252 たまにはこういう集まりがあってもいいじゃない
一度はどのくらいいるのか書こうと思ったのですが……
とある場所に作られた会場で、アルはその交易を見つめていた。
……こうしてみると、思った以上にすごい光景である。
「自分が主催したのに、なぜ呆けるんだよ」
「いや流石にこうして多種多様にいるのはなんかすごいなぁと」
ゼノに呆れた声を出されつつ、とりあえず適当に開催の合図を取るためにアルはグラスを持ち、見えるように掲げた。
マイクになる魔道具で声を会場中に聞こえるように調整し、皆に合図を出す。
『あー、マイクテス、マイクテス……それでは、神龍帝であるこの私アルが実行に移そうと考え、本日集まってくださった皆様に感謝を述べまして……「第1回 公認モンスター大集合パーティ」を開催するぞ!!』
「「「「「おおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」
会場中の公認モンスターーたちがグラスを掲げて返事をして、パーティは始まった。
そう、これはほんの思い付きでやってみようかと計画し、ゼノやその他知り合いにも相談して、一度公認モンスター全員で集まってみないかということでパーティを開催することにして、きょうまさに開会したのであった。
デュラハンのガッバーナ、リッチキングのミャルゲス、吸血鬼のゼノなど元から知り合っている公認モンスターに加えて、本日互に初めて顔合わせしあうような公認モンスターだらけの会場となった。
……正直言って、登録されている公認モンスター全員が集まるとは思っていなかった。
まぁ、公認モンスターは公認モンスターで、その長い年付きで暇なのもいるので、この際一回全員集まって互いに知り合って見るのもいいかなと思ったやつが大半のようである。
開催の合図をした後、皆それぞれ情報交換や挨拶をしあったりなどと、自由にしているようであった。
「というか、ここにいるやつら全員で世界滅ぼせるよな……」
「物騒なことを言うなでありますよ。シャレにもならないでありますからな」
アルのつぶやきが聞こえたのか、呆れた顔でガッバーナはそう答えた。
「というか、本当に公認モンスターたち全員が集まるとは思っていなかったんだよ」
「送り迎えアリ、食事代や会場代タダ、互いの事を知り合えるなど、結構利点が多いからなのだよ。金欠になって、その日の生活費を稼ぐのを一生懸命にする者もいるのだよからな」
ミャルゲスがやや露出高めのパーティドレスを着ているが、右腕は骨だけの状態であった。
「その状態大丈夫かよ」
「ふっふっふっふ、この程度3日もすれば平気なのだよ!!」
「溶解液の滅茶苦茶やばい奴で溶けたやつが何を言うか!!」
前日、この人またやらかしたようで、出席を見送りそうになったのだが、本人が根性で出るようなので仕方がなく出席させたのである。
「しかし、公認モンスターとは言っても本当に種類が多いな」
「『ドッペルゲンガー』のデェイボ、『ウルトラスライム』のスララーン、『フェンリル』のアールス、『ヒュドラ』のゼネル、『ヤマタノオロチ』など、多種多様だからな。人化可能な奴は動き回りやすいようにしているようだが、元々の層型をさらけ出しているやつの方が多いんだよ」
公認モンスターがここまで集合している様子は、はたから見れば豪勢なものでもあるし、国という立場の人たちから見れば物凄く恐ろしい光景だろうな。
「おー、そこにいるのは主催者の神龍帝のアルっすかね?」
「そうだが……なるほど、『ウロボロス』のデリクってやつか」
「そうっすよ!よくわかったっすね!!」
アルに名前を言い当てられたそのモンスターは驚いたように目を見開いた。
……「鑑定」のスキルがあるからね。それに、それぞれ個性的なのが多いらしいから覚えやすかったんだよ。
適当に様々な相手と話し合い、情報交換しあい、時たま会場に作った闘技場で模擬戦をやってみたりと、中々面白い時間は過ぎていく。
でも闘技場は改善の余地あるな。まさか途中でぶっ壊れるとは……公認モンスターの攻撃力を改めて考慮に入れないとな。
でも、公認モンスターたち全員が楽しめていたようなので良ししよう。
『ギガントハンドマン』や『デストロイヤー』とかいうメカっぽい公認モンスターたちの攻撃とかは結構やばかったどな。何この近代兵器のような奴ら。
時間はあっと言う間に過ぎていき、ついに閉会の時間となった。
それぞれが分かれ、自力で帰宅する者はそうして、送り迎えが必要な奴らは鉄道やドラゴナイズドなどを利用して帰ってもらった。
後に残るのは、だいぶ荒れた会場の後片付けである。
「……マスター、次に企画するときはもう少し考えてからにしてくださいね」
ファーストの、ここまでの企画を手伝うのが大変だったみたいな恨めしい目線はありつつも、面白い時間を俺は過ごすことができたのであった。
名前とモンスターネタが尽きた。
いや、候補はまだまだあったんだけど、絞り込みするのに疲れたというか……