199 (主に精神的)最大の危機
人生・・・いや、龍生最大の危機(精神的に)
SIDEアル
・・・・夕食も終わり、気まずさからもなんとか脱出して談笑できていたアルたちだったが、もうそろそろ就寝しようという事になった。
「で、同室で寝ることになるようだけど・・・・いいのかそれで」
「別にいいですよ。むしろ、この旅館って敷布団ですから寝心地が楽しみで」
「アリスの気持ちはわかるわね。たいていの宿屋ってベッドだし、こういうのも楽しいわよね」
違う、その観点全然違う。
ベッドか敷布団かじゃなくて、異性と同室で寝て良いのかという問題のほうだよ。
論点がずれていると思えるが、とりあえずアルはあきらめた。
互いに信頼しあっているような関係故に、何を言っても無駄そうな気がしたからである。
とりあえず、床に布団を敷いたけど・・・・・川の字。
アリス姫、アル、ラン王女の順で横並びの布団だ。
「・・・・・これって良いのか?」
「良いですよ。何も問題はないでしょう?」
「何か問題があるのかと言いたいけど、なさそうだよ?」
キラキラとした目で見つめるアリス姫に、にこやかに・・・というか若干何かたくらんでいそうな顔を見せるラン王女。
言い返せない。というか問題があると言っても聞きそうにないな。
仕方がなく、布団に横になったけど・・・・なかなか敷布団の割には結構ふかふかな布団である。
まあ、今の時期が冬という事もあって、冷えてくるだろうし、暖かい布団じゃないと厳しいからね。
明かりを消し、とりあえずアルは睡魔に襲われて寝るのであった・・・・・・・
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SIDEアリス姫&ラン王女
・・・・床に就き数十分ほど経った。
寝息を立てているアルの横の方でむくりとアリス姫とラン王女が布団から起き上る。
(・・・・寝ていますよね)
(ええ、間違いなく寝ています)
暗闇の中、あらかじめ彼女たちは決めていたジェスチャーによって会話をする。
そして、アルが熟睡していることを確かめた。
(普通こういう状況だと、殿方は襲いかかってくることがあると聞きましたけど・・・・)
(アルの理性は強い。公認モンスターだけあって、中々手ごわいわね)
(では、『距離を縮めよう計画』の最終段階へと)
(移行しましょう)
互いにうなずき確認しあい、もぞもぞと二人はアルの布団の中に潜り込み、互いに寝ぼけたふりをしてアルがちょっとだけ起きるように少し身体に触れた・・・。
(あ、こうやってくっつくとなんか安心感が・・・・)
(ここで完全に寝落ちしてはだめ!!ギリギリのところで待ちましょう!!)
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SIDEアル
(・・・・・ん?)
ふと、眠っていたアルは少しだけ目覚めた。
部屋の中はまだ暗く、深夜なのはわかるのだが・・・・・何かがくっついているような気がした。
というか、柔らかい何かが押しつけられているような・・・・・
布団を少しだけまだ寝ている状態でめくって見ると・・・・・両脇にアリス姫とラン王女が左右からくっ付いてました。
(・・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁあ!?)
人って寝ぼけて動くことはあるけど、まさか両側から二人にくっつかれるとは思わなかった!!
というか、浴衣の状態だけど動いたせいでちょっとはだけていろいろ見えそうになっているって!!
手で押して動かそうとしても、下手に動かしにくいし・・・・あ、ぎゅっと手がとらえられた。
・・・・これ、下手に動かしたら相当やばいような気がする。柔らかいし、なんかいい匂いするし。
「むにゅ・・・アル・・・」
「暖かい・・・」
寝ぼけているように見えるけど、寝言がはっきりしているような。
そしてこの状況、理性がやばい。
ぶっちゃけ言って、神龍帝として転生して以来最大の危機かもしれん。主に精神的な意味で。
この世でやばいモノって?
武器?魔法?権力?・・・・・いや、この理性に直接攻撃するかのようなこの状況だよ!!
アルはある意味悟り、この精神的な攻撃に朝まで根性で耐えることにしたが・・・・・・・
(・・・・朝になって二人とも起きたとき、どうすればいいんだろうか)
この状況の解決策を必死で考える羽目になるのであった・・・・・・しかも、少しづつからめとられているような、本当は起きているんじゃとか言いたくなるんですけど!!
・・・・あとから思えば、自分だけ転移魔法して逃げればよかったのではないかとアルが気がつくのは、数日後の事である。
とりあえず、翌朝まで必死です。中身は健全な男子なので、この状況はいろいろとやばい。
実は起きているアリス姫とラン王女だけど、こちらはこちらで何とか籠絡できないだろうかと少し体の位置をかえたりしてます。