211 裏作業
その頃裏サイドでは
SIDEファースト
「ふむ、これとこれとこの人物たちが余計な介入の可能性がありますネ。全部黒いところを匿名で暴露してくだサイ」
「黒い噂がなく、ただの嫉妬のようですね・・・・・・この者には別の方とのお見合いができるように裏工作ヲ」
「馬鹿は馬鹿でも稀に見るレベルですカ。社会的に抹殺するために、男性のようですが女性もの下着を着せて公衆の面前につくところに縛り上げておいてくだサイ。証拠は残さぬよう二」
「ここは大丈夫ですね・・・ならば、商会での取引をつぶしたほかのところの分回しましょウ」
ゴーレムタウンにて、ファーストは諜報部隊や最近増設した工作部隊を利用して、アルのアリスやランとの結婚の障害になるような者たちを排除すべく一生懸命仕事をしていた。
一応嫉妬に駆られてや、野心、色欲などによって動く者がおり、相手が公認モンスターだろうと問答無用の大馬鹿野郎どもを一掃してるのである。
その大馬鹿野郎どもがいる国としても、内部掃除がしやすくなるので文句もなく、なぜかどんどん邪魔者がいなくなるのでこの一掃作業は大歓迎であった。
ある者は賄賂などの汚職の証拠が暴露され、またある者は朝起きたらすべての毛という毛が抜け落ち、またある者はガチムキのおっさんなのに、気がついたら女性物下着を身につけさせられた状態で公衆の面前に姿をさらされるなどという様々な対処がなされた。
命を奪わず・・・・命は奪ってないけど、社会的な死は下していたが、警告のように知らしめるといういう意味ではほとんど成功していた。
「しかし、この兆候を読み取るような人もいますね・・・・・『黒衣』って組織ですカ」
ほとんど・・・つまり、成功しなかったこともある。
情報収集をしている貴族もきちんといて、その中に「黒衣」とかいう者たちを利用して、その一掃作業から逃れた者が居たこともファーストは調べていた。
「たしか、マスターが以前遭遇していたという記録がありますネ・・・・とはいえ、この黒衣やらは歴史の裏に隠れているような組織みたいですシ、なんとかこちらに引き込みたいデス」
以前、ジューメンダス獣人国にてアリスとランを攫おうとした者が居た。
その者が所属していたところが黒衣とか言うのは調べがついていたが、謎が多く、身なりをひそめていたりしていたようで情報収集に手間取っていたのだ。
とはいえ、その情報収集能力などは優れているので、敵対よりもむしろ友好関係を築けた方が良いのかもしれないと、ファーストは黒衣に対してコンタクトをとれないか動き始めたのであった。
その前に、きちんとマスターであるアルにも説明する必要があるが・・・・・・
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SIDE結婚式用衣服作成現場
「急ゲー!!コッチハ我ラガマスターノ妻トナル方ノ大事ナ衣装ダー!!」
「試作品作成完了!!」
「コレヨリ試着作業及ビサイズ合ワセヲキチント行ウノダー!!」
・・・ゴーレムタウン、衣服を作ることに特化されたゴーレムたちは現在、必死の結婚式用の衣服の作成を行っていた。
ウェディングドレスやタキシード、その他礼服や調度品用のシートなど、様々な布製品に関しての作業ばかりである。
ついでに結婚式会場用の机やそれ用のケーキなどの料理と言った試作も繰り返されており、万全の態勢で完璧にできるようにゴーレムたちはそれぞれに組み込まれたスキルと自身のスペックをフル稼働させていく。
過労などにならない様にきちんとメンテナンスや部品の交換も行うのだが、それでも彼らにとって、彼らを生みだした神龍帝のアルの為のこの作業は超重要であった。
アルが居なければ自分たちはこの世にいなかったこともあり、その感謝の集大成というモノを生みだしたいのである。
なお、衣装のサイズなどは事前に申請されたものを利用してはいるが、時と場合によってわずかな変動を起こす可能性もあり、諜報部隊のこっそりとした測定もあってきちんとその日にあった最適の物に作り直されたりしているのであった。
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SIDEゼノ
「結婚式の招待状か・・・・くくく、自分の子孫とはいえ、まさか公認モンスターと婚姻を結ぶとは思わなかったなぁ」
とある森の奥深くに立っている一軒家にて、ゼノは届いた招待状を見ながら思わずつぶやいた。
アルの結婚相手であるアリスとランは、何の因果かゼノの遠い子孫にあたるのである。
ゼノが先祖とも言うべき存在のようなものだが、その子孫と同じ時代に生きているというのはゼノにとって奇妙な感覚でもあり、うれしくも思えるのであった。
「ふふふ、私達の子供の子供の・・・・その遠くなった子孫がまさか公認モンスターと結婚するとは夢にも思いませんでしたわね」
笑みを浮かべるゼノの横で、ゼノの妻であるリーシャが微笑んだ。
「というか、それぞれ別の場所へ行ったはずなのに、また同じように会うというのは面白い」
同じく妻のミストがそう述べ、この因果に同じように笑みを浮かべた。
公式の記録には乗らず、いつしか不明確になっていた子孫との関係だが・・・・吸血鬼ゆえか、その血で彼らは自分たちの子孫かどうか判断できる。
だが、長い年月をかけて離れていた子孫が、まさか公認モンスターと一緒になるとは彼らにとっても驚きでもあった。
まあ、そのことで子孫を託すのに不安があったゼノは先日アルと本気の戦闘をして納得を付けたのだが・・・・・
「でも、余り子孫に関して接触をしないはずのあなたがこうやって心配してあげるというのも面白いわね」
「ま、別に俺としては子孫は幸せになってほしいという思いがあるけど、やっぱり変に干渉するのは避けたいからな。余計な火種にもなるだろし、こういう事には極力接触はしない。それが一番いい選択肢だろうよ」
「でも、この間の神龍帝との本気バトルは思いっきり接触しているような」
「それはそれ、これはこれ。とにもかくにも、今後子孫に関してはあの神龍帝に任せればいいし、俺達は極力干渉を避ければいい話さ」
「つまり丸投げですよね」
「まあ、血縁関係上神龍帝の方が近くなるし」
互いに話し合いながらも、微笑みを浮かべるゼノたち。
長い年月を生きてきている分、様々なことを学び、そして悟っていく。
自分たちはこれから先どうなるか、どうしていくべきか、いかにして・・・・・この世からも消えるのかも。
けれど、悟ったとしても今は今、未来は未来、過去は過去。
考えるだけ無駄であり、今あるこの暮らしをきちんと楽しめるように彼らは考えているのだ。
その中で、今回の結婚式の事はなかなか面白い事でもあったのだった・・・・・・・・・・
・・・さてと、次回はアルとアリスとランの結婚式予定!!
改めて告白したりするシーンや、招待客とかもきちんと記す予定である。
でもよく考えたら招待客って知り合いを呼ぶけどさ、その知り合いたちって・・・・・・・