059 こたつのために三千里 その4
本日2話目
サブタイトル通りに進みたいけど、ちょっと遅いな。
「さてと、そこでこっそり隠れている商人たち・・・・いや、違法奴隷商人たちともいえばいいのかな?」
そうアルが指摘した瞬間、護衛の冒険者たちの背後の方で隠れていた恰幅のいい商人とみられる人たちがびくりと体を震わせた。
「違法奴隷商人」と言った時に反応したので、自覚しているよね?
「わ、我々は違法な奴隷商人ではなく、ただの奴隷商人であるのだが・・・」
びくびくしながらも、商人たちの中でもまだ体の立派な一人が話してきた。
「へぇ、その馬車の中をさっき見たけど、中にいる人たちって首輪が付いていて奴隷っぽかったけど、鞭の痕とかついている人がいたけど?」
「な、なぜそのことを!!」
「おいばか!!」
そのほかの商人のうち一人が思いっきり自白と同じことを言ったので、もう一人がその口を防ぐがもう遅い。
「鞭か・・・・奴隷に関する法律じゃと、そのような体罰用の道具は使用が禁止されているはずじゃが?」
「違法奴隷とも言われるでござるな。そのような扱いは違法で、関係者に関して厳しい罰則があるでござるよ」
「そのことを知りながらも、護衛依頼を引き受けていた場合でも違法扱いの関係者として処分は免れないわよ」
ザップリンさん、アラモードさん、ミランさんがそれぞれそう言ったとたんに、護衛をしていた人たちの顔がものすごく青くなる。
ギルドマスターであるザップリンさんたちを知っているようで、もう十分やばいことを自覚したのだ。
かと言って、ここで俺達を攻撃して見られなかったことにすることもできまい。
先ほどの盗賊たちで苦戦していて、それをあっという間に片づけたからね。実力差はもう十分わかっているはずだよ。
「すいませんでした!!」
「俺たちは金で雇われて護衛をしていただけなんです!!」
「黙って護衛をしっかりしていれば報酬は倍払うと言われて!!」
「というか、その奴隷たちも違法な手段で奴隷にされた人たちらしいんです!!」
・・・・超・速攻で判断した護衛をしていた冒険者たちが土下座してすべて白状した。
物凄い速さの変わり身に、ちょっとぽかんとしたよ。判断の速さこそ、生きのこれる秘訣だろうな。
「な!!お前ら!?」
奴隷商人たちも顔色を変えた。
というか、物凄く速く白状されたせいで速攻でこの商人たちが違法な者たちだとすぐに明るみに出たよ。
「一応情緒酌量の余地はありそうね」
「ランクダウン程度の処分じゃろうな」
重いと登録永久取り消し処分らしいが、今回はランクダウン程度で済むらしい。
取り消しされたら、見る限りかれらの年齢だと再就職は難しそうだし、何とか稼げる冒険者のままでいられるのはいい方らしい。
またランクを上げるのは大変そうだけど・・・・・そこは自業自得だ。
違法奴隷商人たちのほうは恐ろしく顔を青くしている。
恰幅の良さからしてそれなりに稼いでいそうだけど、違法奴隷商人だったので何で稼いだかはお察し。
とはいえ、ここにいるのがギルドマスターばかりだというのがわかったので蒼白になり、更に、
「ついでじゃが、下手に逆らわんほうが良いと思うでござる」
「その人、人じゃなくて公認モンスターの神龍帝だから」
ギルドマスターがそう言ったところで、人化を解いて本来の姿を見せた途端に、彼らは蒼白を通り越してもはや燃え尽きた色になっていた。
うん、脅かし過ぎたかもしれない。
とにもかくにも、奴隷たちの方を見てもらうと、やはりこの扱いは違法なものであり、しかも何人かは攫われてきた人達らしく、奴隷商人たちはまだまだ余罪の可能性が出てきた。
怪我している人もおり、一応回復魔法をかけて治したら物凄く感謝されました。
奴隷たちは後で調べて、きちんとその身元とかを判明させるようである。
「あとは、そこで寝っ転がっている盗賊たちか」
冒険者、商人、奴隷と解決していったので、残すは先ほどから動けない盗賊たちある。
商人たちはもはや逆らえないとわかって完全に魂が抜けたような感じになっているからいいとして、この盗賊たちを引き渡さないとな。
ただ、さっきから気になっているとすればこの盗賊たちの一人の事である。
ツッコミを入れていたのだが、「侍口調」と言っていたのを思い出す。
この世界に侍がいるかどうかはわからないが、このあたりにはいないはず。
それなのにそうツッコミを入れられたということは・・・・・・・俺と同じ「転生者」の可能性がある。
そのツッコミを入れたやつに対して、「鑑定」のスキルで調べてみると・・・。
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種族名:『人間』
名前:タナカン
性別:男性
HP:235
MP:40
スキル:「言語翻訳」「短剣使い」
称号:「盗賊の下っ端」「殺人快楽者」「R18指定の犯罪行為者」「転生者」
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案の定、転生者のようである。
というか、称号にあるのがひどいな・・・・・「R18指定の犯罪行為」って称号を見ると明らかに救いようがないのが分かる。
まあ、転生先の環境が悪かったのか、もともとの性根が腐っていただけわからないけど、こうして捕まったからには二度と日の目を見ることはないだろうな。
一応同じ転生者同士、哀れんでおいてやるよ。
とりあえず、全員まとめて首都のギルドに転移して、奴隷商人たちと盗賊たちは取り調べのために連行されていった。
奴隷たちは身元をよく調べて、犯罪歴などがないか確認した後にその故郷へ送り返す予定だとか。
ともかく、今回のことに付き合ってくれたギルドマスターたちにお礼を述べて、俺はコタツを作る材料を求めて進むのであった。
初の転生者が犯罪者になっているは残念だけど、これはこれ、あれはあれの精神で無視だ!!
さっさとコタツを創るためにも目的地まで行かないとね!!