087 抜き足差し足忍び足
短め
深夜に起きている出来事
SIDEラン王女
深夜、森には静寂が漂い、フクロウのような鳥の鳴き声が聞こえる時間・・・
アルの家のこたつで寝ていたラン王女は目を覚ました。
(・・・そろそろいいかな?)
完全熟睡ではなく、だいたいの自分の勘で起きることができるという特技をラン王女は持っており、予想した時間ぐらいまでは寝て、そこからは起きて向かうことにした。
夜目が効き、足音を立てず、気配も消してそろり、そろりと目的の部屋に向かう。
目指すは人化した状態で布団に潜り込んでいるはずのアルの部屋である。
尻尾もできるだけ揺らさないように張り詰めて、風の音も出さないように細心の注意を払っていた。
目的としては、深夜にアルの布団の中に潜り込み、起きればまあいろいろと誘惑、寝続ければ朝起きどっきりみたいにできるだろうというものである。
と、アルの部屋の扉の前までラン王女はたどり着いた。
取っ手に手をかけて、音が鳴らないように慎重にあけようとする。
幸いにして鍵はどうやらついていないようで、簡単に開いた。
中に忍び込むと、ベッドの方で布団を着て寝息を立てているアルの姿を確認した。
人化しているアルの顔は整っており、寝ているその姿にちょっとラン王女は見とれたものの、目的を思い出してゆっくりと近付いていく。
どうやら今は警戒していないようで、あと数歩で布団に手をかけられる距離であった。
そろりそろりともう全身全霊で慎重に近づき、布団に手をかけた時であった。
ぽんっ
「・・・何をしようとしているのですか」
背後から肩をたたかれ、声がした。
その声は聞き覚えがあり、どことなく嫌な予感しかしない。
ギギギギギギとゆっくり振り返ると、笑顔だけど、目が笑っていないアリス姫の姿がそこにあった。
来ているのは寝間着のようだが、よく見るともう片方の手にはあのネックレスがあった。
(えっとね、その・・・)
(アルに何を仕掛けようとしていたのですか?)
起こさないように小声で会話をし、ラン王女は物凄い恐怖を味わう。
(・・・・アルのこのネックレスで来てみたら、なに夜這いをかけようとしているのですかねぇ・・・私もまだやったことはないですのに)
(いや、その、えと・・・)
(とりあえず、ここから出てゆっくりと話し合いましょう)
(・・・・はい)
アリス姫とラン王女は互にアルを起こさないようにして部屋から出ていき、その場にはアルの寝息だけが残った・・・。
朝になったらアルはどう反応するかな?
因みに、ネックレス改良みたいなことをしたので新しく変えてのせたほうが良いのかな。