051 もはやこの人に聞くのは定番
ギルドマスターにちょくちょく会いに来ているけど、もはや慣れたのかザップリンさんも対応が余裕である。
数日後に、首都で開催されるという夏祭りに関して興味を持ったので、アルはザップリンさんのところに聞きに来ていた。
「なるほど、夏祭りに参加するのじゃな」
「ああ、それでどんなものかなと気になって。あ、これ最近作った漬物です」
「おお、ありがたいのじゃ。アルの作る漬物はうまいからのぅ」
一応、ここ最近食の研究をして漬物を作ってみたんだよね。
こういうのってお年寄りの人が好む感じがあったけど、案の定、ザップリンさんこれにはまったらしい。
まだまだ改善点はあるので、一応どこをどうしたらいいのかも聞いておきたいからな。
まあ、最近ザップリンさんにお世話になっているからそのお礼という事だけどね。
「この国の夏祭りはのぅ、射的、輪投げ、綿菓子、ゴフィッシュ救い、型抜き、投げナイフ、よぅよぅ、魔法の見世物などの出店が並び、最後には花火が打ち上げられるというモノじゃよ」
ほう、日本の祭りとほとんど変わらないのか。いくつかこの世界仕様になっているようだけど・・・投げナイフって危なそうだがいいのか?
「あと、この祭りには希望者には『和服の着物』とかいうモノがレンタル可能なのじゃよ。誰かが考えて、作ったものらしいが、これがまた着心地もよく、雰囲気に溶け込んでいるんじゃよな」
・・・・絶対俺のような転生者が考えたよね。だって、この世界で「和服」なんて初めて聞いたぞ。
あってみたいけど、その最初に考え出した人は不明らしく、会えないようで残念であった。
「また、その祭りに便乗して商売をやる冒険者もいるのじゃよ。この祭りで店を出して、儲けが出ればいい収入源となるからのぅ」
「そういうところって、面白そうですよね」
失敗すれば大損のようだが、成功すればそこそこ儲かるらしい。ゲバルトとラスランはどうするのかな?
「じゃが、この祭りで人込みが多くなるから、犯罪者も紛れ込むことがあってのぅ、そのあたりは注意が必要じゃ」
ひったくり、スリ、追剥って感じの人達も紛れ込むのか・・・・アリス姫と居る時は注意しないとな。
「あ、そうじゃった。先日手紙が来てのぅ、アルにも関係することなのじゃが・・・」
「なんですか?」
その手紙が何で俺にも関係するのかな?
「実は、差出人は公認モンスター《、、、、、》じゃよ」
「俺以外の公認モンスターですか」
いるのは知っているけど、ザップリンさんに直接手紙を出す奴か。
ザップリンさんと面識があるのって、討伐されたやつ、リッチキングとかいうやつと、話されていなかったやつだよな。
「以前、お主に話し損ねたやつで、種族は『デュラハン』というアンデッドのモンスターじゃよ」
「リッチキングの人も、アンデッドですよね?」
この人、知り合いにアンデッド二人いるのか。
というか、デュラハンって確か首が取れるやつだっけ?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「デュラハン」
全身が鎧で包まれ、圧倒的な防御力と、武器である大剣の破壊力、首がない馬に乗って移動が速いモンスター。大昔に死んだ騎士がゾンビではない方向に蘇ったモンスターとも言われている。頭と胴体が分離でき、頭が付いているときはその頭に体の主導権がある。しかし、頭と体が分離すると別々の意思を持つらしく、共生関係にあるのではないかとも考えられている。
騎士の名残か礼儀正しくあり、戦闘中でもできるだけ一対一の戦闘となるのを好む。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「名前は『ガッバーナ』というやつでな、こやつが公認モンスターになる際に少々もめごとは起きたが、基本根は良い奴じゃよ。じゃが、強いものを見ると戦って見たくなる癖があるのじゃ」
もめごとって何があったんだろうか?
「今は全国を武者修行で剣を極める旅に愛馬の首なしの馬である『オーリス』と共にめぐっておるらしいが、今回の祭りの開催される日にちょうどここを訪れるらしい」
「詳しいですね」
「まあ、こやつが問題を起こした時の対処をよくしておったからのぅ・・・・」
思い出したのか、どことなく遠い目をするザップリンさん。
なんかめんどくさそうな人の予感がするんだが・・・大丈夫かな?
「まあ、せっかくの機会じゃしこやつと公認モンスター同士、話し合ってみるのもいいかもしれぬ」
「機会があればそうしてみます」
めんどくさそうな予感がするけどな!!
初めての別の公認モンスターとの出会いになるか?
一応、アリス姫と夏祭りを見回るので会うのかはわからないけどね。




