030 おすそわけ
作るとどうしても出てくる出てくる
SIDEアル
「・・・・というわけで、おすそ分けをしようかと思って来たんだが」
「ふぉっふぉっふぉっ、そうかありがたいのぅ」
ちょっと試行錯誤を繰り返していたら南国の果物が増えすぎたので、ギルドにてザップリンさんにおすそ分けとして、アルは来ているのであった。
首都にあるギルドだが・・・ここのギルドマスターであるザップリンさんとは今のところ良好な関係を築けている。
「転移魔法」でこのギルドマスターがいる執務室に直接来ているのだが、まあこういう事しかしないからな。
まあ、突然来訪しても驚かないところを見ると、この人相当肝が据わっているようである。
さすがというべきか、なんというか・・・・・。
公認モンスターに認定されている俺だが、まあ基本無礼講みたいな感じで話し合えるしいいか。
「こういう植物に関する育て方の本があると楽なんだが・・・・ギルドにはないのかな?」
「ないのぅ。そもそもギルドにおいてある本としても、薬草学やモンスターについてじゃよ」
ギルドでは一応冒険者以外にもその類の本の貸し出しが行われている。
なので、もう少し言い育て方がないのかそういう本を借りに来たんだけど・・・・残念。
「そうそう、お主に聞こうと思っていたことがあるんじゃった」
「なんですか?」
「いや、数日前に確かアララン共和国を訪れていたじゃろう?」
「ああ、その果物はその時のやつですがね」
「それでな、そこのギルドマスターからの連絡があったんじゃが・・・・・ギガントオクトパスを討伐するときになんか炎の槍を突き刺した奴がおると言っておったがこれはお主の事か?」
「ああ、そうだ」
タコなんかの眉間のあたりには神経が集まっているようだし、そこめがけて撃ったんだよね。
まあ、それ関係なく威力がありすぎて倒したようだけど・・・・あのタコ足をたこ焼きにしたいけど、ソースがまだ見つからないんだよね・・・・・。
「そうか。実はな、そのギルドマスターがその人物を探しておってのぅ、なんでも何か頼みごとをしたいそうなんじゃよ」
「頼み事ねぇ・・・・」
めんどくさそうな気がするんだよな・・・・・
「頼みごとってのは一体なんですか?」
まあ、聞いてみるか。
「それがな、どうもとあるモンスターの討伐らしいが・・・・・そのモンスターが厄介らしいんじゃ」
「厄介ねぇ、あまり面倒ごとには巻き込まれたくないんだが・・・・」
そういうのって絶対めんどくさいだろ。
「味はうまい奴らしいぞ。というか、最高級とも言われておる」
「詳しく聞かせてください」
そういわれたら食べたくなるんですけど。
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SIDEミラン
『・・・・というわけでな、明日の朝頃にそっちへ向かうそうじゃ』
「いやちょっと待ってください。確かにその人物の助けが必要なことは必要なんですが・・・・」
『なんじゃ?何か問題が?』
「公認モンスターだとは考えてもいなかったんですけど!?」
アララン共和国のギルドにて、ギルドマスターであるミランは叫ぶ。
先ごろ、ルンデバラート国の首都にあるギルドからの連絡が来たので、通信用の魔道具で応答していた。
で、数日前のギガントオクトパスに攻撃して倒した人物の事を尋ねてはいたのだが・・・・・・。
「あれだけの実力を兼ね備えた、しかも人化しているモンスターだなんて普通は思いませんよ!!」
『ふぉっふぉっふぉっ、それは同感じゃのぅ。初めて会った時にはこちらも驚いたわい』
まさかの公認モンスターだとは考えていなかったミラン。
そもそも、公認モンスターの登録が新たにされたのは知ってはいたが、実際に会ってみたことがないので驚いたのである。
『神龍帝というドラゴンのモンスターでな、純白な見た目で、人化時には白っぽい銀髪黒目の青年じゃ』
「無詠唱、高威力、亜空間収納、転移魔法・・・・それらの時点ですでにとんでもないモンスターだというのは理解しましたよ・・・・」
知られている情報だとそこまであるようだが、とんでもないレパートリーである。
あの問題を解決するためにはできるだけ強力な人物が欲しかったと言えば欲しかったのだが・・・・下手するとオーバーキルになる恐れもあった。
『ともかく、説明したら本人は乗り気になってな。まあ、下手に機嫌を損ねてその国が滅びぬよう祈っておるぞ』
「ちょっと待てよぉぉぉぉぉぉ!!」
通信が切れ、頭を抱えるミラン。
そもそも、公認モンスターはとんでもない、それこそ化け物と言っていいものがなるものである。
下手すると国などを滅ぼしたりできる存在・・・・・・・・。
(もしかして、やらかしちゃったのかな・・・・・・・)
内心、解決して欲しい問題ではあるのだが、下手するとまずい事態になりそうなのを考えてミランの胃が悲鳴を上げるのであった・・・・・・。
もう少し、公認モンスターに関しての情報の提携を見直すべきではないかと考えるミランであった。