206 料理教室
たまにはのほほんとした話でも
「さてと、ではお料理教室を始めますが・・・・・出来るんですかお嬢さま方?」
「できます!」
「出来るわよ!」
・・・・ゴーレムタウンのとある建物の部屋にて、簡易的なお料理教室が開かれようとしていた。
教師役として料理用のスキルが入ったカートリッジをファーストは読み込んでいるけど、目の前にいるお姫様二人が料理できるのかがファーストにとっては心配であった。
話は1時間ほど前に遡る。
「アルと交際できるのはいいんですけど・・・・結婚後の生活の事でちょっと考えているんですよね」
「何を考えているのよアリス?」
王城のアリスの自室にて、遊びに来ていたランはアリスと話していた。
「えっとですね、私達アルと交際できるようになって、堂々と一緒にいることができるようになったわけですよね」
「そうよね・・・好きだった人と一緒にいることができるのはいいわよね」
・・・・・アルと結婚する場合、2人とも今いる場所からアルの住みかへと引っ越す予定である。
でも、そこで一つ勘が手いたことがあった。
「アルっていつも自分で料理を作って食べているのでしょうけど、せっかく妻としてもなれるのだし、私たちでアルに一度料理を作ってあげたいとは思いませんか?」
「あー、確かにそうよね」
いつも彼女たちはアルに世話になったりしているのだが、そのお礼としてたまには自分たちからお礼もしたいのだ。
そこで思いついたのが手作りの料理を上げようかと思ったことだったのだが・・・・・
「よくよく考えたら私、料理をしたことがほとんどなかったのですよね・・」
「私も同じようなものよ」
二人ともそれぞれ国の王女であり、料理をする機会なんてほとんどない。
ランは冒険者業をしているのだが、食事も携帯食や屋台と言った物を利用することが多く、本格的に料理に挑んだことがなかったのである。
そこで、2人が頼ったのは・・・・・
「私というわけですカ」
「お願いファーストさん!!アルのために料理を作れるように指導してください!!」
「同じく!!私の方からも頼みます!!」
身近な存在でもあり、将来的に顔を合わせる機会が必然的に多く、そして料理に長けていそうなのと言えば、2人にとってはゴーレムタウンにいるファーストぐらいであった。
「料理というのはスキルでもとってますけど、まあ自力での習得ならいいデスヨ」
ファーストも、一応その好きな人に料理を作ってあげたいというアリスとランの気持ちが理解できる。
とはいえ、流石に自身のマスターでもあるアルに食べさせるものとなればちゃんとしたものを作ってほしい。
そこで、今回の料理教室を開いたのであった。
なお、料理関係のスキルというのはあるけど、案外スキルの中では簡単に習得しやすいものでもある。
・・・・伝説によると「天性の激マズ」という最悪のスキルもあるそうだが、それは回避したい。
「では、今日のメニューは合うに食べてもらう物としても簡単なもので実践しましょうカ」
「「はい!!」」
とりあえずエプロンを装着し、ファーストが言うとアリスとランの二人は元気よく返事するのであった。
・・・・・・・本当はファースト、アリス、ランの3人は最初ごく一般的な家庭料理にするつもりだったらしい。
「ですがその・・・なぜか教えた結果デスネ」
「ちょっと料理が楽しくなって」
「そしたらいつの間にかこれができていたのよね」
アルの目の前に並ぶのは、中華・洋食・和食のフルコース。
バイキング形式のように食べられるだろうし、見た目も臭いもおいしそうなのはいいけど・・・・量がすごい。
「というか、何処をどうやったこうなったんだ・・・・」
話を聞いたとき、うれしく思えた。
二人とも一生懸命頑張ってくれていたようだし、ファーストも協力してくれたのはいいだろう。
けどな、何で100人前は軽くいけそうな量になったんだよ!!
ごく普通の家庭的な料理のはずが、どこをどう間違えたのかすごいことになっている。
・・・・鑑定してみたけどさ、ファーストのセットしていたスキル「料理人の極み」が原因ではないだろうかとちょっと予測できた。
流石にこの量は食べきれるのかが不安になったので、きちんと皆で食べたけど・・・・案外全部食べれた。
でも当分ご飯いらないな・・・・・うっぷ。
嬉しいのとおいしいかったのと、そして今のこの限界の満腹感の苦しさ。
あとでミャルゲスに消化を促す薬を製造してもらうことに決めたのであった・・・・・。
・・・・・なお、食べきれた理由としてエネルギーを消費するために時たまランと手合わせして、食べられそうになったら食べてという事をやっていました。
でも、よく考えたら収納して取っておけばよかったのかもしれない。
そして本当にどうしてこうなったのかすごい気になる。
ファーストよ・・・・教えている途中で気がついて止めることができなかったのだろうか?