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214 天は彼をどうしたいのか

なんか主人公よりも人気があるような彼です

「バッフォォォォォ!!」

「バッフォン!!」

「バフォォォン!」



「・・・・すごい出産ラッシュだな」


 ゴーレムタウン、牧場区画のバッホーンエリアにて、その光景を見てアルはつぶやいた。


 季節は春であり、バッホーンたちの出産シーズンへと入ったのである。


 バッホーンのメスは20頭、そして生まれてきた子牛のような見た目のバッホーンの子供たちの世話を皆で一生懸命世話をしているようであった。



 一頭あたりに大体2頭ほどの子供ができているようで、出産率としては平均1頭のはずらしいので高いそうな。


 家族愛というか、見ていたホンワカできそうな光景である。


「ふふふ、物凄い数のバッホーンの群れになってますね」

「盛大なのがすごいわね」


 アリスとランも一緒にいて、アルと共にその様子を見ていた。



 そして、一気に多くの子牛の父親となったこのタウン唯一のオスのバッホーンであるボルドは現在・・・


「ヒヒヒヒヒヒーン!!」

「バッホホホゥゥゥン!?」


「・・追いかけられているなぁ」

「ユニコーンって確か春が繁殖シーズンですからね」

「シーホースもいるようだけど・・・・あの群れのリーダーをやっておる奴には逆らわないようね」


 現在進行形で、ユニコーンのプラチナに、涙目の状態でボルドは必死になって逃走していた。


 バッホーンのボルドが走る速度は牛よりも早い。


 けれども、ユニコーンであるプラチナには負けているようで、それなのにプラチナがボルドに追いつかず、かといって追い抜かずの絶妙な距離を保っているのは・・・・・・



「疲れ果てたところを狙うようにしか思えないな」

「動けなくなったところを捕食でしょうかね」

「性的な意味でだけどね」



 プラチナ、しっかりと計画性を持っているようであった。


 元々シーホースの方のリーダーもやっているので、そのぐらい容易く考えることができるのだろう。


 とりあえず、アルたちはボルドの事を憐れむ。



「そういえば、例の性転換薬を使うタイミングはどうするんだ?」

「ん?この子育てが終わるころ・・・秋の手前ぐらいのタイミングになるのだよ」


 ふと、薬の事をアルは思い出して、ちょうど近くにいたミャルゲスに尋ねるとそのような返事が返ってきた。


「流石に子育ての時期に、メスを一気にオスにするわけにはいかないのだよ」

「そりゃそうか」

「でも・・・・ちょーーーーーーーっと問題があるのだよな」


 と、何やら目を背けるミャルゲス。


「何か副作用でもあるのか?」

「いや、それはないのだよ。でも、その薬の問題ではなくて・・・・・子供の方がなのだよ」

「どういうことだ?」

「あの生まれた子供のバッホーンたち・・・・・性別を調べたら、全部メスだったのだよ」

「「「え・・・・」」」


 そのミャルゲスの言葉に、アル、アリス、ランは言葉を失った。


 今回、生まれた子供のバッホーンの数は四捨五入して40頭ほど。


 メスを薬で性転換させ、オスにして確保できるのがボルドを含む11頭ほど。


 残るメス10頭も考えて、さらにまた来年成熟したころなども考えると・・・・・・・・オス不足である。


「ちょっと待て!?バッホーンって確かオスの方が多く生まれるんじゃないのか!?」

「いやー、長年生きてきたのだけどこんなことになるのは初めて見るのだよ。奇跡と言えるレベルなのだよ」


 20頭ものメスが産む子供が全部メスだという事は相当珍しい事らしい。


 確率で言うなれば・・・・・宝くじで1等3億ぐらいのが5回ほどあたるぐらいの計算結果になるそうな。



・・・・ボルドよ、お前一体どんな星のもとに生まれてきたんだと言いたくなる。



「そのぐらいの確立を引き当てるのならあの地獄も納得できそうだな」

「運を使い果たして陥ったんでしょうかね?」

「それ運がいいことになるのかな?」



「バッホォォォォォォォォォン!!」


 ボルドの叫びは今日も響きわたる。


 その悲しみと、地獄の予感を感じとって彼は追いかけられる。


 ボルドに本当の幸せな安息の日々が来るのは、果たしていつになるのだろうか・・・・・・・・



「もっと薬作れるか?」

「うーん、材料が今不足していて、その材料を得ることができるのは・・・・さ来年かもしれないのだよ。何せ、4年に一度しか取れないようなものもあるし・・・・・」


 ここに、絶望の宣言がなされた。



次回からようやく新婚旅行へ!!

・・・・ボルドの運命は神のみぞ知る。

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