086 こういう時ってどこで寝ろと
本日2話目
「ふぅっ、良い湯だったわ」
風呂からラン王女が上がってきたけど・・・・うん、直視しにくい。
見た目だけは結構きれいな人なんだよね。乾ききっていないけど濡れて張り付いて美しい毛並みをもつ髪と、しっとりとした状態なのか替えの服が張り付いてその体形がよくわかるのですが。
神龍帝とかに転生はしているけどさ、俺の最後って一応男子高校生と言う青春の時期だからね。
地味にこれは精神的にきついかもしれん。・・・うかつに泊めなきゃよかったと後悔しても遅い。
「乾かすためのドライヤーならあるけど、使うか?」
「ドライヤー?」
あれ?もしかしてその関連の道具ってないのだろうか。
「これだよ。魔石を動力にして温風を出して髪を乾かす魔道具だ」
「なるほど・・・これは見たことがないわね」
あ、やっぱこの手の魔道具ってないのか?
もともとこのドライヤーって、雨に濡れた服を乾かすためにコークスタートルの甲羅を利用して作ったんだよね。
魔法でも乾かせるけどさ、魔法に頼りっぱなしと言うのも微妙なのでそのための魔道具を作ったんだよ。一応温風が出せるのだが、コークスタートルの甲羅の破片を仕込んで風を吹くようにしているだけであり、切り替えれば熱が無くなってただの風を出すことだけにすることも可能である。
案外これがよく使えてな、水浴びをしたピヨ吉たちの身体を拭くのにタオルを使用していたけど、こっちも気に入ったようなんだよね。
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「|風放射器」
星3クラスの日用品魔道具。使用されているコークスタートルの破片が小さく、そこまで値段は高くならないと思われる。
ただし、内部にある魔石をゴブリンのモノから上位のモンスターの物に切り替えれば物凄い風を引き起こすことが可能になり、星4クラスにランクアップする可能性がある。
髪を乾かす以外にも、羽を乾かすなどの用途が多い。
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なんというか、やっとまともそうな星ランクの魔道具が作れたような気もするんだよね。今までのが高かったというか、平凡なのを目指した結果やっとできたといううれしさがある。
・・・まあ、ラン王女が風呂から上がってくるまでにちょっと暇だったから作って見たのは平凡じゃなくなっているけどな。
記録更新したんだけどいいのかこれ?
「ん?アル、その小さな袋ってさっきの私の収納袋をまねして作ったのか?」
と、髪を乾かしていたラン王女がこたつに置いていたその作った奴に気が付いたようである。
「ああ、ラン王女が持っていた収納袋をまねしたやつだけどな。亜空間収納のスキルがあるけど、こういう手持ちに持てるようなやつもあったほうが良いかなと思って作ったんだけど・・・・」
「もしかして、アリスのペンダントみたいなものになっているの?」
察しが良いようです。
イエス、十分やらかしたと思える代物になってましたよ。
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「神龍帝の収納袋」
星5クラスの魔道具と化し、従来の収納袋の性能を大幅に凌駕した。
使用されている素材は神龍帝の鱗を超薄く皮みたいに叩いてつぶしたもので、頑丈性はすでに収納袋を超えている。
しかし、構造は収納袋とは違い「亜空間収納」のスキルを創造魔法で応用して似たような感じに付与したモノである。収納スペースは1キロ四方、重量制限なし。さすがに無限に入るようにはできなかったが、それでも十分すぎる性能となっている。
亜空間収納の特徴を持ち、内部に収納したモノには時間経過がない。生きているモノの収納は不可能。
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「・・・・・はぁっ!?」
「鑑定」の結果をラン王女に話したところ、超驚かれました。
2メートル四方で白金貨4枚分で、これまでの収納袋の限界サイズは10メートル四方。
思いっきりその限界を倍増しているからな。というか、これだとどのぐらい入るんだろうか。
「鱗を薄くした素材で、真似して作ったらこうなったからなぁ・・・」
「アルの鱗の素材だけでもとんでもないものだろうけど、これに使用されている技術もとんでもなさすぎるわよ!?」
はい、この間自重しようかなと考えていたけど作ってしまった自分にすごく反省しています。
と言うか近い近い近い!!詰め寄られているんですけど迫力が怖い!!
「・・・・ラン王女、これ使うか?驚かせたわびとして」
「驚かさられてもらえるの・・・・!?このもう国宝級並なのを・・・・・・!?」
・・・でもさ、たぶん全力を尽くせばもっと物凄い性能になっていたと思う。星クラス突破したんじゃないかな。
まあ口は禍の元だし、墓場までその可能性は黙っていこう。いつ死ぬのかは自分でもわからないけど。
とりあえず、ラン王女のもともと持っていた収納袋にさらに収納してもらうことにした。
一応本来は収納袋は収納袋には干渉しあって入らないらしいが、俺の作った奴は根本から構造が違うために入るみたいである。
「それにしても、アルには驚かされるわね。アリスのペンダントといい、試合での実力といい、極めつけはこのめっちゃくちゃな収納袋ね」
「一応、盗難に遭わないように今付与で『盗難防止』って言うのを付けたからな。持ち主以外が盗もうなんて心で考えると『麻痺』が襲う仕掛けだ」
アリス姫のネックレスについている「神龍帝の威圧(劣化版)」でもいいかもしれないが、あれって下手したら気絶した相手が異臭を放つ可能性があるからな。どんな理由かは想像に任せるけど。
なので、この間アリス姫が来た時にペンダントに改良を加えていたりする。
こたつで暖まりなおしてふと気が付いたけど・・・
「そういえば、寝るところはどうする?このままこたつの部屋で寝るか?」
ラン王女の寝床をそういえば用意してなかったな。この家客人と話すためのこたつの部屋とかはあるけど、客人を泊めるための部屋はなかったんだった。アリス姫とかも日帰りで帰宅するし、たまに依頼で留守番を頼むゲバルトとラスランは適当な場所で寝るし。
とりあえず、ラン王女の寝床はこたつにした。
一応、こたつをつけっぱなしの状態だと風邪をひくので切った状態にしてもらう。とは言っても、中に仕込んであるコークスタートルの甲羅の破片をいったん取り出せばいいだけだから楽だね。
そんでもって、俺は普通に自分の部屋のベッドの方で寝ることにした。流石に同室で寝る勇気はないよ。
なんかラン王女が残念そうな顔をしていたけど気のせいか?
同室回避・・・・できてるのかな?真夜中へと時刻は変わる・・・・
ここで思うが、寝相とかそのあたりを考えているのだろうか。