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189 エクスプロージョン!!・・・なのだよ。

「叫びたくなった、後悔はしていないのだよ」byミャルゲス

「何をやらかしてくれているんですカ!!」byファースト

SIDEゴーレムタウン


・・・・雪が降り始め、あたりが白く染まり始めたころである。




 ゴーレムタウンの研究区画では、最近住み着いた公認モンスター「リッチキング」のミャルゲスは今、



「・・・・で、この惨状はどういうわけですカ?」

「ちょっとやらかしたのだよ!!芸術は爆発でもあり、この失敗から偉大な経験を得ることができるのだよ!!」

「だからといって建物その物を吹き飛ばすのはだめでしょうガ!!」


 珍しく、あまり感情を表に出さないファーストに、ミャルゲスは説教をくらっていた。


 

 あたりは瓦礫だらけで、現在タウンの点検や保存、改修を担当するゴーレムたちが研究区画の再構築及び耐久性向上のための作業を行っている。




 事の始まりは、ミャルゲスが風呂に入っていた時に思いついたことを試そうとし、風呂から飛び出して薬品の調合を行っていたところ、少々やらかして大爆発がおきて研究区画が半壊したのである。


 雲上にあるこのタウンで、その下の方の土台の一部も吹っ飛んで雲が欠けた状態になるほどの爆発でも、現在全裸で済んでいるのはさすが公認モンスターというべきなのだろうが・・・・・やり過ぎである。


 しかも今の季節は冬であり、アンデッド系のリッチキングであるミャルゲスでも全裸は死ぬほど寒い。いや、もうとっくの前に死んでいるようなものだけど。



 そのことを知ったファーストに、説教をかれこれ3時間ほどされているのだった・・・・。



「大体貴女は何がしたかったのデスカ!!」


 ゴーレムとはいえ、神龍帝のアルによってつくられ、自身の改造もしてきているファーストなので、怒髪天を突くという言葉のように、髪の毛を逆立てて尋ねた。


「よくぞ聞いてくれたのだよ!!」


 怒られている最中だというのに、きいてくれた方がうれしかったのか全裸だけど立ち上がって目を輝かせるミャルゲス。


・・・・ぶっちゃけ、スタイルはいい方なのでアルが見てはいけないような格好なのだが、研究馬鹿なのでこういう時は羞恥心すらない。



「風呂に入っているときに、ふと我は思ったのだよね。旅先とか依頼中に風呂に入れるような魔道具(マジックアイテム)は神龍帝がすでに製作して、ゴーレムたちに製造させて販売しているというのはすでに知っているのだよ。けれども、そこにまだまだ改善の余地があるのではないかと思いついたのだよ!」

「具体的にハ?」

「風呂は風呂でも、療治とかに薬湯というモノがあるのだよ。そこで!!我はその薬湯に使えそうな入浴剤を思いつき、ここに居つかせてもらっているせめてもの礼として、神龍帝に肩こりや慢性疲労、鱗の傷や爪の手入れなどが簡単に行えるようなすんごい薬湯用の入浴剤を作ろうとしたのだよ!!」

「で、そこから何処をどうしてこうなったのデス?」

「・・・えっと、神龍帝の鱗の一部を粉末状にしたやつで効果を高めようとして、二ストリアンという鱗を持つ生物の回復薬として使えるものなどを利用しようとしたら、ついうっかり間違えて、ニトログリセリンと過酸化水素とハイドロサルファイト・・・その他混ぜたらあかんやつをやって、効果が高まって大爆発したのだよ」



 意気揚々と説明していたミャルゲスであったが、絶対零度のような眼差しをファーストから感じ取り、徐々に意気消沈していった。


 ちなみに、そのような危険な薬品でもミャルゲスは用法容量を間違えなければ大丈夫だという信条で使用しているのだが、今回は組み合わせが最悪であった。



 この後、ファーストにさらに説教をされ、全裸のままだというのになぜかタウンにあった滝に修行させられ、反省させられたという。



・・・ミャルゲスは一応こんな人だが公認モンスターである。それでもタウンの管理をしているファーストには負けているようであった。


 そもそも、公認モンスターである神龍帝が直接作り出したゴーレムという事もあって、性能は他よりも高性能。


 自身も改良に改良が重ねられており、なおかつこのタウンでは専門的にスキルを育てる職人ゴーレムたちがおり、時と場合によってはファーストはカートリッジ交換でスキルを変更して、強くなることも可能である。


