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192 それぞれでの思い

冬と言えば外せなさそうな定番ネタを準備・・・・

SIDE ルンデバラート城内:アリス姫の私室


「アルと出会って結構経っているのに、進展しにくいわね・・・」


 ルンデバラート城内で、第1王女であるアリス姫は悩んでいた。


 今の時期は雪が降ってくる冬であり、来年の春で・・・・自身が恋慕している相手に出会って2年が経過しようとするのである。


 だというのに、今もなお互いに楽しく話し合い、ラン王女というライバルが出てきているというのに、其の仲はなかなか進展していないと言える。


 もどかしい、あと一歩、あと一歩何か踏み込めればいいのだがなかなかその一手が見つからない。



「こうなれば、以前ランが夜這い未遂という手段を私は完遂に・・・」

「ダメでしょ」


 ぺチリと軽いチョップが、遊びに来て話し合っていたラン王女の手によってアリス姫の頭に下された。



「そもそもねぇ、一国の王女が夜這いを仕掛けようとするのが間違っているのだと言いたくなるのよ」

「でも貴女もそれまともにやろうとしてましたよね」


 ラン王女の言い分に、ジト目でアリス姫は事実を述べるとラン王女はうっと言葉を詰まらせた。



 アリス姫もラン王女も、恋する相手(神龍帝のアル)は同じ。


 けれども、互いになかなか進展がないのでもどかしく、こうして話し合っているのであった。



「アルがモンスターだけに、人以上の鈍感さというのも問題ですよね・・・」

「こういうのを、唐変木、朴念仁とかいう言葉があるらしいけれど・・・・まあ同意するわね」


 意見で同意が出て、アリス姫とラン王女はため息をついだすのであった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDEアル


「へっくしょい!!」


 なんか鼻水が出たな・・・・・・。風邪か?


 エルフの村から戻って来たけど、現在アルはお土産にもらった大量のまんじゅうを食べていた。


 まんじゅう怖いって話があるけど、その話しでうまくいっていたならばの成功例がこの状態なんだろうなと思いつつ、渋いお茶をずぞぞと飲んで、甘い口の中を調和する。



「コッコッコッコケー」

「コッコッコッココー」

「「「「ピヨォーーー」」」」


「カルガモの行進みたいでなんか可愛いなぁ・・・」


 雪がうっすらと積る庭を、ピヨ吉たちが托卵された雛たちを連れて散歩している。


 一応、転移板(ポータルプレート)に改良が施され、現在彼らが住んでいる牧場区画とつなげて入るけど、こうやって並んで行進する姿はどことなくカルガモの親子を連想させた。


 あと数週間ほどで、あの雛たちは本来の姿になって巣立っていくらしいけど、あの様子だと本当に血のつながった親子のように見えてほほえましい。


 でも、数が多いのでなんかありの行進にも見えるなぁ・・・軍隊ありレベルの。



「子供・・・か」


 ピヨ吉たちと、あの雛たちは別に血がつながっているわけではない。


 けれども、本当の家族のように見えるその光景はどことなく印象に残る。



・・・公認モンスターというか、「神龍帝」という種族である俺の場合、子ができたとしたらどうなるのだろうかとちょっと気になった。


 まあ、相手すらまだいないからね。前世も彼女がいなかったし・・・・考えたら悲しいな。


 サイトウ・・・前世からの友人曰く、その原因の一つとしては「ヤンデレ部隊」なる恐ろしい集団が暗躍していたそうだけど。


 うん、その人たちって転生してきていないよね?ものすっごい不安になった。



 そのことを考えるのはやめて、今はまんじゅうを食べながら目の前を一生懸命行進して進む可愛らしい様子を眺める。


 あのふわっふわのヒヨコが巣立つと思うと結構寂しい。


 そして・・・なんとなく人を求めたくなるよねこういう時は。


 アリス姫たちが遊びに来てくれないかなと、俺はふとそう思うのであった。





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SIDEルンデバラート城内:アリス姫の私室



「・・・そうですわ!!この際二人で協力しませんか!!」

「協力?」


 話し合っている途中、ふとアリス姫は名案ともいえそうな考えを思いつき、ラン王女に話した。


「つまりですね、この際二人で協力して・・・・」





「・・・・という事ですよ」

「なるほど、それなら協力するわ!」


 互いに握手を交わし合い、アリス姫が思いついた案をより綿密に練り直していく。


 お互いに損はほとんどなく、うまくいけば一気にアルとの距離を縮められそうなナイスな案。


 王族とはいえ、この国では飾りのような者なので権力とかはそこまでないが、この程度であるならば小旅行としても成り立つので特に問題はないはずだ。


 そのため、アリス姫とラン王女はその計画を一晩で完成させ、翌日アルに携帯でとある連絡を取るのであった・・・・・・。

なお、軽く企むアリス姫とラン王女の様子を、アリス姫の母と国王はこっそり微笑ましく見ているのであった。親としても、見逃せなさそうな感じがしたのだ。


この国では王族は特に権力を持つわけではなく、お飾りのようなモノだけどそれなりにまあ重要な役目としても認知されているのでそこそこコネはあるのです。

その王族は権力をあまり持たないという事に対して、不満を持つ様な輩は良そうですが・・・・・・

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