222 やっと異世界という気分になる
異世界らしい場所でもある
・・・・アルは思う。
未だかつて自分はこのような光景を見たことがあるのだろうかと。
なんやかんやあっても、前世の地球での違いとかでは人種やモンスターという点しか見つかっておらず、時たまここが異世界なのかと疑いたくなることはあった。
だが、今この世界樹の国に訪れてその考えを改めさせられた。
なぜならその国の内部は・・・・
「・・・・本当に幻想的というか、夢の世界のようだな」
「木の中なのに、物凄く明るくて広いですね」
「妖精族にエルフ、モンスターの中では人と友好的なドリアードに、悪霊化していないレイス・・・・ものすごく多種多様な種族が入り混じってすごい光景よね」
世界樹の中にアルたちは入りこんだのだが、外部から見るよりも幻想的な光景に目を奪われていた。
木の中だというのに青空や夕暮れのように赤い空、星空といったものが混ざり合って、あちこちには多種多様な花々が咲き乱れ、他ではあまり見る事のないような亜人種族も多く存在して、共生しているような状態であった。
モンスターとかもいるようだが、この世界樹の中に湧くのはどうも皆おとなしく、人と友好的な種族が多いようで、戦闘になるようなこともない。
皆笑いあい、飛び合い、話し合い・・・・背景も入れて幻想的な状態となっていたのだ。
一瞬夢の国に紛れ込んだような感覚もあった。某出したら消しにくる鼠の存在がいる場所とは違うからね?
「時折重力がおかしいのか、ふわふわ体が浮くところもあるな・・・」
「不思議な空間ですね。木の中なのに、異世界へ紛れ込んだような気分になりますよ」
「世界樹そのものがもしかしたら迷宮という説もあるらしいわよ?それだったらこんな不思議空間ができてもおかしくはないらしいしね」
なるほど、そう言う考え方もあるんだな。
「鑑定」のスキルを使用すればその謎は一瞬で解けそうだけど、気分的に使う気にはならないかな。
夢のような幻想的な場所は、そう言った現実的なことはふさわしくないだろうしね。
・・・・あれ?迷宮って現実的なものになるっけ?まあいいか。
世界樹内部を進むと、あちこちに花畑やら綺麗な森やら、果ては川や湖までもがあちこちに存在していた。
世界樹というよりも、圧縮された一つの小さな世界の様な感じがするな。
「あちこちで宿泊施設もあるみたいだな」
「幻想的な景色を楽しんで休みたい方のためにあるようですね」
「夜の方も・・・天井が透けて星空の下寝る事もできるそうよ」
木の中で空を見れるのはどういうことだと言いたいが、それがこの世界樹内部なのだからしょうがない。
常識のような感じで、外部の常識ともまた違ったことなのだろうし、割り切ったほうが気が楽だ。
・・・・なお、宿屋は日によってその近くにあるモノの中で最高なヤツをアルは選んだ。
気分も高まるし、なかなか快適だし、アルたちは世界樹の国の観光を楽しむのであった。
・・・世界樹って内部がものすごく広い木の事でもあった。
もしかしたら迷宮の一種ではないだろうかという説もあるけど、その謎を解こうとする者はいない。
なぜなら、楽しければそれでいいし、深刻なことが起きたことがほとんどないのが理由である。
なお、全国で一番訪れてみたい観光名所だらけの国としても有名でもあった。