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パンデミック起きたけど生き残る気力がない  作者: ちぐい
一章 パンデミックがやってきた編
21/76

21話 火

あざすあざすあずさ

…… お昼頃には死体運びが終わり、学校にある燃えそうなものをかき集めて火を放ったらちゃんと燃えてくれた。

 ちなみに穴を掘ったところにみんなで死体を集めたが、その穴は全部タケさんがひとりで掘ったものだ。バケモンかよあの人…


 死体の中に親しい友人や先輩後輩がいたのだろうか、火を見ながら泣いている人もちらほらいた。

 俺は火を見ながら、イキってタバコに火をつけていた。ふっ…決まってるぜ(※この作品は未成年者に喫煙を推奨するものではありません)


「ん゛!?ぶは!ゴホゴホ!」


 盛大に咳き込んでしまった。オエエ、大人はよくこんなもん好き好んで吸えるな、クソまじぃ。


「あー!?ケイくんなにタバコ吸ってるんですか!」


 振り返るとあずさちゃんと聖が立っていた。最近は一緒にいるところをよく見かけているので仲良くなったのかな?よかったよかった。


「微笑ましく笑って誤魔化さないでください!タバコはダメですよ」


「別にいいじゃないか、本人の自由だ」


「あのう、辞めた方がいいですよ?似合ってないですし…」


「な!?聖はなんてこと言うんだ!決めた!絶対吸い続けてやる!」


 その後3人でガヤガヤ言い合いながら途中で聖が泣いたり、2人して俺からタバコを奪い取ろうとしてもみくちゃになっていた所を詩乃様に蔑んだ目で見られたりした。聖は詩乃様の眼光に耐えきれず校舎に逃げてしまった。詩乃様も「ふんっ」とだけ言って校舎に消えていかれました。


「詩乃さんの眼力すごかったですね…聖ちゃんも怯えきってました」


「聖には耐えきれなかったんだろ」


「聖…ケイくんはどうして私のことを呼び捨てで呼んでくれないんですか?」


「ええ?前も言ったけどあずさちゃんはあずさちゃんでしょ」


 あずさちゃんはパーマの毛先を手で弄りながら聴いてきた。なんで?って言われてもあずさちゃんはあずさちゃんだしなあ(哲学)


「ケイくんは小学生の頃のことって覚えてますか?」


「唐突だなあ。小学生の頃ね、覚えてるよ。あの頃は今と全然違う感じだったかな」


「そうなんですね…」


「うん」


 それっきりあずさちゃんは黙ってしまった。コミュ障にはきつい空間だ。おい!誰か応答せよ!田中をここに呼べ!

 …俺の願いも虚しく散り、ついぞ誰も応答してくれなかった。仕方ない、ここは年上として俺が話題を振ってあげるか。


「田中とは最近どうよ?」


「え?大毅(たいき)先輩ですか?どうもしないですよ?」


「そうか…まぁあいつは競争率が高そうだけど、めげずに頑張りなよ」


「? なんで私が頑張るんですか?」


「え?」


「え?」


「あずさちゃんは田中が好きなんじゃないの?」


「ち、違いますよ!大毅先輩とはバスケ部の部員とマネージャーなだけであってただの知り合いです!」


「それだけじゃわざわざ助けに行かなそうだけど」


「はぁ、ケイくんは知らないと思いますけど、大毅先輩はバスケ部を辞めたんですよ」


「ああ、それならこの間田中から聞いたぞ」


「そうなんですね。大毅先輩は部費を盗んだと疑われてバスケ部を退部させられたんです。でも私はそれが信じられなくて、大毅先輩が辞めた後もよく仲良くしてもらってたんですよ。たぶんそれで助けてもらえたんだと思います」


「へぇ、だからか…あ、そういえばあずさちゃんって俺が自己紹介する前から俺の名前知ってなかった?」


 そう聞くと、あずさちゃんはまた髪をくるくる弄り始めながら話し始めた。楽しいのかな?あれ。


「話を戻しますけど、ケイくんは小学生の頃を覚えてるんですよね?」


「うん覚えてる」


「ケイくんが4年生ぐらいの時、一個下に太った女の子がいませんでした?」


「太った女の子?…あー、いたいた!たしかいじめられてるところを俺が助けて、それから仲良くなったんだった。あの子まだ生きてるかなあ」


「その子ってケイくんが5年生になる頃に転校しませんでしたか?」


「んー?…そう、だった気がする。あの時はいきなり居なくなったから寂しかったのを思い出したよ」


「そうなんですね…」


「うわ、思い出したらめちゃくちゃ懐かしくなってきた。名前は…えーとなんて呼んでたっけなぁ。あ…あ…あず?そうそう!アズって呼んでたんだった!あずさって名前だったから、アズ!…………は?」


「やっと思い出してくれたんですね、ケイくん」


「はあ!?!?」


 いや待て待て待て、落ち着け俺。落ち着いて考えれば大丈夫だ。あずさちゃんがアズで、アズがあずさちゃんだっただけだ……さっぱりわからない!


「え、で、でも、全然太って、あれ?」


「まあ、あれからケイくんと会えなくなったストレスで激痩せして、中学生になったらお洒落に興味を持ったから見た目は180度変わりましたね…」


「そうだったんだ。ん?でもあずはたしか朝霧って苗字だったような」


「あ、親が再婚して如月になったんですよ。でもケイくんには自分で気づいて欲しかったですよ!」


「無理言うな!6年ぐらい前のことで見た目も苗字も変わっててわかるか!」


「努力したんですよ。親に高校生になったら自分の好きな所に行っていいと言われたので、またケイくんに会えると思って自分を磨いて、地元の高校にきて」


「そうだったんだ…」


「でも高校に来たらアズマなんて2年生はいなかったんですよ。いたのは同姓同名の目の死んだ人だけで」


「それ俺!俺!」


「私が知ってるケイくんはみんなに人気があって目は死んでませんでした!」


「あー、小学生の頃はモテてたんだっけ俺」


「そうですよ。引くほどモテてましたよ」


「小学生なんて足が速ければモテるからなぁ」


 なんで小学生って足が速いだけであんなにモテるんだろうな?大人になってもそうであって欲しいよまったく。


「それでケイくんの名前を知っていたってことです」


「なるほどなあ、けどなんで転校するとき教えてくれなかったんだよ」


「ケイくんの周りにはいつも人がいたんで話しづらかったんですよ…でも今ならケイくんの周りには誰もいないんであの時言えなかったことを言えますね」


「さらっと抉らないでくれる?」


「いじめから守ってくれてありがとうございました。それと、好きです」


「はえ?」


「あ、これは安心してください。この好きは異性としてじゃなく人として好きってことです」


「なんだよ!」


「期待しました?でも私にとってケイくんは、お兄ちゃんみたいな存在なんです。だからこれからもよろしくお願いします!」


「そういうことなら大歓迎だ。…よろしくな、アズ」


「!……はい!お兄ちゃん!」


 そういうとあずは顔に花を咲かせた様に微笑んだ。やっぱりあずには笑顔が一番似合ってるな。


「あ、でもお兄ちゃんはキツイからやめてちょ」


「ひどい!?」

どうしても会話が増えてしまう...!

あと俺は男子校出身なんだよ...!!!

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ニヤニヤしちまうね
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