063 外交話
なぜかエラーが出てきて困った。
最近そういうつながりにくいことがまた出てきてませんかね?
「ふーん、しばらく国外に行くんだ」
「ええ、来週から1ヶ月ほどですが『ジューメンダス獣人国』に行くんですよ」
アリス姫は今日も遊びに来たのだが、告げた内容はどうも外交の話のようであった。
「友好国の一つだっけ?」
「はい、我がルンデバラート国との友好条約締結30周年を迎えまして、その記念式典があちらで行われるらしく、それに出席するんです」
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『ジューメンダス獣人国』
ルンデバラート国と友好的な国の一つ。獣人と呼ばれる種族が集まって作った国であり、年に3回は武闘大会と運動会と体育祭を開くほど体を動かすのが好きな国民性。
30年以上前はそこまで国交が盛んではなかったのだが、30年前にジューメンダス獣人国で大災害が起きたことがあり、その時に復興の手助けをして以来、互いに友好条約を結んで助け合う仲になった。
王政であるのだが、歴代国王は必ずと言っていいほど自由奔放である。
『獣人』
犬、狼、猫、狐、熊などの獣の特徴を持つ人に近い種族。
別に差別などはなく、誰もが体を動かすのが大好き。
昔は人間とも争うこともあったが、今は一部の過激集団を除いて超・友好的である(はずらしい。たまに喧嘩などがあったりするからなぁ)。
武術に優れた者が多く、盗賊などが襲ってきても返り討ちにしやすくて絶対襲ったらまずい相手とも言われる。
なお、寿命は人と大差がない。
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まあ、この世界に来て1年は経ってないけど、結構これでも勉強はしているんですよ。
いつもここでのんびりしているわけじゃないし、何か面白そうなものがないかとか、作れないかなとか探求しているんだよね。
「そういう外交関係の話は、俺にとっては無意味だけどな」
「公認モンスターなのが、その理由ですよね」
公認モンスターは、かなりの力を持ち、意思疎通なモンスターが登録したりするものである。
で、モンスターなので別にどの国の立場に付こうとも文句は出ないらしい。
基本的には中立の立場を持つ者が多く、俺も基本は中立な立場である。
だって、国の争い事とかに巻き込まれたらめんどくさいからね。
戦争とかになったとしても、大量殺人みたいになるから気持ち的には嫌なんだもの。
「しかし、友好30周年記念か・・・・なんか面白い事でもないかな」
「基本的には、両国の王族同士のパーティと、友好を深める催しだけですからね。ルンデバラート国の場合、王族は国の飾りの様なものですが、それでも行くことに意味があるんですよ」
「で、本心は」
「めんどくさいです・・・って、何を言わせているんですかアル!!」
怒ったかのように頬を膨らませてポコポコ叩いてくるアリス姫。
痛くもかゆくもないけど、なんとなく可愛いな。
「まあ、楽しんできたらいいんじゃないかな?武闘大会とかあったら参加はしてみたいけどね」
なんとなくそういう物には参加はしてみたいよね。人化時は基本魔法で攻撃しているけど、ちょっとはそういうのにも自信があるんだよ。
「公認モンスターが参加したら誰も参加しないと思うんですが・・・」
あ、そうか。自分モンスターでした。
ちょっと残念だけど・・・・仕方がないか。
「お土産があったら買ってきますよ」
「わかったよ」
その後は他愛もない話をして、アリス姫は城に帰っていくのであった。
しかし、なんか面白そうなのが気になるな。・・・・あ、そうだ。別に俺の場合どこへ行こうが勝手だし、こっそりついたころ合いを見計らって俺もこっそり潜り込ませてもらおうかな?
以前の帝国潜入とは違って、今回はそういう危ない陰謀とかないだろうし楽しめそうだ。
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SIDE???
どこかにある真っ黒な屋敷で・・・・・
「へぇ、この『黒衣』にまた何か依頼が来たのかい?」
「ああ、今度の依頼はジューメンダス獣人国のとある貴族の野郎からだ」
「まーた帝国の様な坊ちゃんみたいなやつかい?」
5人の人影がその屋敷内にいて、一人が持ってきた話を聞き、この間の事を思い出した別の一人がしかめっ面をしてきた。
「いや、今度はあの腐れ廃嫡死刑野郎のようなそういう色欲の理由ではなくてだな、なんでもルンデバラート国との30周年友好記念式典を行うらしく、その際にちょっとルンデバラート国の姫と、自国の方の姫さんを攫ってきてほしいという事だ」
「そりゃまた何で?色欲とかそういう理由ではないとか言っているけど・・・」
「まあ、過激派のやつでな・・・」
「あー、なるほど。戦争を引き起こして互に争いたいようなやつか」
「そのとおり」
「なんで獣人って皆、あのモフモフな耳とかしているのに、一部にはそういうとがったやつがいるんだろうか・・・・。猫耳とか、犬耳とかいいじゃん、ファンタジーじゃん、異世界じゃん!!戦争とかそういうのはいらないっての」
「時折訳の分からないことを言うなお前は・・・」
その一人が言った言葉に、その場の全員が呆れた溜息をついた。
「まあ、仕事って言うならやるけどさ・・・攫うならその獣人の方の姫の耳をどさくさに紛れてモフモフしたらダメかな?」
「我慢しろ。娼館とかは一応あるからそこで好きなだけモフモフしておけ!!」
「あれ?なんでそういうことを知っているんですかねぇ・・・」
にまぁと一人が笑ったので、発言したその人物は横目をそらした。
・・・実は、獣人のモフモフした耳とかは結構人気があったりもするのだ。
「と、とりあえず決行は両国が式典パーティをしているときに、隙を見て行う!!我々の活動だと知られるなよ!!」
「「「「ハイハイ、わかってますよ娼館に行くんでしょう?」」」」
「わかってねぇだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
4人がニマニマとした目で見たので、その人物は心からの叫びをあげるのであった・・・・・・
この暗躍してそうな5人組って仲良さそうだな。
シリアスっぽい話に見えて、結構シリアスをぶち壊しているのである。