 そして、そもそもミャルゲスはここの居候のような立場であるため頭が上がらなかったというのもあった。


 ファースト・・・・ゴーレムタウン内でなら、アルに次ぐ強さを持つのである。なお、ゴーレム(魔道具のようなモノ)であって、モンスターではないので公認モンスター登録はしない。




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SIDEアル



 バッホーンの、特にボルドに対しての解決策(ミャルゲス)が住み着いたので、今日は家の畑仕事をすることにした。


 とはいっても、雪がちらついてきているので精々耕しておく程度であるが。



 いつぞやかのこたつ作りの際に、余った材料としてコークスタートルの甲羅の破片を砕いて、埋めたり混ぜたりとしているので積雪対策は一応できているのだが、それでも冬なのでなんとなく作物を育ててみようと気にはならないのである。


 冬でも育つ様な作物ってあったかな・・・・温室モドキならあるからそこで栽培できるけど、今年はちょっと変わったやつも育ててみたいんだよね。


 ゴーレムタウンに農業区画があって、そこでも作物を栽培できているとはいえ、やはり最初に作ったこの畑には愛着はあるのだ。



 タウンの方に家を移すことも考えたけど、やっぱり最初に住み着いたこの地を離れるのも寂しいし、まだしばらくはこの地にいる予定だ。


・・・アリス姫とラン王女が訪ねてくるって言うのもあるけどね。あと、冒険者としての友人だとゲバルトとラスランってやつらがいたけど、来年あたりに結婚を考えているらしいとこの間聞いたな。


 友人のそういう話ってからかいたくはなる。



 にやりとどことなく笑みを浮かべ、アルはちょーっとばかりのサプライズでも送ってやろうかという気持ちになった。


 うん、純粋に友を思っているだけであって、決して面白そうな気がしていたずら心が芽生えたとかではないですよ。多分。



「いっその事、その結婚式にでもサプライズとして突撃してみようか?」


 公認モンスターが友人として出席・・・・・は騒ぎになりそうだし、やっぱそれはやめておくか。あ、光学迷彩魔法(カモフラージュ)で覗き見するという手があるか。


 


 と、ここで思い出したけどエルフたちがいた村に久々に顔を出してみようかな。


 秋以来忘れていたし、一応連絡してから訪問したほうがいいな。下手にいきなり行ったら面倒ごとになりそうな気もするからね。


 思いついたが吉日、さっそくその用意をアルはするのであった・・・・・・・。


でも、この後連絡する方法をどうするかで少々悩む羽目になった。


 よくよく考えてみれば、連絡手段エルフの村にないか。外部からの交流をほとんどしていないようだし、この間行った時って互いに世間話というか、そう言った現状の話をして帰ってきていたよ。

お久しぶりのエルフの村訪問。他にもエルフの集落とか国ってあったりするけど、今のところアルが交流しているのはその村だけである。

そのうち、今まで出ている国以外でからませたいとは思う。


・・・なお、研究区画は防水・防爆・防魔もろもろと言った改善を行いました。

なんかファーストがお母さん、ミャルゲスが何かやらかすその子共って感じにも見えてきた。

「次やらかしたら、マスター(アル)に頼んで確実に昇天させまスヨ。もしくは聖属性特化したスキルをカートリッジで私に組み込み、なおかつ耐性を無視できるようなスキルもつけて、それで昇天させますかネ」

「本当にそれはマジ勘弁なのだよ!!・・・もしそうするならば、できれば前者の方で頼むのだよ」

「つまり、後者の私のは嫌ト。理解いたしましたので、次は後者の方で行いますネ」

 物凄くさわやかな笑顔で、ファーストはミャルゲスにそう告げるのであった・・・・・

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