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パンデミック起きたけど生き残る気力がない  作者: ちぐい
一章 パンデミックがやってきた編
26/76

26話 泣いていいのはトイレか親の胸の中だけ

あざす

 目を覚ます。


「知らない天井だ…」


 俺はまた気絶していたのだろうか、詩乃の前でよく気絶すんな俺。まさかあいつ疫病神か?

 辺りを見渡すとここが保健室で、今はベットに寝ていたことに気づく。体を起こそうとすると、身体中に痛みが走る。


「いっ!?いでででで!」


 なんとか体を起こし、俺が痛がっていると、保健室のドアがガラガラッと開いた。


「ケイ!?起きたのね!よかった!」


 そう言いながら詩乃がベットに駆け寄ってくる。


「本当によかったわ…私、あれからずっとケイが死んじゃうんじゃないかって…」


「心配かけて悪かったな、なんとか生きてるよ」


 災害が起きてから何度も死にかけている気がするが、今回は本当にやばかった。まさかお面野郎が言ってた通り、赤目がこんなに強いとは思ってもいなかった。正直勝負にすらならなかった。


「あのね…ケイ、根本くんは…」


「聞かなくても分かるよ、データとやらを持ってどっかいったんだろ?」


「そう、あと今回の件は私から会長に報告しといたからケイは何もしなくて大丈夫よ」


「何から何まで悪いな…」


「全然気にしなくていいのよ。それに、私が首を絞められていた時に助けてくれたじゃない。悪いのは根本くんじゃない…」


「それもまだネコが悪いとは限らないのに刺激した俺が悪いんだよ。本当に新種のウイルスだったらネコが絶対正しいし」


「でも、あそこまでしなくても」


「喧嘩両成敗だろ?まあ最後は俺が一方的にボコボコにされたけど、あはは」


 俺が笑いながら話すと、詩乃は悲しそうな顔をして聞いてきた。


「どうして、無理やり元気そうにするの?」


「は?無理なんかしてねえよ!変なこと言うなぁお前も、はは、いって!?笑うだけで肋痛えよ!これヒビ入ってんだろ、たしかにネコもやりすぎだな!あはは!っいてて」


 自分の怪我に対して笑っていると、詩乃はさらに悲しそうな顔をする。どうしてそんな顔すんだよ、俺は元気だぜ?


「私じゃ、私じゃケイを慰めることもできないの?」


「慰めるだ?そんな必要ねえって!俺はこんなに元気なのに何で慰めんだよ、はは!」


「じゃあなんでそんな悲しそうな顔をしてるのよ!」


 どうやら俺も相当悲しそうな顔をしていたらしい。悲しい顔選手権でもやるかあ?


「なんだよ悲しそうな顔って…はは、そんなに可笑しな顔してたか…?」


 だめだ、声が震える。耐えろよ、詩乃に涙なんか見せんなよ、失望されるぞ。


「私はいっつもあなたに助けてもらってる!なのに私はあなたを助けられないの…?」


「はは…いやいや、たまたまだって、前も、言ったろ?」


「私も偶然でも何でもいいって前に言ったわよ。だからケイ?泣きたい時は泣いていいのよ?」


 優しい声と一緒に体が詩乃に包まれる。ああ、何で人ってこんなあったけえんだろな?気が緩んじまうよ。


「…勝手に…友達だと思ってたんだ…」


「うん」


 涙が出てくる。泣くのを我慢している時に優しくされると何で逆に泣いちゃうんだろうな?


「だから…だからネコが騙されてると思って必死になって止めたんだ…」


「うん」


「でも、とめられなかった…!ただネコをきずつけてきずつけられるだけだっだ!」


 あーもうだめだ。一度出たら止まらなくなってきた。止めようにも止め方を俺は知らない。


「うん」


「ぐやしかっだ…かってにともだぢに、うらぎられだとおもって、くやじくて、かなじかっだ…」


「うん、うん!」


「しのぉ…ともだちをなぐずって、こんなにがなじいんだな…」


 体の痛みを無視して、縋るように詩乃を抱きしめていた。これ以上、友達を失くしたくない。その一心で詩乃に抱きついていた。


 ――――――――――――――――――――――――


 あれからしばらく泣いていた。泣き止むと途端に恥ずかしくなってきて、すぐに詩乃から離れると、詩乃も泣いていた。こいつ、やっぱいいやつなんだな。


「な、なんか悪かったな。情けないとこ見せた」


「ぜ、全然いいのよ!私もケイの助けになれたようで嬉しかったし!」


「そ、そうか。まぁ、ありがとう。スッキリしたよ」


「よ、よかったわ。じゃあ私行くから、またね」


 そう言うと詩乃は足早に去って行ってしまった。

 詩乃と入れ替わりで会長が入ってきた。まさかこの人、俺が泣き止むまで待ってたのか?


「意外とアズマくんもあんな感じになるのね、ちょっと感動したわ」


「…なんのことですか?」


「そんなに赤く腫らした目をしながら言っても説得力ないわよ?それとも私に再現して欲しいってことかな?しのぉぉぉぉ」


「やめろぉ!!!いって!?」


「あ、ごめんなさいね。なんかイジリたくなっちゃって」


「いつつ、それで何の用ですか?見ての通り雑用はできない体なんですけど」


「私もそこまで鬼じゃないわよ。明日の出発を延期しようかと思ってね」


「いいですよしなくて、1人の為に全体の行動を変えると反感買うでしょ」


「正直言ってあなたって結構優秀な人材なのよ。言うこと聞いてくれるから」


「全然嬉しくねえ評価だな…」


「ま、私があなたの怪我見たんだけど、だいたい全身打撲ぐらいね。その感じだと肋にヒビが入ってそうだけど、骨折とかはしてないわ」


 ネコのやつ、本気出すとか言っといて手加減してくれたんかな?やっぱりあいつが悪いやつだとは思えないし、孤児院の院長に騙されてるんじゃねえのか心配になる。


「じゃあ延期の話は無しにするわね。その怪我、明日までに治しといて」


「くそ鬼じゃねえか」


――――――――――――――――――――――――


日も短くなってきているため、辺りはもう暗くなり始めていた。あれから保健室には何人かが見舞いに来てくれた。田中が知らない女子に抱きつかれながら来た時は、ちょいギレで帰らせたけど。そして現在、保健室にはギャルがいた。


「アズマっちー。大丈夫ー?」


「ああ、てか何でお前いんの?」


「シノっちから、私が泣いた跡なくなるまで看病お願いって言われたんだよー!あ!これ言っちゃダメだったかな!」


「いつも通りの元気だな…」


「ウチの元気分けてあげるよー!」


「はは、ありがとな」


それにしても詩乃のやつ、そんなこと気にしなくていいのにな。え?女の子には色々ある?なにそれ?食えんの?


「アズマっちがお礼言うなんて…やっぱまだ大丈夫じゃないんだ!」


「ねぇ、お前の中の俺の印象ってどうなの…?」


しばらく羅夢と会話していると、外の方から重低音が聞こえてくる。


「わわ!なになに!ライブでも始まんの!?」


「こんな御時世にライブやる奴がいたら伝説になるだろ…様子を見に行ってみるか、羅夢、肩貸してくれ」


「いいよー!…やん!どこ触ってんの!」


「いや普通に肩だよ!肩貸してもらうのに肩も触れないの俺!?」

小説書くのってめちゃくちゃ難しいですね。大まかなあらすじがあっても自分がなにを書きたいのかわからなくなる時があります。

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