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パンデミック起きたけど生き残る気力がない  作者: ちぐい
一章 パンデミックがやってきた編
32/76

32話 話はちゃんと聞いたぜ

あざす、

 騒いでる椎名をほっといて部屋を見渡していると、異変に気付いた。


「なあ、この部屋広くないか?」


「たしかにそうね、私たちが昨日泊まった部屋よりも広く感じる」


「私の話聞いてますか!え?ああ、横に3部屋分壁を壊して作ってるので他の部屋より広いんですよ、この部屋の奥にも続いてますし」


「え、椎名はボンボンの家の子なのか?」


「たしかにこの部屋はダディーの名義で買いましたけど、お金は私が払いましたよ?」


「宝くじ当てたのか」


「私の研究で稼いだお金ですよ!?」


「研究?」


「ふふん、いい質問ですねぇ「ぶっ飛ばすぞ」ごめんなさい。私はいろんな分野で研究して、いろんなものを作り出してるんですよ、その報酬で稼ぎまくってました」


「へぇ、例えばどんなのがあるんだ?」


 自分に興味を示されて嬉しくなったのか、椎名は楽しそうに話し出す。やっぱ小学生じゃねえか。

 椎名の研究内容は幅広く、飛行機の部品の改良や不治の病に効く薬、あとはタイムマシン…。


「タイムマシン!?そ、それがありゃこの災害も防げるんじゃねえのか!」


 それは、あんなこといいなできたらいいなと想像していた物とは違い、案外コンパクトでバレーボールくらいの球体だった。


「あー、全然ダメです。タイムマシンは研究が一向に進まなくて3ヶ月ぐらいしか戻れないんですよ。あと、1回しか使えないのでここぞという時にしか使いたくないです」


「3ヶ月も戻れりゃ大丈夫なんじゃないのか?」


 やれやれ、といった感じで椎名が首を振る。無性に腹立つなこいつ。


「それはそうなんですけど、時空の歪みやその他の要因のせいで、常人だと過去に戻った瞬間肉体が耐えきれずに爆散しちゃうんですよ」


「ただの凶器じゃねえか!」


 ――――――――――――――――――――――――


 その後もハツメの発明品などを見ながら俺たちの自己紹介を済ませた。ハツメかクロエって呼ばないと協力しないと言われたので、快く了承させてもらった(タイムマシン押し付けてきた。あいつのここぞという時違うだろ)


「ところでアズマ氏、あなたウイルスに感染していますね」


「よくそんなことわかるな」


「当然ですよ。そのPウイルスは私が作ったんですから」


「へぇ、そうなんか」


 こいつが今パンデミックを起こしてるウイルスを作ったのか、すげえな。


 ………ん?


「どうしたんですかアズマ氏?なんで私に近づいて、い、いひゃい(痛い)なんれわたしのほっへ(何で私のほっぺ)ひっはるんれすあ(引っ張るんですか)!」


「お前がこの災害引き起こしてんじゃねえか!」


「ち、ちぎゃいますよ(違いますよ)わたしたち(私たち)けんきゅうへいかが(研究成果が)ぬすまれたんれすよ(盗まれたんですよ)!」


「盗まれた?」


 手を離すとハツメは頬をさすりながら話し始めた。


「たしかにあのウイルスは、私が入っていた海外の研究グループで製作していたものですよ。あのウイルスは人間のリミッターを解除することによって、治癒能力を高めるものなんですよ。あ、人間は普段自分の体に負担をかけないようにリミッターをかけてるんですけど――」


「へぇ」


「――つまり本来人間を助けるために作られたんですよ…あの、聞いてました?」


「聞いてたよ、よくわかんなかったけど」


「10分以上ぶっ続けで話して説明したんですけど…」


「無駄よハツメちゃん。この人は難しい話を理解できない可哀想な子なのよ、あとで私が分かりやすくこの子説明しとくわ」


「お前は俺のオカンかよ、ママァ〜」


「気色悪いわよケイ」


「ごめんなさい教えてください詩乃様」


「土下座しなくても教えるわよ…」


 俺の土下座と引き換えに手に入れた情報はこんな感じだ。


 ・ウイルスは本来医療目的で作られた。


 ・ウイルスで心臓を強靭なものにすることができ、それによってリミッターを解除して肉体を強化することもできる。


 ・研究ではO型の中に抗体を見つけるとこで止まっていた。


 ・心臓を強化して永久機関にすることによって寿命で死ぬことはなくなる。不老になる。


 ・研究中のウイルスを強盗に盗まれた。


「え、俺年取らなくなっちゃったの?」


「詳しく言うと、身体能力がピークになる年齢の時から、ですね。平均的には14〜20歳ですかね、その年齢を過ぎてて感染した人は、その時点でほとんどの人が止まります」


 どうやら俺の死因から老衰は亡くなったらしい、流石に首が飛べば死ねると言われた。


「前にウイルスの力の使い方を知ってるやつがいたんだけどさ、俺もウイルスを使えば強くなるんけ」


「誰ですかそんなこと知ってるすごい人は…申し訳ないんですけど、今のウイルスは私が知っていたことを遥かに超えているのでわかりません」


 じゃあなんであの変態お面は知ってたんだ?


「ウイルスについてはわからないんですけど、私の研究室から盗み出した奴らについてなら少しわかっていることがあります」


「執念深く調べたのか」


「もちろんです!私の子供達を盗みやがってあの下郎どもが…FU◯K!…どうやら世界規模の組織らしく、ここ日本にもその組織の支部が各県に一つはあるらしいです」


「世界政府とやらはそんな奴らにも気付かなかったのかよ、ちゃんと働けや」


「その世界政府の一部も一枚噛んでいるみたいなんですよねぇ」


 まじかよ、規模が一気に広がり過ぎてて頭がおかしくなりそうだ。


「ハツメちゃん、各県に一つはって言ってたけど、この県にもあるってことなの?」


「そうですよ。なんならここから2キロぐらいしか離れてないですし」


「…普段生活してても全然わからなかった」


「そりゃそうですよ。普段はそいつらも周りに紛れて生きてたわけですし…たしかそこの支部長の名前は…根本?だったような気がします」


「「根本?」」


「どうしたんですか?2人して仲良いですね。たぶん根本であってますよ」


 根本ってネコの名前と同じだよな?えーと、つまりどういうことだってばよ。


「その根本って、孤児院かなんか開いてた奴か?」


「え、よく知ってますね?そうですよ」


 ネコ、お前は知ってたのか…?

つまりどういうことだってばよ

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