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ゆけゆけエスパーほのか  作者: あああああああああああ
2/9

1.始まりはいつも突然

あほの子、都に身を窶す。ひいては千里もけぶる切れ間、愚かな鵺ら世渡し、寝向く地へ夢誘う。


──その日が来たのよ。来たるべき予言の日、ってやつね。



わたしのシュークリームを勝手に食べたっぽい姉へそのことを問い詰めてみれば、返ってきたのはよくわかんない言い訳だった。



そりゃあわたしだって怒る。まいふぇい、ふぇ……ふぇいすぶっく? えー……お気に入りってやつなのだ、あのシュークリームは。いちご味だぞ。姉がほっぺにつけっぱなしの、ちょっとのクリームだけでも食べたいくらいなのだ。



空の包装袋をみれば、別に賞味期限が切れてるわけじゃない。だとすれば、これはもう犯罪だ。

くいにげ。せっとーはん。まんびき。どろぼー。ひとでなし。あまとー。ばか。おたんこなす。ばかー。あほー。



言葉の暴力を一通りたたきつけてやると、姉は苦笑した。



──仄火は、ほんとにアホねぇ。



──でも、あなたはそのままでいてね。



そして、閃光。




「……ん、夢かぁ」


くあとあくびをして、ぐいーとのびをする。じゃーんじゃーんとうるさい目覚まし時計を止めれば、あとにすることはひとつだ。

おやすみなさい。


〔いや、起きろよアホ〕


頭の中に、偉そうな調子の声が広がる。

最初はびっくりしたものだけど、今や、反応するのもおっくうだ。


「……あと十分したら起こして」


〔アホ。時計見ろ〕


8時と10分。えーと、学校は9時に始まる。学校から家まで歩いて一時間くらいだから、走れば倍で30分。うん、余裕余裕。


「じゃ、よろしくね」


〔お前それで何十回……知らねーぞ俺は〕


おやすみ。信じてるからね、イグニス。


〔……アホ〕




で、三十分後。


「起こしてって言ったでしょー!?」


〔寝覚めが悪いんだよお前〕


走って間に合わないとなると、自転車を爆走させるしかない。

スカートの中身なんてもう知ったこっちゃないのよ。


高低差の激しい道のりを、下りはすいすい上りはひーこら、ケイデンスを上げてひたすら進む。これだから自転車だと面倒なのだ。


「あと五分……!」


むむむ、ふぬぬぬとちょっとアレな掛け声で最後の坂を上り切り、あとは一直線の下り坂。


──事件はそこから始まった。


目先にはかんかんかん、と閉じる踏切が見える。多分、ダッシュでいっても間に合わなそう。でも行かなきゃおくれちゃうし。……うーん、まあ一度待っても間に合うかなあ。


ちょっと判断が遅れたけれど、結局止まることに決めて、慌ててブレーキを引く。


だが、


「うそ、ブレーキきかないっ!?」


焦ってレバーをがちゃがちゃしても、自転車は応えてくれなかった。


街道は下り坂一直線。加速するしかなくて、止まるなら転ぶしかない。


……いや、そのままつっきればいいんだ! 逆転の発想! これは天才! 


〔アホ! 転んでもいいから止まれ!!〕


かんかんかんかん、と、次第に下がる踏切の棒に集中して、もはや声も、近づいてきた電車の音も聞こえない。



そして、下がり切ろう踏切へ飛び込んだ自転車と、速度の載った路線電車が──





──来るべき予言の日、ってやつね。


ふと、朝の夢が思い起こされた。


──あなたはそのままでいてね。


お姉ちゃん。


私、変わったよ。




「行くよ、【イグニス】! 〔イグニッション・フルバースト〕!」


〔このアホがああああ!!!!〕



そして、自転車が宙を舞った。


















199X年、世界は謎の光に包まれた!


海は光り、地は光り、全ての生物が発光したかのように見えた。だが、それは事実だった!



その日。世界のあらゆるものは、超常の力を手に入れたのだ!!












安済あんざい 仄火ほのか

高校一年生

能力:爆発操作

   ????

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