072 神龍帝VSラン王女
こういうバトルシーンはできるだけ書くのを避けたい
よくこういうのをかける人がいるよなー
SIDEアル
「・・・・先日の手合わせの時とは違うけど、挑むのか」
「はい、どうぞよろしくお願いいたします」
互いに確認をして、アルとラン王女はそれぞれ構える。
今回は先日とは違って最初っから本気で来るようだし、油断しないほうが良いかな。
いくらこの体がチートみたいなものとはいえ、人化時の姿はどうも神龍帝の姿時よりもやや弱体化しているようだし、骨とか折れたら嫌だしな。
骨折って前世でもなったけど本当に痛いんだぞ。いやもう、ごきって鈍い音がした後に来るあの痛みは転生した今でも結構トラウマになっているんだよね。
『両者構えまして・・・・試合開始でぇぇぇぇぇぇっす!!』
バァァァァァァン!!
司会というか実況をしている人が開始の宣言をした途端、その合図として大きなどらが叩かれて、開始の合図が出された。
どこぞやの武闘会と同じような開始の仕方だなと思いつつ、試合に集中する。
目の前にラン王女の拳が飛んできていた。
・・・・そもそも、俺は格闘に関してはほとんど素人の様なものである。
前世で空手とか習っていればよかったかもしれないが、まあそのあたりは仕方がない。
だが、こちとら本とか漫画とかそういう物でそれなりの知識ぐらいはある。
拳を見切り、横に体を動かして絡めとり、その勢いを利用して投げる。
合気道モドキだが、うまいこと言ったようだ。
けど、さすがラン王女というべきか投げられても空中で落ち着いて態勢を立て直し、きれいに着地する。
投げたダメージはほとんど入ってはないだろう。
だけど、同じ手は通じにくいだろう。
次にラン王女は素早く動き、もうラッシュの打撃、蹴りなどを繰り出してきた。
かわし、受け止め、流し、相殺しあう。
・・・ついでに、この身体での手加減の仕方も実は学習しているんだよね。今回のこの試合はある意味都合がよかったというべきか。
ここ最近魔法に頼ってばっかなような気がするし、肉体酷使をしないとな。
ラン王女の攻撃を受けながらも、こちらはダメージを受けないようにしつつ、決定的な一撃を与える隙を狙う。
肉を切らせて骨を断つだっけか。傍目から見れば押されているように見えるかもしれないけど、そんなのはどうでもいい。
連続攻撃を防ぎつつ、隙を持て軽い一撃を与えていく。
いやほんと、加減の仕方とか覚えるのにちょうどいいかも。
何回も攻防を繰り返すが・・・・もうそろそろ反撃開始か?このぐらいまでなら多分大丈夫だと思う。
「よっと」
「!?」
すばやくその場からバックステップで一気に後退する。
拳と蹴りが空振りしたので、ラン王女は素早く判断して攻撃に備えて防御の体制をとる。
まあ、その防御で防げるとは思えないけどね。
後退した後、一気に地面を蹴り上げる。
瞬間的な加速により、地面が一気にめり込んだ。
そのまま加速して一気にラン王女まで迫って飛び越す。
跳び箱の要領ともいえばいいのだろうが、その行為にラン王女は驚き判断が送れる。
くるっと半回転をして、手でラン王女をつかみ、その回転をさらに続けて一気にたたきつける!!
・・・・たたきつけられて、ラン王女が動かない。
死んでないよね?
内心不安が増したが、審判と思わしき人が来た。
で、ちょっと確認してもらうと・・・どうやら気絶のようである。
『ラン王女気絶!!よって勝者は神龍帝のアルだぁぁぁぁぁっつ!!』
わぁぁぁぁぁっ!!と観客席がわっと歓声を上げた。
こうして、試合は俺の勝利というとになったけど、気絶したラン王女はそのまま医務室行きになった。
一応たたきつけたときの音とかから骨折していないのかなど診察するんだってさ。
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SIDEラン王女
「・・・・ここは?」
ラン王女が目を覚ますと、そこは試合会場とは違う部屋のようであった。
少々考え、そこに至るまでの経緯を思い出す。
そして、理解した。
「そうか、私は負けたのか・・・・」
神龍帝のアルと試合をした。
猛攻を全力で仕掛けたのだが、どれもほとんど効果はなく、避けられ、流され、利用されていた。
そして、神龍帝の様子と言えば、こちらの隙をうかがって軽い攻撃を仕掛けてきた。
あの攻撃のタイミングの時が、自分の弱いところだとラン王女は自覚する。
そして、攻撃し続けた後に、アルは素早く後退して距離を取った。
加速して突っ込んでくるのかと思い、防御をしたのだがまさか飛び越えられるとは思ってもいなかった。
そのままの勢いでつかまれ、たたきつけられたところで意識が途切れている。
「・・・・完敗ね」
相手の方が実力が上で、その差をはっきりと見せつけられたような気がする。
「そのとおりだ娘よ。お前は負けたのだ」
と、気が付くとハルカンドラ王がその横にいた。
どことなく優し気な顔で、ラン王女が負けたことを慰めるような顔をしていた。
「まあ、この世にはお前よりもはるかに強いものがおる。あの神龍帝の強さは見ているこっちからでもわかるほどとんでもないものだったが、ある意味しっかりと初めての敗北を味わったのではないか?」
そう告げられて、ラン王女は自分の敗北をしっかりと受け止めた。
ガッバーナの時は微妙だが、今のアルとの戦いでは完全に負けたのだと自覚する。
けど、敗北の口惜しさとかもあるが、それとは別の感情も見いだせたような気がした。
なんとなく高鳴るような、やっと見つけたかのようなそんな高揚感もあるのだ。
「そういえば・・・アルは試合後どちらに?」
なんとなく、今この瞬間ラン王女はアルに会いたくなった。
「見舞いの品としてそこに花を置いていった。下手したらちょっとやばくなっているかもしれないと不安そうにはしていたが、一応気絶だけだったので安心はしたそうだ」
ハルカンドラ王が指さした先にあったのは、花瓶に飾られている花束。
紳士的な優しさもあり、自分より強く・・・・・・・ふと、抱いている気持にラン王女は気が付いた。
なんとなく想うと胸が高鳴り、ドキドキするこの感覚。
ハルカンドラ王はその娘の様子に気が付き、やっと娘も年頃の少女らしくなったのかと安堵の息をつくのであった。
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SIDEアリス姫
「ん?」
ふと、寝ようとしていたアリス姫は乙女の勘が何かを知らせたのに気が付いた。
「いま・・・・なんか嫌な予感が当たってしまった様な気が・・・・」
・・・・おや、修羅場かな?
アルの平和な日常がどうなるのやら