045 初ダンジョン挑戦
一応アルはマイペース無自覚野郎です。自身がチートみたいなものだと自覚してはいるけど、それ以外に関しては無自覚というか、鈍感というか・・・・。
SIDEアル
「おー・・・なんかイメージ通りの場所だな」
現在、アルは迷宮に入っていた。
装備は元々の服装に加えて、念のためにナイフなども装備している状態である。
なお、ナイフは家から持ってきた鱗製の物で、切れ味は保証付き。
しかし・・・こういうダンジョンなんかにはいるとなぜかわくわくするのはなんでだろうか?
あれか?異世界ときたらやっぱこれでしょみたいな感覚が俺にあるのかな。
とにもかくにも、ガンガン行こうぜ!!
「・・・・と言って早30分歩ているけど全くモンスターでないな」
ダンジョンに出てくるモンスターは好戦的で、近くに来たらヒャッハー!!みたいなノリで襲ってくると聞いてきたのに・・・全く出会わない。
ダンジョンに出会いはなかったのか(モンスターの方で)。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
SIDEダンジョンに挑んでいるとある冒険者たち
「んーーーー?なんかやけにモンスターが多くねぇか?」
「そういえばそうだな・・・?」
彼らはしゃべりながらも、連携してダンジョンに挑んでいた。
ここから取れる鉱石を採取してくるのが目的なのだが、嫌に先ほどから急にモンスターが増えてきたのである。
「というか、なんか逃げてきた感じな奴が多いな」
モンスターが襲い掛かってくるのだが、いつもの獲物だぜひぃぃぃはぁぁぁぁ!!みたいなノリはなく、まるで逃げている最中に邪魔なものをどかすような必死さがあるのである。
「まさか、物凄くやばいモンスターでもこの階層に沸いたのか?」
「いや、こいつらは上の階層で見かけるやつが多い。上の方じゃないか?」
とにもかくにも、このままではらちが明かないので彼らは依頼をいったん中断して戻ることにしたのであった・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
SIDEアル
「全くモンスターに遭遇しないのはなんでだぁぁぁぁぁっつ!!」
いや、来ない方が普通は幸せなんだろうけど、期待していた俺にとっては不幸だからね!!
もともと暴れまわってストレス解消みたいなのを目的としているのに、こうも出会わないと意味がないじゃん!!
・・・・実は、アル自身無自覚であったが、神龍帝の気配というのは今の状態でも出ていた。
半年前はそこまで出なかったが、半年もたって体が成長し、その気配が人化しても漏れ出てきたのである。
そして、神龍帝は強大な力を持つモンスター・・・・下位にあたるモンスターたちにとっては、恐怖の対象でもある。
このダンジョン内にはゴブリンやコボルト、ウルフ、オークなどのモンスターたちがいた。
普通の彼らならば、その気配に気が付かずにそのままいた可能性があっただろう。
だが、ここダンジョンにいる彼らは普通のよりも好戦的であり、知能もそれなりにある。
その結果、神龍帝の気配に気が付き、自分達ではかなわぬ絶対的強者だと悟ってアルの周囲から逃げたのだ。
その逃げたモンスターたちは上や下の階層に逃げ、その階層にいたモンスターたちもその気配を感知して逃げていた。
残るのは、必然的にそれなりに自信があるモンスターか、本当に強いモンスター、その力量差が分からずにとどまるモンスター、そして、階層にいるボスモンスターだけであった。
そういうわけで、アルは現在全くモンスターとの戦闘ができないのであった。
「・・・待てよ?なにも普通にこの人化した姿で歩き回る意味はないな」
ふと思った、人化を解いてダンジョン内を飛び回ればいいのではないかと。
幸いなことに、各階層につながる階段は高くはないのに、ダンジョンの中は不思議にも天井が高い。
人化を解いて飛んでいけばいいのではないだろうか?
そうすれば、上から見ればモンスターを探せるし、ブレス攻撃でせん滅していける。
ブレス攻撃が強力過ぎるのは自覚しているのだが、ここはダンジョン。
ガンガンやっても多分大丈夫であろう。・・・・一応加減すればいいし。
にやりとアルは笑みを浮かべて人化を解いた。
・・・・だが、その日はまったくモンスターに出会わなかったのであった。
なんでだよ・・・・ダンジョンにはモンスターがいるんじゃないのかよ・・・・
他の冒険者たちにとっては迷惑な話だよな・・・・
これ何とかしないといけない問題だよね?