1-7. 「不動明王」
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じろりと俺を観る不動明王の顔は、
まさに「忿怒の形相」であった。
「は、はじめまして。高山和也と申しますっ!」
お不動様の問いかけに俺は緊張していた。
「ふん。はじめてなどでは無いわ。常にうぬの傍にいたであろうが!」
不動尊のまとう火炎が、ごごうっ、と音を立てて燃え盛る。
「あらぁ、不動さん、お久しぶりですー。
相変わらず圧倒的な力ですわね。今にも燃やされそうだわ」
オツェン神がやけに馴れ馴れしい態度で不動尊に語り掛ける。
「汝は、オツェンか?
ならばここは魔法者世界か。何故に我がここに呼ばれたのだ。
ここは汝が仏となることを授記された地であろう?」
――――師匠!出番だ!
「授記とは記別のことである。即ち未来の予言であり、未来に仏と成ると予言されることである。その予言では、どの地で、いつ、どの様な状況で仏と成るのかが語られ、その予言は『サンキュー師匠!!!』」
俺の記憶の中の師匠は非常に博識である。
不動尊の問い掛けにオツェンはきまりが悪そうである。
「そ、そうね。私が授記された時には不動さんもいたわね…
恥ずかしいけど、私の力だけじゃ対処しきれない問題にぶち当たってしまったの。
だ、だからそこの彼の力を借りようと思って、ね」
先ほどまでのオツェンの勢いがなくなり、しょんぼりとしている。
「ふん。汝の精進が足りぬのだ」
おおー、バッサリやでお不動様。
「しかし、確かにこの地は少々異様だな。魔の気配が強すぎる」
不動尊はすんすんと鼻を鳴らす。
「そ、そうでしょう!?
おかしいのよ!ここ最近特に!!」
オツェンは俯いていた顔をがばっと上げる。
「それでも汝の力で解決するのが道理であろう?」
お不動様がじろりとオツェンの顔を凝視する。
しゅんとするオツェン。
「ふん。まぁ良い。この異様さは我も気になる所だ。
汝が手を抜いていたわけでもなさそうだ。手を貸さぬ理由も無い」
オツェンの顔が、ぱぁっと晴れる。
――流石っす、お不動様。
優しさの中の厳しさ。そこにしびれて憧れるっす。
「して高山。うぬの魂は清浄であるが、未だ小さい。
我がこの様な小さき姿であるのも、うぬの魂が小さき故である。
我が力を全て注げば、うぬの魂は忽ちに破滅するであろう。
日々精進せよ」
「は、はいっ!!!」
お不動様のご叱責を受けた。なんともまぁ有難きことである。
「そろそろ、うぬの魂が耐え切れなくなる頃である。
我はここで繋がりを外れる。さらばだ」
そう言うとお不動様はすぅと消えた。
――――ふぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!
オツェンが安堵の声を漏らした。
「結構時間が経ってるから大丈夫かと思ったけど、
不動さんはやっぱり厳しいわね。私落ち込んじゃった」
お不動様は優しくもお厳しい方なのだ。
「不動さんが言ってたように、貴方の魂は今私たちの力が溢れそうな状態なの。
私はこの世界の住人だし、不動さん程の力も無いからそこまで影響は無いんだけど、不動さんを呼ぶには未だ早いかもしれないわね」
そういうものなのか。
実際、お不動様を呼んだ時に流れ込んできたものは尋常ではなかった。
「貴方に負担をかけない様に、私もそろそろ外れるわね。
あ、そうそう、喋れるからって家族に声をかけちゃダメよ。
貴方は今生まれて間もない赤子なの。騒動を起こしたくなかったら、ちゃんと赤ちゃんしててね」
「分かりました。
オツェンさんもあまり気を落とさないで下さいね」
「ふふ、優しいのね。
あら、貴方の母親が近づいてるようね。じゃあまたね!」
そう言うとオツェンも消えた。
ガチャ
母親が来たようだ。
「あなたは本当に大人しいわねぇ」
そう言いながら俺を抱き上げる女性。
彼女がジューン=シーファ。俺の第二の母親である。
「さぁさぁ、ご飯を食べましょうね」
「あ、お願いします」
――――しまった。
俺を抱えるジューンの顔は引きつっている。
ドン引きである。
デジャビューであった。
「はぁぁーーーーーーーーーーー」
オツェンの溜息が脳内を駆け巡った。