008 ヒヨコ可愛いな
本日2話目
コメントであった質問も兼ねて返している感じです。
SIDE アル
「ピヨーッ」
「ピピピー」
「おーよしよしよし」
すり寄ってくる2羽を俺は撫でてその羽毛の感触を楽しむ。
アリス姫がヒヨコをくれてから3日。
物凄く可愛いヒヨコたちを俺はモフモフしながら物凄い至福の時を過ごしていた。
ぶっちゃけ命を助けた対価がヒヨコ2羽というのも変な話だし、舐めているのかと言いたいが、あのアリス姫の喜び方から断れないし・・・育てば卵を食べられるんだけど・・・・
「ピヨヨ?」
「ピピピ?」
「可愛いなーお前らー」
このヒヨコたちが本当に可愛すぎる。
正直言って、ペットにするならば犬や猫よりこういった可愛い鳥派だよ俺は。
鳥臭いけど、でも可愛い。モフモフふわふわもこもこしていて、本当に可愛いのである。
「あー、癒されるぅ・・・」
「ピヨ」
「ピピ」
魔力がエサらしく、すこし流してあげればいいだけの様なので結構育てるのが楽だ。
人懐っこいし、頬をすりすりしたり、甘噛みしたり・・・
なお、名前はオスの方を「ピヨ吉」、メスの方を「ピヨ美」とした。
安直だけど、まあいいよね。・・・・鶏になるだろうけどそれでもかわいいものはかわいいし。
一応、安全のために鳥小屋を増設してそこに置いていて、昼間はこうして外に出して、夜中に入れる感じだな。
ついでに、自宅の周囲に何かこの子らを襲うようなやつが出ないように「神龍帝の威圧」を連続使用。
このぐらい脅しをかけておけばそうそう猛獣は来ないだろう。
うんうん、ペットがいるだけでだいぶ違うよ。この子らも大きくなれば卵産んで卵料理が食べられるし、ひなを産めば増えるし・・・・。
あ、将来的には増やす方面で考えてみるか。今はこの可愛さを堪能せねば。
ちなみに、魔力を与えている影響かは知らないけど、ちょっと人化を解いてみても怖がらなかった。
姿は違うんだけど、やっぱ俺だとわかってくれているようでいい感じだなー。
・・・まあ、出来れば次来た時には何か調味料の方を持ってきてとアリス姫に頼んだけど。
醤油やみそ、ごま油、塩、唐辛子、七味みたいなものもあるらしいしな。
ついでに果物の種とか、作物の種もお願いしました。
「ピヨー?」
「ピピー?」
「よしよし、可愛いなお前らー。今日は空の散歩でもするかー?」
「ピヨ!」
「ピピ!」
うれしいようで、跳ねる2羽。鶏は飛べないけど、こうして空の散歩に連れて行くと喜ぶよ。
あ、神龍帝の姿ではなくて人化したこのままで空を飛べる魔法を使用しています。両手で抱えて飛ぶとこのふわモコな羽毛の感じが・・・・
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SIDEアリス
・・・・・ルンデバラート国の首都にある城で、アリスは父親である国王に報告していた。
「・・・というわけで、無事に喜んでいただけたようです」
「そうかそうか、・・・・あーよかった」
アリスの報告を聞き、国王ザスト=ルンデバラートは安堵した。
先日、娘であるアリスを神龍帝という者に助けてもらっていたのだが、アリスが何をお礼にもっていけばいいのか悩んでいたのを知っていたのだ。
神龍帝はどうやら物凄い力を持っているようだとアリスから聞き、失礼のないようにお礼の品をもっていかせたかったのだが・・・・いかんせん、今の王族は国の象徴なだけの飾りである。
そこまで予算を動かせるわけでもなく、かといって・・・
「金なんかでお礼をしたら逆に危ないかもしれぬ・・」
国王の思いとしては、お金をもらって喜ぶのは人間だけだろうという想いがある。
人間には価値があっていいのだろうが・・・神龍帝とかいう者には意味がないと思っていた。
だが、助けられたのならばできるだけのお礼が必要だ。
そして、一番いい方法で思いついたのが食料である。
どんな生物にもたいてい食欲はある。ならば、この国最高峰の美味なるものを差し上げられればまだいいのではないだろうかと。
・・・というわけで、贈ることができたのは『雷鶏』というこの国最高峰の鶏のひなのペアであった。
成鳥をと思ったのだが、いかんせん実はこの鳥結構扱いが難しいところがあり、懐いていないと攻撃性が高いのである。
なので、ひなの時期から育ててもらえればいいのではないかと思い、ヒヨコを贈ったのであった。
育成方法も楽であるという点も考えている。
まあ、育てろと遠回しに言っているようなものだから機嫌を損なわれる可能性が怖かったのだが娘の話から感じ取れることは、どうやら不満はなかったようであった。
「敬意を払って『殿』や『様』づけしましたが、別に呼び捨てで構わないと言われましたが・・・」
「ふむ・・・・そこまで欲がないように思えるな」
娘の話によると、神龍帝・・・アルという名前の者はどうやら欲深いわけでもないのだが、かなりの力を持っているようだ。
しかも、騎士たちの話も合わせると教会の神官たちなんかよりも物凄い回復魔法も使えるようだし・・・無詠唱という点も物凄い。
「できるだけ、よい関係を築き上げられると良いのだが・・・・・・・」
下手に敵に回られたら、確実に国家滅亡の未来しか見えない。
「お父様、すこし提案があります」
「なんだ?」
「この国と、あのお方・・・アルがよい関係を築けるようにと思いまして、私はこれから時間があるときに彼のもとに通いたいのですが・・・・」
アリスはそう言った。
だが、飾りでも一応国王であるザストの眼で見る限り・・・・明らかにそういう意図ではない感じに思える。
「・・・まあ、いいだろう。ただし、馬車の整備費などはただではないからな。その辺は考慮しておけ」
「はい」
アリスがその場を去った後、国王はちょっと複雑な気持ちになった。
あの目はおそらく恋している感じで・・・相手は確実に神龍帝とやらであろう。
この際結婚とかまでしてくれたらこの国は安泰になりそうだが、父親としてはまだまだ娘を離したくない気持ちになったのであった。
なお、アリスの母はこのことにすでに気が付いており、密かに応援しようと決めていたのはまた別の話。
作者もヒヨコ飼いたい・・・・
でも無理なんだよね