058 こたつのために三千里 その3
シリアスはやはり壊すものである。
今回はどっちかというとふざけた感じ
SIDE盗賊たち
「きゃっはぁぁぁぁっ!!」
「ひぃぃはぁぁぁっぁあっつ!!」
盗賊たちは久しぶりの獲物で歓喜していた。
彼ら盗賊「ストーム団」。
その最大の特徴としては、全員動きが素早く、まさに嵐のごとく突如現れて襲い掛かかるのだ。
各地を転々として、その行くて先々で神出鬼没に表れては襲い掛かり、狂人のごとく暴れまわる。
今回の強襲は、彼らの行く手に商人の馬車があった、ただそれだけが理由である。
推定するに、この商人たちはおそらく奴隷を扱っており、中から少し臭う香りは違法なものであるのだと、同じく穢れた彼らにとってはわかった。
「くっ!!こいつら強いぞ!!」
盗賊たちから何とか応戦している護衛たちがそう叫ぶ。
「当たり前だぜぇ!!獅子はどんな獲物を狩るにも全力を尽くす!!俺たちもなにが相手だろうと最初っから全力よぉ!!」
油断せずに、速攻で終わらせるために、盗賊たちは最初から全力を出せるようにしているのだ。
中には薬などで無理やり自身を強化する奴もおり、無慈悲に最初っから完全フルパワーで襲い掛かるのだ。
「あーはっはっはっは!!チートもないし、盗賊を倒すのが王道だろうが、盗賊側になって見ると結構愉快だぜ!!」
その中には、なぜかおかしな言動をする奴がいたが、誰もそんなのを気にしていない。
ここに要る盗賊は皆わけありで、それでいて鋼のように固い結束力がある。
今回も、このまますべて略奪できるかと思ったその時であった。
どぉぉぉぉぉぉぉぉん!
「!?」
「なんだ!?」
いきなり、戦闘中だった彼らの背後から何か爆発音が聞こえた。
カッ!!
「眩しっ!?」
「光魔法か!?」
いきなり、そこから閃光が走り、一気にその場が照らされた。
「・・・・ひとぉーっつ!!人の世に我らあり!!・・・でいいのよね」
いきなり、誰かの声がその場に響き渡る。
なんか自信がなさげだったが。
見ると、その眩しい光を放っている場所に、誰かが数人ほどたっていた。
「ふたぁーっつ!!振り返って見よその行い・・・でござる!!」
「なんか侍口調のやつがいる!?」
盗賊の一人がそうツッコミを入れたが、不思議と誰もその場を動けなかった。
なにか、逆らってはいけないような、そんな重圧を感じるのだ。
・・・というか、声を出しているその謎の人物たちの一人が同意するかのように頷いていた。
「みぃーっつ!!見たまえその行為の愚かさをじゃ!!」
ばっと、その謎の人物たちが散らばって、周囲を取り囲んだ。
「よぉーっつ!!読み上げろその辞世の句を!!」
見ると、どうやら4人ほどの人物で、全員何かの仮面をつけていた。
まるで祭りで作られたかのような仮面だが、戦闘を繰り広げてきた盗賊たちは、その仮面の人物たちは只者ではないと悟る。
さらに、その中でも明らかに一番ものすごい重圧をかけてくる者がいた。
「な、何者だてめえらっ‼︎」
冷や汗が滝のように流れながらも、盗賊の一人が叫ぶ。
彼はこの盗賊団のリーダーであり、まだ叫ぶだけの気力があった。
だが・・・
「答えを知る必要はない‼︎『麻痺』」
そう謎の人物たちの一人が答えて、何かをつぶやく。
その途端、何か全身が痺れたような感覚が盗賊たちを襲い、その場に倒れたのであった・・・
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SIDEアル&???
「これ・・・いる必要あった?」
「いや、楽しかったでござるが」
「うむ、男心的には面白かったのじゃ」
「でしょ?」
仮面の人物たちは・・・・アルとミラン、アラモード、ザップリンであった。
どう扱えばいいのかわからなかったので、とりあえずギルドマスターたちを真夜中だけど呼んできたのである。
幸いにも、仕事で遅くなっていたのかまだ起きており、事情を伝えて一緒に来たのだ。
そして、今の事は・・・・まあ、その場のノリ的なもの。
ほら、こういう時ってなんかこう堂々と叫んで登場してみたいじゃん。どこぞやのRの服の人みたいにやって見たかったんだよね。
アラモードさんとザップリンさんは男として共感できたようだが、ミランさんは共感できなかった模様。
まあ、今つけている仮面はこの前の夏祭りの時に購入したものだけどね。
正体を隠す意味もなく、とりあえず仮面を俺たちはすぐに外した。
その顔触れを見た瞬間、護衛として戦っていた冒険者の何人かは気が付いたようである。
「おい、あの老人は確かギルドマスターのザップリンさんだぞ・・・!?」
「あの姉さんはアララン共和国の大地の魔導士・・・・・!?」
「ござるござるのアラモードさん・・・?」
ん?アラモードさんだけまともじゃない覚えられ方してないかい?
とりあえず、冒険者たちは各地を移動しているだけあって、ギルドマスターの顔は覚えていたようだ。
さて、ここから話し合いを始めましょうかね。
さて、話し合いと行こうかね違法な奴隷商人諸君。
(某人がごみの大佐風での言い方のつもり)




