198 少々気まずい
今回微妙かな
・・・部屋に戻った後、アル、アリス姫、ラン王女の3人は、旅館からの夕食をいただいていた。
風呂場でのこともあり、若干気まずくてなかなか話を切り出せない。
シーンとした食事だけど・・・・なんかなぁ。
異界旅館はそのだされる食事もまさに異界の物と言えるようなものらしく、滅多に食べられないようなものなどが出るという事前情報は知っていた。
でも、予想外なのがあるんですけど。
鍋とか、刺身とかはまだわかる。
ぐつぐつ煮えておいしそうな匂いはするし、刺身だって醤油もきちんとあるからね。
でも、その夕食のど真ん中に鎮座しているでっかいカニはなんというか・・・・でかいの一言しか本当に出ない。
縦に長い机の上に、物凄く足が長い・・・・片足だけでも伸ばしたら5メートルほどないかこれ?
身が詰まっていそうだけど、量が多そう。
というか、この異界旅館って海からも離れているよね?温泉だけに山の方にあって、海から結構離れているぞココ。
食べて大丈夫なのかと不安になり、「鑑定」をしてみることに。
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「ロングフットクラブ」
足がものすごく長いカニの一種で、モンスターではない。別名「出世ガニ」とも言われる。
本体ともいえる胴体部分は通常のカニと大差はないのだが、その足の長さが常識外れにまで育つのである。
「出世ガニ」の別名があるのは、成長過程でどんどんこのカニの姿が変化していくからだ。
最初、小さな球としか言えない「タマリン」。
次に成長して、見た目が普通のカニほどになる「クラブーン」。
そして、そこから足が急成長して「フットクラブ」。
最終形態として、「ロングフットクラブ」となるのである。
次々と姿と名前が変化するので、縁起の良い「出世ガニ」という別名を持ち、其のため権力者たちにとっても縁を求めて食したいカニである。
なお、成長途中で海から出て陸地へ住むようになる。そして山になぜか居つき始める。
・・・・「スズキですか?」by鑑定
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あ、久し振りに「鑑定」からのコメントがついていた。そのコメント同意できるな。
そして陸地へ出ることがわかった。カニが山に・・・って、何処のかちかち山だ。
・・・・食してみると、味は案外普通のカニ・・・いや、それよりもおいしいかな。
うん、まあ微妙なところというべきか、もうちょっと一工夫ほしいところ。
むしゃむしゃむしゃと、カニを食べる音がで静かになるけど・・・・・やっぱこう黙っているのもな。
「・・・・いたっつ!!」
と、ラン王女がいきなり口を押えた。
「どうした!」
「どうかしたんですか!」
その様子にとっさに心配の声をアルとアリスはかけた。
「いひゃひゃひゃ・・・ひらかんらのよ」
「ああ、舌をかんだのか」
「それは痛いですね・・・」
わかりやすい痛みの説明に、アルとアリス姫はほっとした。
あ、今普通に会話できたな。
・・・・そのあと、いつの間にか気まずい雰囲気は落ち着き、いつも家で話し合うように談笑をし始めることができたのであった。
うん、やっぱりこうやって楽しくしゃべっていたほうが良いな。でもラン王女、舌の痛みが取れてから話したほうがいいと思うんだけど・・・・
・・・談笑したはいいけど、このあと寝るのを分かっているのだろうかこの主人公。
真夜中というか、こうやって徐々に接近していくのは王道な恋愛になるだろうか?
あと、今回だけ恐ろしく微妙になってすいません。