038 潜入捜査2
なんとなくそういうこともやって見たくなる。
「こちらアル、ただいま敵の様子に異常なし。しかし増援をもとむ・・」
・・・・なーんちゃって。
一回こういうことはやって見たかったんだよね。こういう敵の基地に潜入するスパイ?某蛇っぽいというかその英語名が名前の人みたいに段ボールに隠れて近づくってやつ?
現在、俺はどこにいるかというと、バンダンガ帝国の皇帝が住むバンダンガ城に不法侵にゅ、ゲフンゲフン、潜入捜査をしていた。
この帝国の大馬鹿ヘドロ腐れごみくずカス野郎の第2皇子であるダラーヴァ=バンダンガとやらを見てやろうと思ったのである。
一応、「創造魔法」で光属性の魔法でちょーっとばかし光の屈折をいじって透明に見えるようにする「光学迷彩魔法」を創って、透明化しているから見つかる恐れはない。
できれば気配も完全に消せるようにしたかったけど、そこまでは無理だった。
実力の抜き足差し足忍び足でやれってことかな?
初めて城の中に入ったけど、暗いというか、じめじめとした印象があるな。
どこぞやのリフォーム番組みたいなようなことをしたほうが良いんじゃないかな?
「~~~でだと!!」
そのまま姿を隠して進むと、なにやら話し声が聞こえてきたので透明だから意味ないけどとりあえず物陰に隠れて聞き耳を立てることにした。
「くそぅっ!!捕まったのかよ!!」
「はい、こちらから送り込んだ者たちの定期連絡がないところからすると、おそらくはそうかと」
あ、やっぱこいつらからのか。
・・・・そうだ、「録音魔法」とかも作っておいて速攻でこの会話を記録しておこう。
みると、予想だと恐ろしくデブデブだったけど、意外にもすっきりとした体形のそこそこ顔は悪くないけどなんか根性がひねくれ曲がっていそうな男と、いかにも怪しげなフードでおおわれた・・・男性?がそこにいた。声からして多分そうだと思う。
「ちっ、警告のつもりで送った者たちだったが、まさかこうも捕らえられるとはな」
「ですがご安心ください。彼らにはあなたとの関与を否定するように指示をしておきました。我々は依頼主がだれかは絶対にしゃべらないことをモットーにしておりますので」
いや、それ大抵のそういった裏の事をやる人たちがしていることだと思うんですけど。
「そうか!!それなら安心だな!!」
どこがだ?いかにも胡散臭い奴の言葉でそう簡単に思えるなんておめでたな頭だな。
「しかし、このままだとダラーヴァ様が皇帝の位につくことはできないでしょう。他国の姫とのつながりを持って、そこの資金を我々に流してくれればまだ可能性はあったのですが・・・・」
・・・ん?なんか違和感のある会話だな。
「待ってくれ!!まだまだ金はある!!」
「いや、あなたはもう借金だらけでしょう。最初雇ってきた時はよかったんですけど、私たちはこれでも仕事ですのでしっかりとした報酬がなければ働きませんよ。調べてみるともうダラーヴァ様の財産はもう残りわずかではありませんか」
あれ?これもしかしてもうこの第2皇子見限られている感じか?自滅する可能性があったけど、早いなおい。
「いや、だから帝位に着ければ確実に金を支払うと」
「あのですねぇ・・・我々だってそれなりに裏の仕事をしていますけど、ダラーヴァ様はもうこれ以上フォローのしようがないんですよ。で、一応長いこと雇われてましたので今回の件まではついてきましたけど、これ以上は無理ですって」
うわぁ・・・・なんか生々しく読めてきたんだけど。
最初、この組織とかそう言ったやつがこのダラ馬鹿野郎をうまい事操り人形にでもするつもりかと思っていたよ。
でも、実際に聞くともう完全にみかぎっているじゃないですかやーだー。
「それにですね・・・もう皇帝陛下もあなたの事を完全になかったことにするつもりですよ?」
「はあっ!?」
「もう明日には業者が貴方の部屋の私物をすべて廃品回収に出すようでして・・・・。あなたが反抗してきても『そんな息子はいなかった』で済まさせるようですよ」
・・・・なんだろう、なにかひどいことを聞いているような気がする。同情しようかと思ったけど、街中での評判を聞いた後だと全然できないな・・・。
あまりにもショックなのか、第2皇子はその場に膝をついて崩れ落ちた。
「では、本日付けで我々『黒衣』はダラーヴァ様・・・いいえ、元馬鹿第2皇子殿から去らせていただきますよ」
「待ってくれ!!待てって言って!!」
その瞬間、胡散臭いフードの人はその場から一瞬で消えた。
忍者かよ・・・・
そのままがっくりと膝をつく第2皇子。
もう意味がないと思い、俺はザップリンさんに今の事を話すために、その場から「転移魔法」ですぐにギルドに向かうのであった・・・・。
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城から離れた平原にて、5人ほど集まっている集団がいた。
彼らはフードで姿を隠していて、その場にとどまっていたところ一人が戻ってきた。
「これでやっとあの大馬鹿野郎との契約を終えたというわけか」
「ええ、金の切れ目が縁の切れ目ってやつですよ」
「うまいこと言うなぁおまえは。半年ほど前に『黒衣』に入ったばかりの新人なのにな」
「まあ、これは私が覚えていることわざってやつですからね」
その後、いろいろかれらは話あったあと、その場を離れるのであった・・・・・。
マイペースだからね。物凄くあっさりと行くこともあるのです。