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パンデミック起きたけど生き残る気力がない  作者: ちぐい
二章 ろりと犬とダッシュと編
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1話 ろりしょた

新章ですかね

 目を覚ます。いつも通り知らない天井だ。もう世界中の知らない天井を探す旅にでもでようかな…

 我ながらくだらないことを考えながら体を起こそうとして気づく。


 人間を超える力を使った()()の恐怖に。


 ああ、()()ってこう言うことだったのか…もうダメかもしれないな。

 泣くのをこらえていると、誰かが部屋に入ってきた。


「アズマ氏ー、体の様子を見にきましたよーって、大丈夫ですか!?泣きそうですけど!」


「ハツメ、か、俺は、もうダメだ」


「何言ってるんですか!ハッ、まさか、()()が…!?」


「そうだ…もう死にそうだ」


「待ってください!その()()さえ乗り越えればまた強く――」


「いいんだよ、自分のことは自分が一番わかってる」


「アズマ氏…!」


 そんな泣きそうになるなよ、俺だって泣きたいんだ。


「ただ一ついいかハツメ?」


「はい、なんですか?」


「代償代償って大それたこと言ってたけどよ…」


「はい…」


「これただの()()()じゃねえかああああああ!!!」


 ――――――――――――――――――――――――


 世界中の生きてるみなさん、おはようございます!今日も元気なアズマです。いやぁ、流石に焦った。力を使えば筋肉痛になる、当たり前の話だった。一日中寝てたら治ったけど、この力はあんまり使いたくないな。ハツメが言うには、筋トレと同じ要領だから徐々に慣れてくるらしい。

 今日はマンションに近い小学校に来ている。ここにも非常食がありそうだからだ。もう完全に火事場泥棒だ。


「アズマくんと田中くんは教室を見て回ってちょうだい、ネコくんは非常食を探す方の戦力になってもらうわ。あと、もし生存者がいたら事情を説明して助けてあげて」


「うい」


「わかりました」


「アズマくん?返事はちゃんとするものよ?」


「ういごべんなさい!俺病み上がり!」


「シャキッとしなさい、張るわよ」


「もう張ってんじゃん!」


「じゃあみんな、気をつけて!」


 そこで別れて俺と田中は三階から見ていくことにした。


「小学校の物って全部小ちゃいんだな」


「ああ、たしかにそうだな。アズマは小学生の頃ってどんな奴だったんだ?」


「なんでお前とそんな話すんだよ…」


「いいじゃねえか、それで?」


「はぁ…普通の小学生だよ。自分を中心に世界が回っていると本当に勘違いしたどこか馬鹿な小学生だ」


「へぇ、じゃあ昔は明るかったんだな」


「今も明るいだろ、明るすぎて失明するレベル」


「あはは!」


 何笑ってんのこいつ?ぶっ飛ばしていい?


 2人で歩いていると奥から小さな影が近づいてきた。日中なのに電気がないから暗いとこは暗いな。


「おい田中」


「わかってる」


 声を忍ばせて近づき、影の正体を見る。そこには俺の腹ぐらいまでしか身長がない子供がいた。


「…おい田中」


「…わかってる」


「俺がやるよ」


「え?」


「そこで見とけ」


 子供の前まで行くと、噛まれた。でも今までより痛くない、力がまだでないのか。2号(警棒)を振り下ろす。いつもの感触。イライラして煙草に火をつける。もうジッポなんて持ってる必要ないのにな。


「…ちっ、胸糞悪いな」


「悪いなアズマ、次からは俺も行ける」


「気をつけろよ?お前は噛まれたら100アウトなんだからよ」


「大丈夫だよ。パンダになった人を楽にしてやりたいんだ」


「そうか」


「そういえば、今のが初めてのパンダだよな?学校なんだからもっといても不思議じゃないんだけど」


「たしかに、小学生が頭を潰せるとは思えないしな」


 その後も全教室を回ったけど三階には誰もいなかった。二階も同様で、俺たちは一階に向かった。


「ん?ここのドア開かないな。アズマ、お願いできるか?」


「あんま使いたくないんだけどな」


 一日中寝ていた時に気づいたことだが、全力を出すためには殺意が必要だけど、少し力を使うくらいなら意識するだけでできるようになっていた。

 体にある異質なものを自分に混ぜるイメージをする。ああ、また脳内を虫が這いずりまわってる。これが嫌なんだよ。1割にも満たないレベルで混ぜたあと、ドアに蹴りを入れる。


「オラァ!」


 結構な音を出してドアが吹き飛ぶ。足がジーンと痺れた。


「いってえ…」


「ありがとうアズマ、それで、中には何が…!?」


「どうした?中に何かあった…は?」


 教室の中には文字通り山ほど子供の死体が積み上げられていた。死んでから少し時間が経っているのか、教室はひどい臭いが充満している。吐きそうだ。


「なんだよこれ…」


「死体を一箇所に集めたんじゃないのか?これは流石に子供じゃ無理だから、教師がやったとか」

 ………

「それにしてもこれは…」


「ああ、でも俺たちみたいにみんなが運良く燃やせるわけじゃないだろ。たぶん、一箇所に集めるしかできなかったんだ」


「…」


 その後は会話がなくなり、他の教室も調べているがどれも鍵がかけられていて、中には死体が集められていた。これをやったやつはどれ程苦しんだんだ。

 調べていない教室も残り少なくなっていた頃、初めて今までと違うことが起きた。


「…ここも開かない」


「蹴破るか」


「もういいよアズマ…これ以上は耐えられない」


「そうは言ってもなあ」


『だ、だれ!?』


「「!?」」


 教室の中から幼い声が聞こえてきた。その声は衰弱していて、今にも倒れそうな印象を受けた。


「アズマ!蹴破ってくれ!おい君!ドアから離れろ!」


「オラァ!」


 ドアを蹴破ると、田中が俺よりも先に中に入り込んだ。俺も遅れて入ると、中では5人の子供が田中に抱きしめられていた。田中は涙を流していた。見ず知らずの人のために涙流せるこいつは本当にすごいな。

 俺はさっきから1人の少女から目が離せないでいた。


「よかった…君たちだけでも生き残っていてくれてよかった…」


「お…お兄さん、痛いよ」


「す、すまない!あ!おなか減ったろ!これを食べなさい!」


「「「「わー!」」」」


 田中はカバンから食糧を出して子供達に分けていた。これは会長が生存者のためにと渡してくれたものだ。子供達は喉に詰まらせながらも美味しそうに食べている。1人を除いて。


「ん?君は食べないのか?たくさんあるからいいんだよ?」


「…」


「お兄さん、その子は最近ずっと黙ってるんだ。()()()()()()()()()()()()()()()


 そこには髪が()()()()()()()()()少女がいた。

ありがとうございました。

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すげぇー
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