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064 姫とはいったい

うん、書いていてこのサブタイトルな気持ちになった。

SIDE ジューメンダス獣人国


「キック!!チョップ!!パァ―ンチ!!」

「ぐぇぇぇぇっつ!!」


 ジューメンダス獣人国のジューメンダス城内にある模擬戦場にて、模擬戦が行われていた。


 とはいっても、国を守る騎士たち同士ではなく・・・・



「さぁっ!!他に挑む者はいないのですか!!」

「姫様・・・・もう対戦相手となる兵士たちがボロボロなんですが・・・・」

「ええっ!?この弱さじゃ何があってもダメダメじゃないの!!」

「いえ・・・姫様が強すぎるだけですって・・・」


 倒れているのは、先ほど全力も出してみたけど結局はぼっこぼこにされた騎士たち。


 対するは、無傷でまったく疲れも見せていない武器も持たずに素手で立っている一人の少女。


 彼女はこの国の王女、ラン=ジューメンダス第1王女。


 狐の獣人であり、金色のふわっとした尻尾と耳、それに合うような綺麗な茶色の髪を持ち、外見だけ(、、、、)なら淑女と言ってもいいような美女であろう。


 だが、中身はとんだおてんば姫であった。


 今日も騎士たち同士の模擬戦に参加し、最初は騎士たちは姫様だから手加減しようとしたのだが、ラン王女がどこからか大岩を持ってきて、


「本気じゃないと、顔面こうなるわよ」


 と、にこやかな顔をして、優しい声でそう言ったかと思うと、拳で岩を殴った瞬間、一瞬で岩が爆発四散したのである。



・・・・はっきり言って、ラン王女の強さはとんでもなかった。


(これって、俺達が守るような相手かな)

(むしろ、俺達が守られるような・・・・・)


 床に倒れている騎士たちは、皆心の中でそう思いながらも、ぼっこぼこにされた体の痛みに寄って動けなかった。


 全力を出して、結局ぼろ負けしたのである。


「うーん、騎士たちがもっと強くなるためにも訓練メニューを増やしたほうが良いわね騎士団長さん」

「はっ・・・ですが、しばし休息をお願いいたします・・・。ルンデバラート国との友好30周年式典までもうすぐなのですから、警護に当たる騎士たちの治療に時間が・・・」


 騎士団長自身も物凄くボロボロになっており、どれだけの激戦というか、一方的な蹂躙だったかよくわかる。


「しょうがないわね」


 はあっと溜息をつき、ラン王女はその場をあとにしたのであった。







ジューメンダス城内で、ボロボロになった騎士団長からそのことを聞いた国王ハルカンドラ=ジューメンダスは苦笑いをした。


 彼は狼の獣人であり、妻が狐の獣人である。


「あははは・・やはり娘というか、とんでもないな」

「笑い事ではないですよ・・・」


 ハルカンドラ王は自身の娘とはいえ、そのおてんばっプリに自身の昔の姿が浮かぶようであった。


 この娘にしてこの親あり・・・・国王自身も、若い頃騎士団たちを壊滅させたことがある。


 しかも、他国を渡り歩き、騎士破りのハルカンドラという異名もついていたり・・・・



「しかし、ランもそろそろ年頃だしな。婿でも貰えば少々おとなしくなるかもしれん」

「アレ相手で大丈夫そうな人っているんですかね?」


 国王の娘をアレ呼ばわりされたが、ハルカンドラ王自身十分理解しているので、別に罰するようなことはしなかった。


「以前、他国の皇子と見合いをさせようとした時は猛反発を喰らったからなぁ・・・」

「ああ、陛下が空中398コンボを決められたわが国最高記録を誇るあの事件ですか・・・」


 過去、ラン王女にハルカンドラ王はこっそりお見合い話を黙って進めようとした時があって、持ち前の野生の勘で気が付かれ、物凄く怒られて瀕死の重傷を負った時があったのだ。

 

 その時に、空中で何連打もの打撃を喰らったのだが、その打撃回数は今でも世界記録だったりする。


「見た目だけなら我が亡き妻にそっくりな美貌をもつがなぁ」


・・・まだラン王女が幼きときに、国王の妻であったカトレア=ジューメンダス王妃は病に倒れて、旅立たれてしまったのである。


 そのさみしさゆえか、ラン王女は紛らわすために武闘にのめり込み、現在国最強レベルになってしまったのだ。


 その美貌は、王妃そっくりであり、求婚しようとするものももちろんいたが・・・・中身がね。


「ラン王女の希望は確か・・・」

「自身より強く、優しく、顔立ちもいい人が良いというモノであったな。なおかつ生きているものでな」

「そんな都合の良い人物がいますかね・・・」

「この国にはいないだろうな」


 断言するハルカンドラ王。


 娘のことであるが、まあ、油断さえしなければおそらくこの国最強であり、いるとしたら他国の人しかいないだろう。



 王女の縁談話がなさそうなことに、国王と騎士団長は互いに頭を抱えるのであった。


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「・・・これってさ、攫えるのか?」


 その様子を探っていた者がいたが、彼もまたそのすさまじさに冷や汗を流した。


 数日前、今度の30周年式典でアリス姫とラン王女を攫えという依頼があったので、その下調べのためにこの国のあちらこちらに手下を放ち、自らもまた動いて調べていたのだが、ラン王女のすさまじさに呆れの声を出していた。


「武闘大会と運動会と体育祭どれも連続MVPと連覇って・・・・。武器を持たない格闘家でもあり、この国最強の姫であり、見た目だけなら美女だが・・・・。どんな姫やねん」


 調べれば調べるほど、呆れるほど武勇伝が出てきた。


 こっそり国から出てギガンテスとかトロールなどの大型モンスターをぶっ倒したり、公認モンスターであるデュラハンのガッバーナとかいう人物と戦って惜しくも敗れたがかなりの接戦だったりともうモンスター並みである。


「勘も鋭いけど、一応隙とかはあるからこの時を狙うしかないか・・・・。はあっ、こういう狐のケモミミ少女はおバカなタイプか、妖艶の美女って決まってそうなのにその両方を持つとはある意味新しいぜ」


 ため息をつきながらも、計画をその人物は両国の姫を攫う計画を練っていくのであった。


「手錠をはめて逃げられないようにしても、ただの鋼鉄製だと引きちぎる可能性があるのか・・・・もうコイツのスペックがチート並じゃねぇか!!」


 ・・・・調べ上げて、作って、読み上げた報告書を、自身で床に思いっきり叫びながら叩きつけもするのであった・・・・・




この黒衣とかいうやつの一人が叫ぶ気持ちはなんかわかるような気がする。

ガッバーナが勝っているようだけど、彼はデュラハンでアンデッドでもあるから生きているという定義にはあてはめにくいのでなしだとか・・・・


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