209 タウンでのちょこっと事件
もうそろそろアルとアリスとランの結婚話と新婚旅行的なものを書きたい。
花粉症もそろそろピークなのかな?
春の訪れを感じさせるような風が吹き、雪も解けきり、すっかり暖かくなっていく。
そんな中、雲上にあるゴーレムタウンの研究区画では・・・・・・・
「な、な、な、何をやらかしたんですか今度ワァァァァァァ!!」
「いやちょーっとした実験をしていたのだよ!!」
「何がちょっとデスカ!!」
ファーストの怒鳴り声と、ミャルゲスの声がする中、現在ゴーレムタウン研究区画ではゴーレムたちが集結し、何とか今起きている惨事の収束を測っていた。
そこでは物凄い大量の草木が生い茂りまくり、その勢力を拡大していたのである。
事の発端は、ミャルゲスが創り出した失敗作の薬品がこぼれたことであった。
薬品の調合をして、新たなものを生みだそうとミャルゲスはしていたのだが、その最中によろけてある棚を倒したのである。
その棚の中には、彼女が作っていた薬品の失敗作が厳重に保管されており、またいつか使う機会があるかもしれないと思われていたのだ。
幸いにして、中にあった薬品とかは転がるだけでこぼれずに済んだので、ミャルゲスはほっとして一つ一つ丁寧に再保管の作業をした。
ただこの時、薬品の一つにどうもひびが入って中身がこぼれだしていたようで、その薬品の一つをミャルゲスがつかんだ瞬間、どうもアンデッド系統にとっては相性が最悪な薬品が入っていたようで、じゅわっと指がいきなり焼けただれ、慌ててミャルゲスは外へそれを放り出してしまった。
・・・・そして、今起きているのがこの惨状である。
外に放り投げられた薬品が一気に中身をぶちまけ、そこから急速につるのようなの植物が成長し、タウンを侵食し始めたのである。
「あれは失敗作の『エリクサー』なのだよね。たまたま空中を漂う花粉にでもあたったのか、そこから繁殖をしたと推測できるのだよ」
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「エリクサー(大失敗作)」
色々貴重な材料が調合されて出来上がったミャルゲスの失敗作の中でも残念な部類。
彼女の若い時に作り上げたモノであり、何処ぞやの王族にでも適当に献上して騒ぎを起こしてみようかと思ったものである。
効能はなぜか予定のとは違い、「何か」の成長を急速に促してしまう成長剤とも言えるだろう。
なお、この失敗を元にして、現在諦めている頭が寂しい人向けの毛生え薬を作製している。
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淡々と説明を述べながらも、ミャルゲスはゴーレムたちと共に必死で薬の効果が切れるまで伸びてくるつる魔法で消し去るのであった。
5時間後、ようやく効き目が切れて残ったのはつるの残骸である。
「これだけ成長するとは・・・・ごみとして捨てたいですが、量が多いですネ」
「まあ、やらかしたのは事実なのだよ。繊維を取り出せば再利用できるし、炭化させて燃料代わりにもするのが一番なような気がするのだよ」
「貴女がやらかしたことでしょうガ・・・・・」
あまり悪びれていないミャルゲスを見て、ファーストは思わずため息をつく。
公認モンスターであるのはわかっているけど、この女はここで見てないと確実にいつかとんでもないことをやらかしそうなのをひしひしと感じ取れているのだ。
それを考えると、最悪の事態が起きる前にまだ監視できるこのタウンに居候させたのは、アルの英断ともいえよう。
公認モンスターは国をも滅ぼせる力を持つのが多いのだが・・・・・・実際に、一番多く滅ぼしそうなのはこのミャルゲスではなかろうかとファーストは内心思う。
そして今までよく公認モンスター認定を取り消されなかったなと不思議に思ってもいたのであった。
・・・・・まあ、原因の一つとして、ゴーレムタウンで手に入る材料が、今までミャルゲスが手に入れにくかったものが多いということがあるのだが・・・・・。
なお、後日ミャルゲスのやらかしたことをアルは聞き、念のために「創造魔法」のスキルでさらに研究区画周辺と薬品を貯蔵する部屋を厳重化させたのは言うまでもない。
下手すりゃ土壌としている雲を消してしまいかねないからである。それだけは避けたい。
・・・・何気にこのファーストとミャルゲスのコンビって書きやすい。
春として、結婚話とかも書きたいけど、先にボルドの方を書こうかな。
ボルドって本当はあの一度きりの登場だったはずが、なぜかレギュラー化しているんだよな・・・・