190 何やかんやのごたごた
地域が若干ズレているので、天候にやや差があり。
SIDEアル
エルフの村へ訪問をと思いついた翌日、連絡手段としてゴーレムの一体に頼んで訪問予定を伝えるようにアルはお使いに出した。
こういう時に、連絡を取らせるためのゴーレムを用意していたのはよかった。
伝書鳩ならぬ、伝書鳩型ゴーレム「ポッポちゃん」。こういう時に役に立つ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
伝書鳩型ゴーレム初号機「ポッポちゃん」
発案:神龍帝
製作:職人ゴーレム(造形系統特化、航空力学特化)
命名:職人ゴーレム(名づけ系特化の方々から抽選で選んだ名前)
製作目的:携帯などの連絡手段がない相手に、連絡する用に用意された。海中以外であるならばどこへでも連絡用の手紙を渡しに行ける。
燃料:魔石
飛行原理:飛行魔法の付与と、炎の魔法の付与により、後部からの噴射で反動を得て加速する。
性能:
・ゴブリンの魔石で最高時速75㎞、連続4時間飛行可能。
・魔石の質が高いほど最高時速と飛行可能時間が延びるのはテスト済み。ただし、耐久性を考えると高すぎるのは空中分解の可能性もあるので調節が必要。
・最大積載量は20キロまでなのは、なぜか変わらなかった。
・目的地の座標をセットして、きちんとタウンに戻ってくることができるように調整済み。だが、たまにどういうわけかタウンに戻ってくる際にゴーレムの誰かの頭に激突することがある。
・武装はないが、防御面をガッチガチに固めているので襲われても大丈夫だろう。
・自己判断できるようにされており、万が一の時には自爆機能付き。半径3メートルに爆風を起こす。
ゴーレムでありながら、星3~4クラスの魔道具の分類に入りそうで、それでいて性能が不安定ゆえに星クラスも安定していない。まだまだ改良の余地があり、様々な可能性を秘めている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魔道具「携帯」は、ある程度親しい人にしか渡していないし、連絡手段としてゴーレムを使用するのもいいだろう。
いっそ伝書鳩型の連絡用ゴーレムを普及してみるってのはどうだろうか。いや、伝書鳩はすでに実用化されているからやめておこう。
何もかも、そう言うので解決するのは間違っているような気もするし、この辺は人々で自力の発展を遂げることに期待しよう。
でも、自分で使う分ならまだいいよね?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
SIDEエルフの村:サインド村長
アルが連絡のためにポッポちゃんを飛ばしたその頃、エルフの村の方では冬ならではの光景が広がっていた。
極端な性格や思想を持ちやすく、結構分かれやすいエルフたちだが、今村中に雪が積もっている中、皆の心が一つになっていたのである。
そう、雪像づくりに皆熱中していたのであった。
誰もが童心に帰り、互いにどれだけ立派な雪像を作れるのか競い合い、楽しみ合う。
素直と言えば素直な感じかもしれないし、自分の力を示したいと思うような人たちには絶好の機会でもあり、雪像を本気で作っていく。
森の動物、モンスター、植物と言った物をモチーフにして、様々な雪の博物館ともいえるような光景が現在村中に広がっているのであった。
「うんうん、こういう感じでいつもまとまれば楽なのだがなぁ」
その光景を見て、村長をしているサインドは自身の作品にも満足しながら感嘆の意を示す。
彼が作ったのは「理想の奥さん像」・・・・独身故に、なんとなく作りたくなった。
ちなみに、村の3分の1の独身エルフの男性もそれぞれ同じようなものを作っていたのは言うまでもない。
そして皆後悔していない。たとえ、同じ村にいる女性たちから侮蔑のような目が向けられようとも・・・・。
性癖も暴露しているようなものだし、それを利用して自身が気になる男性の好みの姿になろうと努力する女性もごく一部に居たりもした。
一応、全員造形に関してはエルフ的センスというか、美に関しては手を抜いていなかった、むしろ理想故にこだわりまくってかなりレベルの高い雪像になっていたという事は言うまでもない。
余談だが、雪像関係のスキルというモノはあるのだが、この村にいるエルフたちはそのスキルを持っていない。それなのにレベルが高い物が作れたという事は、それだけ彼らのこだわりとセンスが優れていたという事なのであろう・・・・・・。
「ポッポちゃん」がもし販売されたら買ってみたい。見た目がものすごく癒し系に造形されております。