184 朗報というべきなのだろうか
一部の人にとっては朗報
『マスター!!緊急連絡デス!!』
冬に入って雪がそろそろ降りそうな早朝、携帯でタウンにいるファーストからの連絡が来た。
慌てているような、待っていたとでもいうようなそんな喜びが感じられる声である。
「どうしたんだファースト?」
『バッホーンの群れで、メス一体だけの逆ハーレム状態の通常の群れの情報が入りましタ!!』
「・・・・どこだぁぁぁぁぁ!!」
まさかの朗報であった。
今は療養のためにゴーレムタウンに特別に作った療養区画に要るボルド。
彼にとってはまたとないいい知らせでもあろう。
なぜなら現在ゴーレムタウンの牧場区画にいるバッホーンのオスは彼一体。
他のバッホーンのメスは来年の春ごろに出産を控えているとはいえ、繁殖期が再び来るとまたボルドが干からびるまで搾り取られるのは目に見えていた。
なので、その問題を解決するためにバッホーンのオスの情報を求めていたのだが、これまで群れ発見と言ってもミルクの為と勘違いされているのかオスが倒されてメスだけになったりして、この冬の時期もどこか別の場所へ移動しているようでほぼ発見不可能な状態だったのである。
まあ来年に後回しかと思っていたのだが、この朗報は今年最後のチャンスであろう。
この機会を逃せるだろうか?いいや、逃せるはずもない。
・・・種は違えど、ボルドの境遇は男として同情するからね。あの悲しい鳴き声どことなく心に来るからなぁ。大事な事だから2度思うけど男として同情する。
とにもかくにも、その現場へ急いで急行する。
目撃情報があったのは・・・・・
「エルフたちが住まう森のさらに西側か」
そこまで言ったん転移魔法でショートカットして、そこからさらに急いで西の方へ進路を取って、人化を解除した姿で急いで向かう。
森の大きさはかなりあったけど、途中からすぐに砂漠に切り替わっているようで暑さに注意しないとな。
とはいえ、神龍帝としてのこの身体って威圧感もあるわけで、群れが近づいてきたら人化してそこからは光学迷彩魔法をして、気配を消して密かに接近をしなければならない。
そのまま進むと、前方に黒い影が多く見えてきた。
だんだん姿が見えてきて、バッホーンなのは間違いないと確認し・・・・ん?
「あれ!?」
よく見ると、なんかものすごい煙がぶしゅわわぁぁぁぁぁっと噴き出ているんだけど!?
「な、なんじゃこりゃ・・!?」
急いで傍にまで言って見ると、謎の真っ黒な煙が全部のバッホーンから出ている。
そして、よく見ると・・・・・何者かの人影が見えたけど、なんとなくゾッとするかのような気配を感じた。
手には何やら薬の瓶のような物を持ち、中身の何か不気味な色をした液体をバッホーンたちにかけていたようである。
その姿は、ボロボロのローブのような物を纏い、頭にはヴェールのような物を付けてその姿はいまいちわかりにくい。
ただ、そのむき出しになっている手とかの肌色は青白く、まるで死人のような・・・・。
・・・なんとなく、やばいところに遭遇した気がした。
シリアスに行く?行かない?