183 モンスターにもいろいろと
ちょっと公認モンスターについての話あり
「・・・なるほど、公認モンスター『リッチキング』がその捜査上に出て来ちゃったというわけか」
ゴーレムタウンにて、神龍帝ことアルはファーストからその報告を受けていた。
先日の窃盗団のボスが使用していた禁止薬品の出どころで、その製造者を調べたところ、まさかの公認モンスターが製造したという事が判明したようである。
「しかも、ザップリンさんの知り合いにあたるようなやつか・・・・4年に1度ぐらいの頻度で訪れてくるとか聞くやつだっけ」
オリンピックみたいな感じだな。
それで大体計算すると、来年ぐらいに現れる可能性はあるようだけど。
「調べて出てきちゃったので、これ以上このことを調べるのはやめたほうがいいかもしれませんが、禁止薬品の製造をしていたという問題があるので報告したのデス」
「とはいえ、そいつ自身がどういう理由で製造したのかも不明だし、下手に関わらないほうがいいだろうな。公認モンスターな時点で特にね」
公認モンスターとはいえ、誰もが同じような奴ではないのはすでに学習している。
人との接触を嫌うやつや、秘境と呼ばれるようなところに住むようなやつもいるわけで、関わりを持ちたくないというやつが普通にいる。
また、人の生活に普通に交じっていたりとか、もしくは適当に迷宮でからかって遊んでいるようなやつもいるらしい。
単純に積極的に人と交わるか交わらないかで考えればわかりやすい。
デュラハンのガッバーナは前者の方だろう。あいつは武者修行で各地を旅し、祭りのときには戻ってきて警備の方に役に立っている。
吸血鬼のゼノは後者。どこか人里離れ、誰も知らないような森の奥深くで、奥さんたちと共に住んでいて、あまり表に出ることはないようだからね。
俺はまあその中間ってところだろう。森の奥深くで暮らしてはいるけど、一応人との関わりとしては多い方だし、まだそう言った区分を付けることはしていない。
・・・いつかはそのあたりの区切りをつける日は来るのだろうか。
まあ、そんなことは今は考えたくないけどね。
とにもかくにも、こういう感じ公認モンスターとは言っても、それぞれ個性があるし、そう言ったことから考えても不干渉の方がいいだろう。
いくら禁止薬物を扱っていようがいまいが、ぶっちゃけ自身の生活が脅かされなければそれでいい。
とはいえ、まあ興味はあると言えばあるな。人じゃなくてモンスターだから、奇想天外な常識外れのようなこととかを思いつく野郎だったりするしね。
「というわけで、一応意見を聞きに来ました」
「なるほどのぅ、リッチキングか・・・・」
なので、とりあえずその公認モンスターと知り合いらしいザップリンさんのところに尋ねに来ました。
意見というならば、この人のを聞いておけば結構良さそうだしね。
「俺のゴーレムたちが調べたことのようだし、どれも事実だが・・・・下手に関わらないほうが良いのかなと思ってな」
「リッチキング・・・それも、儂の知り合いの公認モンスターの奴かのぅ」
詳細な情報が書かれた書類を見て、ザップリンさんはため息を吐いた。
「はぁ・・・あやつも面倒ごとを持ち込む奴じゃったわい。自身の研究の傍らで、こういう薬品を売買して研究費を稼ぐという真似をするからのぅ。今回のこの禁止薬品もおそらくそれじゃわい」
・・・どうやら、この公認モンスターは何かを研究しているらしい。
そして、昔からその研究費のために問題ごとを何か起こすようなことがあったそうな。
「悪意無く、純粋にやるからそれがまた面倒でな・・・・しかも何か人の役に立つようなことで成功しているからろくに文句も言いにくい奴なんじゃよ」
なんでも、そのリッチキングはアンデッド系のモンスター、つまりは死んでいる人であるので寿命の概念が特にないらしい。
で、それで長い時間をかけて興味を持った研究をやり続けた結果、膨大な量の研究を抱え込んで、研究費とかも自力で稼いでいるのだとか。
整理整頓がなかなかできない、やりたいことを何でもすぐにやってしまうような人であり、そのせいで本当に物凄い量の研究をしているそうな。
しかも、その研究というのが万病薬だったり、新しい病気の治療法だったりと人の役に立つようなものが多いそうな。
そして今回の禁止薬物の件だが、おそらくその研究費の一環として製造しちゃったのではないかという見方らしい。
「なにせ、そ奴の意見としては『薬は用法容量正しく使えば害はなく、それを守らないやつがいるからこそ禁止薬物という悲しい分類にされるのだ』と言っておったからのぅ」
「薬に分別を付けずに製造するってことですか」
つまり、禁止薬物とかそういう分類分けをしたのは、正しい仕様豊富尾でない例があったせいだからという思いがあるようだ。
「まあ・・・悪いやつではないからのぅ、手紙でも書いておくかのぅ」
住所ははっきりしているそうで、一応今回のその禁止薬物の事を注意するようである。
とにもかくにも、研究馬鹿とかいう感じなので接触をしないほうがいいかな。うかつに関われば絶対めんどくさいだろそのタイプは。
めんどくさそうな研究馬鹿の気配を感じ取れる。
でも悪い奴でもなさそうだし、そう言う役に立つ研究をしているのなら援助を受けられそうなものだが、結果が出るまでに時間がかかり過ぎる上に、そのリッチキングは自力で出来るだけやるのを信条にしているようである。
・・・・登場はいつになる事やら。