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パンデミック起きたけど生き残る気力がない  作者: ちぐい
一章 パンデミックがやってきた編
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27話 一難去ってまた一難ぶっちゃけありえない

もっとバリバリ!

 羅夢に肩を貸してもらい外を見に行くと、校門を破ってトラックが校庭に侵入してきていた。

 トラックからは重低音が鳴り響き、周囲のパンダを寄せ集める恐れがある。


「なんだありゃ?」


「やっぱりライブじゃない?うわー!すげー!」


「バカ言ってねえで早く荷物取りにいってこい」


「なんで?」


「校門が破られてこんだけ音鳴らしてんだ。外からパンダがうじゃうじゃ寄ってくんだろ」


「なるほどー!じゃあアズマっちはここで待ってて!私がとってくるから!」


 そう言うと羅夢は廊下を走って行った。


 ――――――――――――――――――――――――


 帰ってきた羅夢から荷物を受け取り、昇降口で待機していると続々と生徒たちが集まってきた。こういうところは普段から会長が鍛えてるおかげだろう。

 会長にしては遅いな、と思っていたら会長がタケさんと一緒にやってきた。タケさんの右腕にはいつぞやの不良が抱えられていた。わざわざ三階から連れてきたのか?律儀だな。


「さてみなさん!落ち着いてください。ただ出発の時刻が早まっただけです。焦らず音を出さないように行きましょう!」


 会長が生徒たちに呼びかけていると、1人の女子生徒が手を挙げて質問した。


「あ、あの…私はパンダとは戦えないんですけど、どうやって守ってもらえるんでしょうか?」


「必死についてきてください」


「え?」


「必死についてきてください。普段から鍛える機会はあるのに鍛えない自分の怠惰さを恨みながら、必死についてきてれば助かります。もちろん死んだら自己責任です」


 普段は温厚な会長が放った言葉に、自分も守ってもらおうとしていた人たちは全員尻込んでしまった。

 そりゃ会長もキレるよ、普段自分たちが戦ってない所為なのに、こんな時まで守れみたいなこと言われたら。


「他に質問は…ないみたいなので行きましょうか」


「「「はい!!!」」」


 するとその時、見覚えのある男が外から昇降口に入ってきた。


「どうもどうも、皆さんこんばんわ」


 あいつはたしか、家族を見に行った組にいたようないなかったような。そいつに向かって会長が話しかけた。


「あなたは…たしか井上くんだったかな?もう学校には来ないって約束だったけど」


「聞いてくださいよ会長。俺の家族みんな死んじゃってたんですよ。面白かったですよ?家に帰ったら親父が母親のこと食ってるんですもん」


「そう…なんでここに来たの?」


「食料が尽きちゃいましてね、分けてもらおうかなって思ったんで来ました」


「あのトラックはあなたが?」


「そうなんですよ〜。意外と簡単ですね?車の運転って」


 このような事態を起こしているのに、男はまるで何もなかったかのように話し続ける。


「会長。食料分けてもらえないですか?分けてくれたらあのうるさい音楽止めますから」


「それはできないわ。もう食料はないもの」


「あるじゃないですか、みなさんお揃いで持ってるカバンの中に」


「これは私たちが使うの、あなたに分ける分はないわ」


「…けんじゃねえよ」


「え?」


「ふざけんじゃねえよ!!!てめぇらだけ助かりやがって!俺の家族は全員死んだんだぞ!?…殺してやる…てめぇら全員殺してやるよ!!!」


 見事な逆ギレを披露して井上は校庭に出て行った。


「みんな!早く行きましょう!ああいう人は何しでかすかわからないわ!」


 会長の号令に従って全員校庭に出る。


 そこにはトラックの荷台のドアを開けている井上の姿があった。


「ヒャハハハハハハ!こんなかには俺の家族もいるから仲良くしてあげてよ!!!」


 ドアの中には大量のパンダがいた。ドアを開けると井上は校舎内に逃げて行った。それをタケさんが捕まえようとするが会長が止めて、逃げる方を優先した。


 それよりもやべぇ、体が思うように動かねえ。


「捕まったらそれで終わりだと思って!誰も助けに入れないわ!行くわよ!」


 みんな走り出す。俺も走ろうとすると体が言う事を聞かず、派手にすっ転んだ。それに気づいた詩乃が寄ってきた。


「ケイ!?」


「気にすんな!あとで遅れていく!」


「無理よ!私も一緒に行く!」


「いいから先に行けよ!死ぬぞ!」


「あなたも死んじゃうキャッ!?」


 詩乃はタケさんに抱えられた。


「アズマ!お前も早く掴まれ!!!」


「無理ですよタケさん、2人はいくらなんでも。俺は遅れて行くんで大丈夫ですよ。O型だし」


「…っ!絶対に死ぬなよ!」


「こ、小堀さん!待ってください!ケイが!」


 暴れる詩乃を抑えつけながらタケさんは学校から出て行った。

 遅れて行くって言ったけど、流石に無理かな…。


 カバンを地面に落とす。ただでさえ動けないのにこんなもん背負ってられん。


「はぁ、しんど。でもやるっきゃねえか!」


 バットを構えてパンダに立ち向かう。


「うおおおお!ヘブッ!?」


 やはり自由が利かず、ズッコケた。はは、カッコつけるとすぐこれだよ。やんなっちゃうね。あれ?なんか左肩が熱い…。


「いった!?」


 左肩を見てみると、パンダに噛み付かれていた。ほんと踏んだり蹴ったりだな!!!


いつも決まらない男、東くん

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