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パンデミック起きたけど生き残る気力がない  作者: ちぐい
一章 パンデミックがやってきた編
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18話 ネコは気まぐれ

子豚たぬき狐ネコ

 今日はネコが休みをもらって見張りの仕事に来た。会長は俺に気を遣ってくれてんのかな?

 根本康太(ねもとこうた)、みんな覚えてる?ネコはただでさえ影薄いのに俺よりも人と関わろうとしないからな。

 ネコは男にしては身長は低めで、黒髪マッシュがよく似合う系男子だ。それにしてもこいつ小綺麗だな。ネコはアーモンド型の瞳がある目を細めながら話しかけてきた。


「キシシ、なんか失礼なこと考えてない?」


「いや別に。ネコは髪とか清潔だよな、隠れて風呂でも入ってるのか?」


「風呂でもあったらみんなに教えてるよ」


「それもそうだな」


「キシシ、相変わらずアズマは面白いことを言うね」


「そんな褒めるなよ、照れるじゃねえか」


「キシシ」


「お前も相変わらず変な笑い方だな」


「そう言うアズマはあんまり笑わないよね」


「そうか?いつも笑ってると思うけど」


「なんていうかヘラヘラにやにやした笑い方で笑顔って感じじゃないかな」


 失礼なやつだな。それ詩乃とかにも言われたぞ、「あなたの笑い方は変態にしか見えないわ」って。あいつもめちゃくちゃ失礼だな。


「お前っていつもどこ行ってんの?よくいなくなるけど」


「別にどこにもいってないさ、人と関わるのが苦手なだけだよ。あと探し物をしているんだ」


「探し物?俺も探しといてやるよ、何を探してるんだ?」


「キシシ、アズマはなんだかんだいって優しくてよね、山本先生って知ってるかい?」


「山本先生?って2年3組の担任だろ?そういえばネコは3組だってこの間言ってたよな」


 山本先生…なんか最近別の情報も聞いたような…


「よく覚えてるね…それで山本先生に大切なものを預けたまんまにしているんだ」


「へえ、山本先生はたしかパンダに襲われたって田中が言ってたぜ」


「そうなんだよ。だからパンダになったであろう山本先生を探していてね、不謹慎だけどそれぐらい大切なものなんだ」


「ふーん、じゃあ俺も山本先生のパンダを探してみるよ」


「キシシ、ありがとう」


 変な笑い方でネコはお礼を言ってきた。こんな時に探すってことは相当大切なものなんだろう。


「ネコはその合気道?ってやつをどれくらい習ってるんだ?」


「ボクは昔親に捨てられてね、拾ってくれた院長が今後のためにって教えてくれたんだ。合気道なら身長差はあまり関係ないからね」


「へえ、みんなやっぱり昔に何かあるんだなあ」


「キシシ、アズマも何かあるのかい?」


「俺は小学生の頃交通事故で家族を全員なくしたんだ。俺も乗ってたのに俺だけ生き残っちまった」


「そんなことが…悪かったね」


「全然、むしろ最近は生きてたことに感謝してるんだ。ほんの少しだけど」


「アズマも変わってきているってことかな?」


「も?」


「ボクも最近考え方が変わってきているんだ。周りと関わらないようにし続けてはいるけどね」


「ネコは関わらなすぎだろ。どうすんだよ俺が死んだら、誰と話すんだ?」


「君が死んだら話し相手がいなくなるからそれはそれで楽でいいけどね」


「俺の死を望むなよ…」


「キシシ、ごめんごめん」


 俺の考えが変わってきている?たしかにそうかもしれない、以前の俺だったらネコに人と関われなんて言わないだろう。ここ最近はお人好し達と話していて考えが侵されてるのか?生きたいとか少し思うようになれてるのかな。


「とにかく、どっかで野垂れ死ぬとかはやめてくれよ?猫は死に際を見せないって言うけど」


「そこまでは猫に寄せないよ。ボクは死ぬ時には顔見せてあいさつぐらいするさ」


「それぐらいはしてくれないと困るぞ、たとえピンチになってもあいさつしてから死んでくれ」


「キシシ、それは大変そうだね」


 ネコはよく笑っているけど、本当に笑ってるのか?たまに目が笑ってなくて違和感を感じるけど、無理してるのかもしれんな。


「アズマは血液型何型?」


「O型だけど、占いでもすんのか?」


「キシシ、違うよ。O型はパンダにならないって噂があるけど、信じるかなって」


「あー、そんな情報もあったな。信憑性に欠けるから試そうとも思わなかったわ」


「どうだい?試してみるのも面白そうじゃないかい?」


「それは遠回しに俺に死ねと?」


「キシシ、そんなわけないだろ。ボクはこの情報はあってると思うんだ」


「へえ、それはどうして」


「たまにパンダになっていない死体があったんだ。山本先生を探すついでにその人たちの生徒手帳を調べたらわかる限り全員O型だったんだよ」


「でも死んでるんだろ?意味ねえじゃん」


「喉元を食い千切られたりしたら流石に人間死ぬよ。もし仮に噛まれただけの傷だったらパンダにならないんじゃないかな…まあ、噛まれないに越したことはないんだけどね」


「そりゃそうだ」


「何が言いたかったかと言うと、アズマにもその可能性があるから噛まれたって諦めないでってこと」


「ああ頑張ってみるわ」


「キシシ、本当に思っているのかい?それはそうとアズマ、合気道に興味は?」


「ないことはないけど、なんでだ?」


「ボクがこれから教えられる範囲で教えてあげようと思ってね。アズマにはこれから必要になってくるだろうし」


「そうか?まあ覚えておいて損はないけどさ」


「じゃあ行くよ」


「え?ちょま」


 ――――――――――――――――――――――――


「ふぅ、随分筋がいいじゃないか。アズマは見た目によらず器用なんだね」


「ぐふっ」


 この野郎、少しは手加減しやがれこちとら怪我人だぞ。やっぱネコめちゃくちゃ強え、「ボクは体で覚える派なんだ」とか言っていつのまにか俺は空を見上げていた。ボコボコにされる中で受け身を取れるようになり、ある程度コツを掴めたけどさ…危ねえよ!したコンクリだぞ!


前の話をちまちま直すのが楽しい

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