021 空のたーびー
前半空飛んでます
飛んでいると思う。
「よく飛行機とかに乗る人でゴーグルのようなものを装着するシーンがあるけど、結構風が来るからか」
まあ、たしかに風が物凄く来るけど神龍帝のこの体にはほとんど効果がない。
これ、この体じゃなかったらドライアイになってそうだな・・・いや、速度落とせばいいか。
もしくは、人化しても大丈夫なように作っておくか、魔法で風よけを付けておくか。
なんにせよ、空の旅はなかなか快適である。
背中の方に太陽光がじりじりきていたが・・・・「創造魔法」のスキルで熱線カットもどきできそうなものを作ってみたら案外成功した。これ、うまいことすれば日焼け止めにもなるんじゃないだろうか・・・。あ、UVカットも付けないとだめか。
「そろそろあのあたりで休憩しようかな?」
お昼が近づいてきており、太陽がてっぺんに来たので俺は休憩を兼ねて着陸をすることにした。
草原のど真ん中だが、まあ警戒すれば特に問題はないであろう。
幸いにも木がまばらに生えていたので適当に日陰になりそうな場所に俺は降り、人化して昼食の用意をした。
あらかじめ、自宅で作っておいた本日のお弁当はサンドイッチと簡単なものである。卵サンドが好物だが、魚のフライを挟んでもなかなかおいしいな。ヒヨコたちが早く卵産めばいいんだけどね。
「亜空間収納」のスキルでしまっていたから作りたての状態だ。このスキルが一番便利ではないだろうか。
「・・・いっそ、金でも稼いでみようかな」
ギルドで換金したりとかできるようだし、俺の鱗とか換金してお金を得ようかな?調味料はアリス姫がたまに持ってきてくれるけど、やっぱし魚肉以外の肉も食べたいしな。
モンスターだと、オークとかバッファーローン、シープリンとかいうおいしい肉のモンスターもいるようだし、機会があれば捕らえて食してみよう。
・・・ドラゴンの肉もおいしいらしいけど、さすがに自分を食べるわけにもいかないし、そもそもほとんどで会う確率がないらしいし、同族食いになりそうだしな・・・・。あ、でも弱肉強食の考えを持てば気にしなくてもいいのかな。
もっしゃもしゃと食べていて思ったけど、飲み物が欲しくなるな・・・。牛乳とか・・・・お茶はもう作っているから牛を狙うべきか?いや、この世界だと何になるのかな。こんどアリス姫が来たら聞いてみようかね。
「ん?」
ふと、遠くの方で何やら聞こえた。
人化していても、聴力や視力は元のままだな。皮膚の硬さは斬られてみないとわからないけど。
前方に3台ほどの馬車が並列で走行しているようだけど・・・・普通は直列だよね?馬車じゃなくて荷馬車かな?
「あ、これ何かに追われて慌てているのか?」
馬をコントロールする御者の表情を見ると、何やら必死になっている。
「ひぃぃぃっ!!」
「たすけてくれー!!」
「・・・」
おい、一人気絶しているんだが。あれ完全にコントロール不能になっているよね。なのに乱れずにそのまま走っているのは奇跡の様だ。
気になったので素早く人化を解いて上昇して上空から確認してみる。
あまりにも必死になっているようで、気が付かなかったようだけど・・・
「ふむ、あれに追われているのか」
みれば、何やらモンスターの群れである。馬車とほとんど同じ速度で走っているようだけどすごいな。
狼っぽいけど、よく見ると体色がものすごくどす黒いというか・・・。
「『鑑定』」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ブラックウルフ」
狼型モンスター。集団で狩りをする狼がモンスター化したものであり、その連携力はすさまじい。賢く、常に状況を分析できる。
一糸乱れぬ動きで獲物を追い、何処までもしつこく食らいついてくることでも有名である。また、嗅覚は狼の時の1万倍まで上昇してはいるが、嫌な臭いなどはシャットアウトできて臭い攻撃は効果がない。
その毛皮は防寒具に使用されることもあり、そこそこいい値で取引される。ただ、対価に見合うだけ稼げるかはその人次第。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「へー、動物がモンスター化することってあるんだ」
これまた勉強になったな。
しかし、防寒具か・・・・。そういえば今の季節はまだ春みたいなものらしいけど、冬とか雪の降る季節は厳しいから2,3匹は確保しておこうかな?
残忍な気もするけど、モンスターなおかげかそこまでの罪悪感というものもない。
「でも、ここからブレスで薙ぎ払うのもなぁ・・・」
はっきり言って強すぎるのは自覚しているし、ここは人化して魔法で倒し・・・。
「待てよ、下手に魔法で攻撃してもどちらにせよその毛皮が傷つきそうだし・・・」
となれば、以前レバータカとかいう阿呆に使った「麻痺」の魔法が妥当か?
念のため、これは一応雷系統の魔法なので聞くか調べてみると、あの毛皮は少々魔法耐性があるようだ。
「威力を増加させればいいか」
効かぬなら 強めてしまえ その力 ・・・・by神龍帝アル
こういう俳句とかってなんとなくたまにつけたくなる