191 久しぶりの訪問
ちょっと予定していたところまで行けてないことに気がついた。
何処かでつじつまを合わせないとなぁ・・・・
SIDEアル
伝書鳩型ゴーレムのポッポちゃんが帰還し、エルフの村のサインド村長は俺が訪問してくることに出迎えますよという書簡を持ってきた。
ただし、村の都合上明日ではなく、明後日に出来ればしてほしいという感じだったのでそのようにすると返答したけど・・・都合って何かあったのだろうか?
村で祭りでもやっていたとか?
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SIDEサインド
「急いでこの理想像を全てどこかへ隠せぇぇぇぇ!!神龍帝のアル殿が明後日訪問すろといただいたから、それまでにうかつに外部に漏れたら恥ずかしい雪像は隔離しておけぇぇえ!!」
「「「「いえっさぁぁぁぁ!!」」」」
サインド村長の叫びに、村にいた男性一同は心を一つにして、それぞれが制作した「理想像」の雪像を大急ぎで撤去していた。
身内の者ならいざ知らず、外部の、それも公認モンスターの方に、この自分たちの妄想から具現化させた雪像を見られるのは流石に全員恥ずかしい。
そのため、アルからの訪問連絡に対して、何とか猶予を得て、皆一丸となって雪像を絶対にバレない場所へ隔離をしていた。
いつもなら、何かしらの誇りだのとか言って対立するような彼らだが、この雪像に関しては心が一つになっていたのである。
・・・・雪像の破壊?全員にとっては芸術ともいえる作品であったので、壊すのがもったいなかった。
ただ、村のエルフの女性たちがあとで隔離していた雪像に少々手を加えたのは言うまでもない。
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SIDEアル
それから時間が経過し、エルフたちの村へアルは久しぶりに訪問していた。
「結構この森で雪が積もるものだな・・・前は砂漠だったからこうなると思わなかったのだが・・」
「アル殿のおかげで、この地域本来の状態へと変わったのですよ。寒さも増したので、過ごしにくさもありますが一時的なものなので、砂漠時代よりはずっと良いですね」
村に訪問すると、サインド村長自らが出迎えてくれた。もこもこのニット帽のようなものに、毛皮を剥いで作った防寒具のような物を着用しているようだ。
ちなみに、流石にここまで豪雪状態だとは思っていなかったのでこちらはいつもの軽装・・・に、魔法で少々体の周囲の気温をいじり、速攻で靴を長靴に変えました。
人化しているとさ、人並みの感覚もあるんだよ・・・・魔法ってこういう時に本当に使えてよかったと思える。何か間違った使い方のような気もしないけど。
にしても、このエルフの集落があるこの森・・・・・・前は砂漠で年中日照り状態のような環境だったのに、森ができてからはまともな環境になったようである。
木があるのとないのではかなりの差が出るのか・・・・その辺の調査とかちょっとしてみたいな。
「前回の村への訪問からずいぶん間隔があいたけど、特に変わりがないようでほっとする感じもあるな」
「ええ、他の移住者もいたりしますが、まだまだ人口としては発展途上なので。ただし、出来るだけ外部の者を受け入れやすいような環境になるように調整はしています」
誇りがどうとか排他的な奴らが今もなおいたりするのは問題だが、それでも出来るだけ外部から人が来ても特に問題なく交流できるように意識改善を務めているらしい。
閉鎖的だとそのうちおかしくなるようなやつが出たりするし、村での自給自足にも限度があるので、いつか来るかもしれないその限界の前に、外部との交流を積極的に行えるように考えているのだとか。
そのあたりは感心できるが・・・・まあそれでも問題は残る。
エルフというのはどうしても美形な人が多く、狙って違法奴隷として考えるような大阿保馬鹿者とかたまにいる。
そして村に襲撃をかけて攫うようなやつとかもいるようなので、その辺の防犯もしっかりとしておくのが課題だそうだ。
こちらとしては特に干渉をするようなことではないが、神龍帝・・・公認モンスターとの交流がある村だと伝わればある程度は防げるのではないかとサインド村長は正直な心情を述べてくれた。
利用するような形になるかもしれないがという前置きをしっかりしているし、名前が伝わる程度なら別に止めはしない。
・・・でも、それを元に悪用するならば許さないからなと一応くぎを刺しておく。
こういうので庇護下にあると勘違いして増長するような馬鹿が出る可能性も否定できないからね。
そこはしっかりとしておいたほうがいい。
ちなみに、公認モンスターの名を借りてというような村とか国とかって実は他にもあったりする。
公認モンスター自体が一国をぷちっと出来るような実力を持つのが多いので、そこである程度の保証が欲しくなるのだとか。傘下というのか?名を借りる代償として何かを納めたりするらしい。一番多いのは食べ物だとか。
けれども、その公認モンスターの機嫌を損ねたり、虎の威を借りる狐のように力づくで他国に侵略とかを考えた国は見放されるか、もしくはモンスター直々にぶちっとつぶすか滅ぼされるそうである。
まあでもそうそう悪用するようなやつってあまりいないようだし、よくあるテンプレのような大馬鹿者が出たときだけであろう。
それに、そう言う名を借りてみたいなのは結構少ないからね。公認モンスターたちにとっても特に利益とかがあるわけでもないし、勝手にやらないように規制をかけているようだ。
なお、ガッバーナやゼノ、ミャルゲスなどと、これまでにあった公認モンスターの面々はそのようなことをしていないらしい。
ガッバーナは武者修行で各地を転々と移動しまくり、
ゼノは森の奥深くで奥さん二人と仲睦まじく暮らしているそうでそんな面倒そうなことにあ手出しをしないそうだし、
ミャルゲスは言わずもがな研究馬鹿で引きこもりやすいそうだからね。ザップリンさんの知り合いでもあり、4年に1度ぐらいで顔を出していたのは、まあずっと一人だとなにかと不便なこともあったからのようである。
いつか他の公認モンスターたちとの接触の機会があったら、それはそれで色々と話をしてみたいなとは思う。
話を戻して、エルフの村に久々に訪問してきたけど、豪雪ってすごいな。
「こういうところだと、皆で雪像作って雪まつりとかしても楽しそうだな」
「ゴフゥ!!・・・失礼いたしました、少々むせたので」
なんかつぶやいた瞬間に、サインド村長が飲んでいたお茶を吹き出したな。
何か隠していそうだけど・・・まあ、なんとなくツッコミを入れないほうがいいかもなと感じ取った。
とにもかくにも、せっかくの訪問なので帰り際に村の特産品にしようかと検討中だというまんじゅうをお土産に2桁ほどもらいました。
・・・・正直言って、あり過ぎるけど試作品もらったら結構おいしかったので文句はない。
むしろ、これ本当に売っても儲けが出過ぎるレベルだよ!!
うん、どうにかして定期的な確保を求めよう。ついでにタウンの方で同じようなものを作れないかゴーレムたちにどうにかしてもらおうとアルは考えたのであった。
「エルフの村特産まんじゅう」
出来るだけ外部との交流も進めてみようかと、サインド村長が提案し協議した結果試作として作り上げられた激うままんじゅう。正式名称は協議中。アルもおいしいと言えるほどなので、近い将来的に販売が可能になるだろう。
・・そろそろお色気的なものを投下してみたい。