003 異世界にて初めての出会い
始めて主人公以外が出るな
この世界に転生して数日、俺はすっかりここになじんだ。
家の横に畑を作り、作物を植えていく。
作物といっても、この周辺にあった森の中から「鑑定」で食べられると判断したやつのみだけどね。
調べると、神龍帝のこの体は毒も平気なようだけどさすがに食べたくはない。
調理は・・・・まあまあできたのでいいか。前世で家庭部に入っていたことがあって料理は得意だもんな。
「それにしても、ここって本当に誰も来ないな・・・」
空を屋根に乗って眺めて、俺はふと思った。
いや、ここ数日ほどたつけどさ、誰もいないというか来ないというか。
ずっと一人で過ごすのもいいけどさ、たまには誰かに会いたいし、そういえばこの世界いまいち知らないよね。
「鑑定」を使用して見たけど、これってその地域名とかそういう物まではできないことがわかったし。
まあ、この神龍帝の身体かつ、チートじみたステータスだし文句を言わなくてもいいかな。
とりあえず、今のところこの湖と周囲の森しかよく見ていないので・・・・ちょっと飛んでみますカ。
「自分でも謎だけど、この羽でどうやって飛べているんだろう・・・・」
人化を解いて、神龍帝の姿に戻って飛んでいるのだが・・・これって本当どうやって飛べているんだろうか。
翼のサイズも大きいけどさ、明らかにドラゴンの大樹で飛べるかと言われれば無理があるようにしか見えない。MPとかって鑑定であったし、これが原因か?
「あ、創造魔法があるから別にこの姿にならなくても飛んで移動できるか」
ふと魔法で飛べることに俺は気が付いた。
まあ、今はこの体の扱い方に慣れておいたほうが良いかな?
ゆっくり飛んでみているが、どうやら住処の家の周囲の森はなかなか広めのようである。
開拓しようとかいう人はいないかな・・・燃やしたら危険だし、切り開こうにも時間がものすごくかかりそうだしね。
「ん?」
と、考えていたらなにやら煙が見えた。何かが燃えているのか?
「誰かが火を熾しているとか?」
気になったので、俺はその煙の発生源まで飛ぶのであった。
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SIDE アリス
アリスは危機を迎えていた。
「ぐへへへ・・・お嬢ちゃん、観念しな」
「ひっつ・・」
眼帯している男とか、スキンヘッドなどの男たちに彼女は今囲まれていた。
「姫様・・・」
彼女を守っていた騎士たちは、今怪我でその場から動けなくなっていた。
小旅行のつもりで城から出て馬車の旅をしていたのだが、この森に入って少したって、山賊たちに襲われたのである。
たかが山賊と騎士たちは思っていたのだが、思ったよりも人数が多くて数で負けてしまい、こうして地面に伏せられていた。
殺しまではしていないのは、あとでよりいたぶるつもりのようである。
ただ殺すのではなく、徹底的にいたぶる・・・・それが、彼女たちを襲ってきた山賊団の決まりの様であった。
そして、馬車は横転して燃えていて、逃走しようにも城で育てられていた彼女はそこまで体力がない。
アリスの貞操の危機であった。
「さて・・・野郎ども!!楽しみやがれ!!」
山賊団の頭らしい男が叫ぶと、周囲を囲んできた山賊たちが一斉に襲ってきた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
このままでは、私は生涯残る辱めを受けることになる。
舌を噛んで死にたくはなるが、そこまでの度胸はない。
山賊の一人が彼女の服に手をかけようとした時であった。
『グオォォォォォォッ!!』
突如、上空から物凄い咆哮が鳴り響いた。
大地を震わせ、木々が揺れ、身体が痺れるかのような咆哮・・・・
鳴りやんだ後、山賊たちは倒れた。
どうやら、その咆哮一発で全身がマヒしたようである。
「い、今のは一体・・・・・」
上を見上げてみると、そこには綺麗な純白のドラゴンがいた。
ドラゴンに関する話は聞いたことがあるけど、あのような綺麗な純白のドラゴンなんて見たことがない。
どうやら、先ほどの咆哮はあのドラゴンのものらしい。
どうやら助けてくれたようだけど・・・・一体何者なの?
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あー、やっべ勢いでなんか「神龍帝の威圧」使ったけど、倒れている人全員に効いたかもこれ。
煙の発生源へ向かってみれば、なんか血を流して倒れている人が何人かいて、しかもむさくるしいおっさんたちが女の子を囲んでいたからね。
助けようと思ったけど、ブレスは威力がありすぎるし、人化して魔法でと思ったけど、創造魔法だから攻撃と言われてもすぐにそう言った魔法を思いつかなかったよ。
チートと思っていたけど、これ意外な欠点だな。
で、消去法でいった結果、「神龍帝の威圧」を使ったけど・・・・オーバーキルだったかも。殺してはいないけど。
なんか漏らして倒れた人もいるし、あぶく吹いて倒れている人がいるし、騎士っぽい鎧付けた人も気絶しているよねあれ。
このスキル、「自分が認めた者以外」をひるませるらしいからとっさにあの女の子だけ認めたからなぁ・・・。
というか、ひるませるだけのはずなのにそれ以上の状態だよねコレ。
ともかく、まずは怪我がないか話しかけないとな。