていく。中に入るとハツメが高そうなイスに座って待っていた。お風呂入っていい?
「待ってましたよお二方。実はですね、あなた達に頼みたいことがあるんですよ…」
「ちょっと待ったぁ!」
「アズマ氏、いきなりでかい声出してどうしたんですか?」
「悪いなハツメ…やっぱり俺はお前みたいな小学生に興味ないんだ」
「な!?誰が小学生だ!というか何考えてるんですか!?私もそんなつもりは微塵もないですよ!このエロガッパ!」
「そこまで言う?」
「キシシ、やっぱりアズマは変なこと考えてた」
さっきの無しにできないかなぁ…。なんかネコが憐れみの目で見てくんだけど。
「はぁ、エロガッパ氏は放っておいて、本題に入りますよ?」
「エロガッパて…」
「ハツメちゃんは何を頼みたいんだい?」
「私の研究のために解剖させてくれませんか?」
「できる訳ねえだろ!!!」
あざした




