11話 添い寝はロマン(記憶なし)
あざす
自分の所為なのに名前を間違えて覚えられて泣きそうになっているギャルを慰めている間に終わった会議での内容はこんな感じらしい。あずさちゃんに教えてもらった。
・現在はまだ電気を使うことができるが、いずれ使えなくなる
・テレビで見たところ関東を中心に日本全国にパンダは広がっている
・ネットで集めた情報によるとパンダは目が見えず、音で獲物を見つけている、あとO型はパンダにならないらしい(確証はない)
・学校の生存者は全員で64人(全校生徒200人ぐらいだった気がする)
・学校が緊急避難に指定されてたから非常食、毛布とかはたくさんあり、予想ではこの人数だと半年分は余裕である
・非常食、毛布は本校舎ではなく部室がある校舎、体育館に分けて置かれている
・ここは安全だが学校敷地内にはまだたくさんパンダがいる
・誰かが見てるかかわからないので電気は付けずに懐中電灯で過ごす
「ざっとこんな感じですかね…ケイくん?大丈夫ですか?」
「頭がパンクしそうだから無理」
「あはは!アズマっちもお馬鹿なんだね!」
「うるさい、お前と一緒にしないでくれよ羅夢」
「まあウチらは現場専門だから頑張ろ!」
「あら、ずいぶんと羅夢さんに懐かれたじゃないアズマくん。よかったわね」
「いや全然「かいちょー!ウチとアズマっちはマブダチだから当然だよー!」
会議の後に時間を借りて羅夢の名前を訂正したら懐かれた。以上。あとこいつが現場専門ってのもあながち間違いじゃないらしい。なんか陸上部のエースで七種競技で日本一だとか。羅夢が言ってることは話半分で聞いてるから特に驚かなかった。
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誰かが提案した見張り役を決めてから解散となった。仕事の分担とかも明日決めるんだって。とりあえず今日は文字通り死ぬほど動いたから眠すぎる。適当な部屋探してもう寝よ。できれば黒木先生と寝たいんだけどな。ママァ。
「アズマっちバイバーイ!」
「おう」
「ほんと懐かれてるわねケイ」
「なんだ詩乃、まだいたのか」
「当たり前でしょ、これからあなたと寝床を決めるんだから」
「あー、そうだったな。俺と寝床を…は?」
「なに?」
「いや、1人で寝ろよ」
「なんでよ?」
「だってお前また俺にしょぼいしょぼい言うだろ」
「別に減るもんじゃないしいいじゃない」
「言うつもりだったんかよ!とにかく俺は1人で寝る!じゃあな!」
行こうとすると腕を掴まれた。眠さもあってイラつきながら振り返ると、詩乃が怯えているように見えた。
…ああ、こいつも普通の女子高生なんだな。そりゃこんなことになってたら1人は不安か。俺も怖くて仕方ないから気持ちがわかる。
「あ、あの。邪魔はしないから同じ場所で寝てくれない?」
「…いいぞ」
「ほんと!?ありがとう!」
普段はクールであろう顔がぱあっと顔が明るくなるのを見ると可愛いと思ってしまった。だが俺は知っている。命懸けで助けたとしても、田中に会ったらみんなそっちに行くことを……!くそぅ!!!
…まあ、助けた報酬として田中のとこに行く前に少しだけ一緒に過ごせるのを役得と喜ぶべきか…。
「!…今」
「あ?早くしねえと置いてくぞ」
「行くから待ってよ」
「どこにすっかなあ」
「あなたがいればどこでもいいわよ」
「嬉しいねえ、まったく」
「思ってもない言葉ね(今、少し目が死んでなかった…)」
ベットがあったり寝やすそうなところは大人気で入れそうにもなかった。そういえばネコはどこ行ったんだ?安眠を諦めた時に詩乃が何か思いついたようだ。
「理科室にいきましょ」
「理科室?もうどこでもいいから行くけどさ」
「理科室の隣の理科準備室に私の部活の顧問の先生が大きいソファを置いてるのよ。知ってる人は少ないと思うけど、空いてたらラッキーね」
理科準備室に入ると、本当にソファが置いてあった。やったぜ!寝れる!みんなおやすみ!
「ちょ、ちょっとケイ」
「なんだよ、邪魔しないって言っただろ」
「ソファで寝る人を決めないと」
「ええ」
「今日だけ決めちゃえば明日から交代制にしてできるわよ」
「もうめんどくせえよ」
「あら、じゃあ一緒に寝る?寝ようと思えば寝れる広さだし」
「もうそれでいいよ」
「えっ…」
「じゃあおやすみ」
「ちょっ…」
なんか喋ってたけどもう眠すぎて頭が働かない。ソファに寝転ぶと溶けるように意識が消えていった。しばらくするといい匂いと心地の良い温かみを感じ、さらに意識を深く落とした。
あざした




