226 その頃彼女たちは
アルの創造魔法のスキル名を改名するのを検討中。候補が挙げられてきたので、その中から考えてます。
SIDEゴーレムタウン研究区画
チュドォォォォォォォォン!!
「ふむ、蒸気機関の圧力限界はこのぐらいなのだよな。とすれば、この圧縮率を換算して圧縮合金の様なものができる可能性があるのだよ」
実験用に作られた蒸気機関施設(爆破済み)を前にして、公認モンスターリッチキングのミャルゲスはその研究結果を細かくまとめていた。
現在、彼女はとある実験をファーストから受けていて、面白そうなので引き受けていた。
その実験とは、蒸気機関の改良である。
アルの知識でも蒸気機関車やワットの蒸気機関と言った物の構造は覚えているのだが、流石に専門家でもないので細かい部分で不明なところがあった。
でも、この蒸気機関をうまいこと改良し、普及することができないかゴーレムタウンでは現在検討中だったのである。
魔道具による移動方はあるのだが、それ以外での人力でも可能な者も用意しておこうと考えた結果、その蒸気機関に目が付けられたのだ。
何しろゴーレムタウンには鉱山も作成されていたので、やろうと思えば石炭を取り放題にもできるので、手軽さなどを考えて、その細かい不明個所の研究をミャルゲスに任せられたのであった。
なお、環境にもきちんと配慮して、排煙などの対策はきちんと対処されております。
「にしても、魔力やら魔道具抜きにしてこのような機関を実験しながら学べるのは面白いのだよ」
ミャルゲスはそう微笑みながらつぶやいた。
魔法やら魔道具と言った物がこの世界にはある。
その為、こうやって蒸気機関によるような科学的なものは今一つ発展しなかったのだ。
何しろ、魔法の方がいくらか効率がいいし、転生者がいてそのような現代科学技術を考え出しても材料や技術の問題で打ち切りにされる。
その為、この世界では科学技術は今一つなモノしかなかったのだが・・・・・このゴーレムタウンでは違う。
資源はあるし、職人ゴーレムたちが注文通りの部品を製造できる技術もある。
あとはそこに、きっかけがあればあっという間に発展可能であった。
「次は深海鋼鉄鉱とかでボイラーを作ってもらうのが良さそうなのだよ」
「流石にその手の資源はここでは有限ですので、出来るだけ消費は避けてほしいのですが・・・」
実験結果の報告後、ミャルゲスはこのタウンの責任者でもあるファーストに資源のお願いをしていた。
「このタウンでも有限な資源があるのだよか?」
「そりゃ当たり前デス。その今貴女が注文してきた深海鋼鉄鉱やその他深淵の石炭なんてものは海の底のリューグジョウ王国からの輸入品デスヨ。深い深い海の海底火山地帯で採掘できるところであり、あの国がその鉱石系の輸出だけで国を成り立たせるほどの財源にできる高い資源ですからネ。深海の環境を再現すれば生成可能なものかもしれませんが、この雲上では到底無理デス」
このゴーレムタウンでも貴重な鉱石をファーストはミャルゲスに説明した。
「海底産のモノは大半がその国の物ですからネ。海の底故に、その場所にある国が採掘できるのデス」
「なるほどなのだよ。それなら代わりにアダマンタイトとオリハルコンはどうなのだよ?」
「あ、それはこのタウンの鉱山で採掘可能ですネ」
「・・・・本当はそっちの方が貴重なはずなのに、変な感じなのだよ」
代わりの要求をあっさり飲んだファーストに、ミャルゲスは思わず顔をしかめた。
まあ、別に研究に支障が出ずに済むなら別にミャルゲスにとってはどうでもよかった。
「蒸気機関だと、熱効率を考えると無駄が多いのが問題ですけどね」
「ん?そのあたりはすでに対策で来ているのだよ。神龍帝殿の知識だと鋼鉄やら通常の石炭を使うけれども、改良を進めた結果ほぼ利用可能になったのだよ。まあ、貴重な鉱石や特殊な燃料が必要になるのだよがね」
「そこを代替え品とかでも可能にしてくださいってバ・・・・」
はぁっと、思わずファーストはため息を吐くのであった。
なお、後日ミャルゲスが実験でついうっかりやらかし、タウンの数か所が綺麗に跡形もなく吹き飛んだことに関してファーストが激怒するのはまた別のお話なのだよ・・・・・・
・・・何気にリューグジョウ王国の資金源の話もあったのでした。
海の底でしか取れないような資源ならば価値があるからね。
なお、犯罪奴隷なども購入して採掘にあたらせてもいるのだが・・・・海の底なら逃げだそうにも逃げ出せないだろうしね。