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024 スイカン割り

まあ、果物とか野菜の名前は少々もじってますけどね・・・だいたいは予想できますよね。

 アララン共和国観光2日目。


 昨夜泊まった宿は格安だったけど、他の部屋からの声が聞こえてうるさかったなぁ・・・・・。


 まあ、関係なく速攻熟睡できたけど。これだけは転生前の自分と変わらないと堂々胸を張って言える。


 ・・・・なんか微妙だけど。



 今日も適当に見て回って、その後は「転移魔法(テレポート)」で帰る予定だけど、何やら街中が騒がしい。


「なにかあるんですか?」


 気になったので、屋台のおっちゃんに聞いてみることにした。南国だけあって、良い日焼けをしているな。


「おやにいちゃん、この国に来るのが初めてかね?」

「はい、昨日来たばかりで・・・」

「ならおしえてやんべ。今日はな、ちょっとした決闘騒ぎの日なんだべよ」

「決闘?」


 なんかいきなり物騒なものが出たな。


「とはいっても、にいちゃんが多分考えているようなもんじゃないべ」

「というと・・・武器を持って互いに戦うようなものではないんですか」

「そうだべ。今回の決闘はな、スイカン割りで行うのだべよ」


 スイカン割り・・・・・要はスイカみたいな果物を決闘しあう者同士の中心に置き、水着を着て目隠しして先に割ったほうが勝ちだとかいうものらしい。


 この国独特の決闘方法らしいけど・・・・なんじゃそりゃ。西部劇での拳銃での決闘方法をスイカ割りにしただけか。


 でも、なんか面白そうなので野次馬に混じって見ることにした。ある意味平和そうな決闘方法だよね。



「あれが決闘しあうもの同士か・・・・・」


 みると・・・・・・


「がっはっはっはっは!!今日この決闘で我輩は宣言する!!我輩が貴様に勝つということをな!!」


 高笑いをする某魔法学校のに出てくる森番の人のようなおっさん。だが、鍛えあげた体に適度に日焼けされている感じで、健康そうな感じである。


 というか、トランクスタイプの海パンか・・・あのタイプはフンドシとかそういうの連想するんだけどな。だっさい柄だけど。



「なーっはっはっはっは!!こっちこそ貴様に勝つぜぃ!!」


 もう片方は、すらっとはしているけど、どことなくナルシスト風味を感じさせる青年。あっちはまだ普通の海パンをはいていた。


 笑い方もなんか変だよねぇ・・・・。



『さーっ、間もなく始まります今年通算89回目の決闘騒ぎです!!』


 あ、なんか司会の人がいる。あれマイクみたいだけどどうやら魔道具(マジックアイテム)らしい。


 というか、通算89回目って・・・・どれだけ決闘騒ぎが起きているんだよ。


『赤コーナー!!この国で一番決闘騒ぎを起こしていると自覚しているぜ!ダンデ伯爵ぅぅぅう!!』


わーーーっ!!と周囲の民衆から歓声が上がる中、あのおっさんの方がガッツポーズをした。


 え、あれ伯爵ってことは貴族だよね。というか、自覚しているってどれだけやっているんだ。


『青コーナー!!自称天才魔導士の冒険者ランクBランクのシルナぁぁぁぁぁぁぁ!!』


 自称って・・・・・でも、ランクBってことは一応実力はあるってことだよな。なんか面白そうかも。



『さて、今回の決闘騒ぎが起きたのは遡ること3日前!!』


 司会の人が何やら解説というか、あらすじを話し始めたけど・・・意外に最近だった。


『ダンデ伯爵がいつものように連戦連敗中のナンパをしようとしたときに!!冒険者のシルナも同様の女性に声をかけてしまったぁぁぁぁ!』


 伯爵がナンパって・・・・・いや、冒険者の方もなにやっているんだよ。


『そしたら、その女性はこういった。「もう先客がいますので」』


・・・うわぁ。


『そこで両方共見事にナンパが失敗したのだが!!どっちも相手が悪いと一点張り!!ならばこの決闘で正々堂々とはっきりしてやろうではないかと互いに決闘を申し込んだぞ!!』


 理由がなぁ・・・・・どっちもどっちというか、なんていえばいいんだろうこれ。


『今回、決闘では互いに何かを賭けているのですが何をかけたんでしょうかっ!!』

『がっはっはっはっは!!白金貨20枚だ!!』

『なーはっはっはっは!!こっちは冒険者辞職だ!!』


 白金貨・・・・てことは、だいたい日本円で百万円×20だから2000万円ほどか。


 いや、冒険者辞職って方が重いような気もするけど・・・・・大金を失う可能性があるってことは伯爵の方からしても痛い出資かも。ナンパしているぐらいだし。


 というか、すがすがしい感じの空気だな・・・・。こういうのってたいてい貴族の方が悪役で、何かしらのずるをする感じだけど、しないように見える。


『さて!!両者とも互いに目隠しをして今から20回転だ!!』


 その場でダンデ伯爵とシルナとかいう冒険者が目隠しをしてぐるぐる回る。


 一応あの目隠しの布には不正はないらしい。正々堂々ってのは本当の様だ。


 回転し終えた後、互いにスイカンを割るための棒を構えた。


『さあっ!!レッツ!!スイカン割り!!』


 司会の人のその声が合図であろう。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

「でやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 両者とも勢いよくスイカンのところめがけて走る。


 回転したのが意味あるのかよと言いたくなるぐらい、互いに真っ直ぐスイカンの方へ走る。


 こうなると、どっちが先にたどり着いて割れるかで勝敗が決まる。


 ダンテ伯爵か、はたまたシルナか!!


「ぐぼぇぇぇぇっ!?」

「ごばぁぁぁぁっ!?」


・・・あ、見事に両者ともそれぞれ自分の棒で相手の頭を上から殴りつけた。


 スイカ割りどころか頭割りじゃねぇか・・・・・。



 そのままずずぅんと倒れ、二人ともピクリと動かなくなった。


『おーっと!!両者ともノックアウトぉぉぅ!!スイカン割り公式決闘版ルールにより!!今回の決闘は勝敗無しぃぃぃぃ!!』


 公式ルールがあるの!?



 どうやら、今回の決闘は引き分けという結果で、互いに賭けているものは無効となるらしい。



 数分後、それぞれ起きたのだが・・・復活早いな。


「がっはっはっはっはっは!!今回は引き分けとなってしまったが次はこうはいかぬぞ!!」

「なーはっはっはっは!!それはこっちのセリフだ!!」


 公式なルールによると、また決闘を行うには2日間待たなくてはいけないらしい。


 でも、なんかそれぞれすがすがしくなっているようだし、互いに健闘を讃えて握手をしあっていた・・・・。



 ある意味スカッとした形で終わったのかなー?

どうやらこの世界、決闘方法はさまざまらしい。

普通の殴り合いや剣での決闘から、スイカン割りやかくれんぼなど様々だそうだ。

血を見ない分、ある意味優しい決闘方法?


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