032 ギルドマスターと話し合い
さてさて・・・・どうなるのやら
SIDEミラン
「・・・こうして会うのは初めましてですかね。ここのギルドマスターであるミランです」
「初めましてというか・・・スイカン割りや、ギガントオクトパスとの戦いを見てました。公認モンスター『神龍帝』のアルです」
アララン共和国のギルド、その執務室にてミランはアルという名の公認モンスターと話し合うことになった。
(いや、ほんと公認モンスターだとは思ってなかったって・・)
元冒険者ランクAで、「大地の魔導士」という異名を持つミランであったが、さすがに公認モンスター相手には緊張していた。
ギガントオクトパスの時に物凄い腕前の魔法使いだと思っていたのだが、ギルドに戻った後に公認モンスターの特徴を見ていて、一致している点があったので、その公認したギルドのギルドマスターであるザップリンに問い合わせたところ、まさかのその公認モンスター本人だったのである。
公認モンスター全体に言えることとしては、知性が人並み、もしくはそれ以上に高く、人とこうして会話ができて力があるモンスターである。
そして、過去には機嫌を損ねて国一つ滅ぼしたレベルの物もいるため油断できない相手なのだ。
だが、うまい事付き合えば利益も当然ある。
その力ゆえに、低級のモンスターが寄ってこなくなったり、その自身の素材をギルドに換金しにやって来たり、冒険者では討伐不可能なモンスターを討伐してくれたりなどとあるのだ。
なので、国に利益か損害が出るかはここでどう対応するかによって決まる大事な事でもあるのだった。
もちろん、当のアル本人はそんなことは気にしてはいない。
(落ち着け、平常に、用件を・・・・)
「えっとですね、もうザップリンさんから聞いていると思うのですが、今回私が依頼したいことがありまして・・・・」
「・・・『キングピッファローグシュ』の討伐ですよね」
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「キングピッファローグシュ」
頭は牛、身体は豚、魚の尻尾を持つピッファローグシュの最上位モンスター。陸と海の両方を住処にしている。
その肉は部位によってそれぞれの特徴が出ており、最高級の味がする。
ただ、非常に獰猛で気が荒く、突進攻撃を主体とする。
また、死後は柔らかくなるのだが生きているうちは頑丈で刃物が通りにくく、討伐が難しい。
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「そのモンスターが最近どうもこのアララン共和国の南部に住み着いたようで」
これが頭の痛い問題。このモンスターは陸と海両方を行き来して住み着く。
気性が荒いため、その近隣を通る船に攻撃を仕掛けたりして被害が出ており、現在討伐されるまでその海域は通行不可能となっているのだ。
このアララン共和国は島国。今は南部にモンスターがとどまっているようだが、他のところに進出されると外からの食料や資源が入らなくなってしまう恐れがあるのだ。
「ミランさんは『大地の魔導士』と呼ばれているようですが、討伐はムリだったんですか?」
「ええ、このモンスターに最も有効的な攻撃手段は魔法なんだけれども・・・」
どうもこのモンスターは魔法に対して素早い判断ができるようだ。
魔法を使用するときに詠唱をするのだが、その間に素早く射程圏外まで逃げてしまう。
もしくは、その詠唱中に攻撃してきたりなどと厄介なのだ。
「そこで、出来るだけ逃げられる前に魔法を放てて倒せる人を探していたのだけれども・・・」
「そこで、俺に白羽の矢があったというわけか」
ギガントオクトパスの時に見た炎の槍・・・あれならほぼ確実であろう。
だが、まさか公認モンスターだったとはミランは考えられなかったのであった。
「その報酬としては?」
「もちろん、そのモンスターの肉を丸ごとよ」
激うま高級食材と言われているモンスターなので、その肉はじゅぶん価値があるのだが・・・・。
「よし、そのモンスター討伐引き受けた」
このアルの言葉に、ミランはほっとむでをなでおろすのであった。
「その前に、そのモンスターのいる場所まで案内してほしいんだけど・・・・・」
「ええ、案内するわね」
今回は激ウマの食材で釣られているけど、そういう事はしょっちゅうないはず・・・・だと思う。