236 お久し振り・・・・なのか?
覚えている人はあまりいないのでは?
「どういう状況だこりゃ・・・・?」
神龍帝・・・アルは現在、頭をひねって考えていた。
ただいまいる場所は、あたりが完全に真っ白の上下左右の間隔が分からない場所である。
ふと気が付くと、人化が解除されている状態・・・・本来の純白のドラゴンの姿でその場所にいた。
けれども、どうやってこの場所に来たのかの記憶がない。
慌てずに、まずは落ち着いて振り返ってみる。
「確か・・・・・」
今日はいつものようにアリスと話して笑いあったり、ランの格闘術に付き合って手合わせをしたり、ファーストと共に最近進めて見ている鉄道計画の調整をしたりして、そして無事平和な一日を過ごして、寝床に入ったはずである。
アリス、ランと共にまぁ・・・寝ましたが。
だけど、そこからどうやったこの場所に来たのだろうか?
「『鑑定』・・・・」
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「ERROR」
表示不可能。現在地点及び、この世界情報の表示は鑑定不可能。
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「・・・だめか」
鑑定もきかないし。いったいどこなんだろうかこの場所は。
というか、すっごい何処かで見覚えがあるような・・・・・
『当り前じゃ。お主は一旦ここに来たことがあるだろう?あの時は魂だけの状態じゃったが・・・』
と、誰かの声がした。
一方向から聞こえてくるのではなく、まるで空間全体から声が聞こえてきているようで・・・・そこでアルは思い出した。
「あ!?転生前のなんかの声!?」
『「なんか」扱い!?』
転生前、魂だけの状態で聞こえた声そっくりなことにアルは気が付く。
そして声の主は「なんか」という定まっていない扱いにショックを受けたようである。
『あー、なんか扱いはひどいのじゃと思う。とりあえずわかりやすい名称・・・・・「神」とでも名乗ってやろうか?』
「・・・・・・・・・・・・・」
『お主今確実に「え?中二病の様な痛い感じの人?」って考えたじゃろ!!』
「正解だけど心を読んだのかよ!?」
とにもかくにも、いったん落ち着いてまずはこの状況説明をしてもらうことにした。
「ここに俺がいるという事は・・・・まさか死んだとか?」
『いや、お主の身体はぴんぴんしておるぞ。単にこっちの都合上ここに来てもらっただけじゃ。まぁ、生憎姿を見せられぬのだが・・・・』
「都合上?」
というか、今更何の要件だとアルは言いたかった。
転生時に少々話した程度であり、死ぬまではまた会う事もないだろうと思っていたのだが・・・・・
『都合と言うのはな・・・・まぁあれだ、魂の選定じゃ』
「はぁ?」
『結構重要な事じゃぞ?だってお主の子供の魂になるのじゃぞ』
「・・・・・なんですとぉぅ!?」
・・・・まさかの、まだ見ぬ子供の魂の選定をさせるためにわざわざここへ俺は呼ばれたようであった。
聞くと、神龍帝の子供・・・・その「神龍帝」の「神」の字があるように、それだけ力あのある子供が生まれてしまうという事であり、その為には・・・
「それに恥じぬだけの綺麗な魂を選べと」
『そういう事じゃ。まぁ、養育環境にもよるが出来るだけいい子に育ててほしいのじゃよ。腐りきった力に溺れるような愚か者の子供にはなってほしくないじゃろう?』
「・・・まぁ、確かにそうだけど・・・・ん?」
あれちょっと待てよ?
子供の魂を決めるという事は、それすなわち・・・・
「アリスかランのどっちかが妊娠するのか!?」
『そういう事じゃな。とはいえ、流石にまだどのようになるかは知りたくはないじゃろう?楽しみはとっておきたいものじゃし、今からやる魂の選定作業でもいくつか選んでもらった後に、こちらでランダムにやるからのぅ。結果はお楽しみという事で!』
まさかの事を言われたよ。というか、この流れ的に将来の状態が見えそうじゃないですか。
それから数時間ほどかけて、将来的に生まれてくるであろう子供の魂をアルはその声だけがする神と共に選定し、いくつかの候補ができたのであった。
「一応この子たちって生まれたら転生者になるのか?」
『それはわからぬよ。新たに生まれたものも、転生とするものもあるが・・・そこは運次第じゃ』
そう声がした後、アルははっと目を覚ました。
起きてみれば、朝日が昇って日の光が部屋に入り込み、その横ではアリスとランが一緒に寝ていたのであった。
・・・・まるで夢のような気がしつつも、夢ではないとどこかで思える。
そして、子供の事にアルは早くその結果を知りたいと、待ち遠しく思えるのであった・・・・・・・
・・・そろそろ懐妊。
ドキドキして待つことになるだろうけどめでたいことでもある。
でもどんな子供が生まれるのかまでは不明である。というか、どのぐらいの期間で生まれるのかという疑問もあるけどな・・・・・「鑑定」で調べたらその待つ楽しみが減るだろうしね。