182 一緒に買い物:終了
人の買い物に付き合うのは・・・・・
SIDEアル
・・・この日俺は学んだ。
「・・・装備以外の物も結構多く買ったな」
「ええ、依頼報酬とかでお金もたまっていたから、つい消化したいと思ったのよね」
少々疲れた声でつぶやくと、ラン王女は機嫌良さそうな表情で返事した。
ラン王女と本日は買い物を一緒にしていたのだけど、そこで女の人の買い物に付き合うのは思った以上に大変だったとよく学んだのである。
というか、ラン王女って戦闘面でのイメージがあったけど、こうやって過ごしてみると普通の女の子と変わらないところもある。
けれどもね、ファッションセンスって俺に問われてもどうすればいいんだよ!!
装備の方だけじゃなくて、普段着の相談っていろいろと困るんですが!!
精神的に超疲労した。この世界に生まれて、ここまで疲れたのはいつ以来だろうか・・・・・・というか、疲れたことあったかな?
まあ、荷物持ちになるような未来は避けられたのはよかっただろう。
何せラン王女には、以前あげた魔道具「収納袋」があるので荷物がかさばることは特にないからである。
いや本当に作ってあげてよかったよあの魔道具・・・・ちなみに、商品化の予定は今のところない。
元々劣化版というか、参考にした様なものが魔道ギルドとかで高く取引されているし、俺が作った奴だと収納量がそりゃもうとんでもない奴になるもん。
さすがに四次元ポケ○トクラスにはなっていないけど。でもいつかは某青い猫ロボのような真似をしてみたい。
「にしても、新しい装備って言ってもその靴とかで良かったのか」
「ふふふ、魔道具の一種なんだけど、これが案外使い勝手が良いのよ」
ラン王女の今日の買い物を思い出して尋ねると、微笑みながらラン王女は答える。
本日の買い物で買った品の一つ、魔道具「突爪乱脚」だけど、これって結構使い勝手がいいんだよね。
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「突爪乱脚」
星4クラスの魔道具。
武闘家など、格闘術系統に頼る冒険者の間では人気の商品。このクラスの魔道具としてはお手軽な価格であり、普段は普通の靴として、戦闘時にセットされた魔石の魔力からできた爪が飛び出て加速し、蹴りの威力を上げるのである。
爪を出す前に魔石をセットする必要性があるのだが、セットする魔石によって様々な属性付与効果が出てくる。
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要は魔石を原動力として爪を出す仕掛けのようだが、その魔石によって爪が変化するようである。
岩の爪、鉄の爪と言った物から、炎を纏った爪、水で出来た爪と言った具合にあるらしい。
ただ、本当にどのようなものになるかは不確定なのが多いそうで、同じ種族のモンスターの魔石でも個体の差があるらしい。
試して気に入ったものを探していく作業があるようだけど、まあ面白そうと言えば面白そうなものだ。
「今日はアルと一緒に買い物できたのは楽しかったわ。また機会があれば一緒にまた買い物しましょう!!」
「機会があればな」
その後分かれて自宅に帰って来たけど・・・・できればまだ先であってほしい。
いや本当に人の買い物に付き合うのって疲れる・・・
「・・・・よし、今度アルと一緒に私も買い物に行く予定はこれで完璧です!!」
ちょうどアルが自宅でぐだんと脱力している頃、ようやくデート計画を練ったアリス姫が今まさに携帯で話しかけようとしていたのは言うまでもない。
そして、断り切れないので翌日アリス姫とまたデートしに行くことになったのだが、これはまた別のお話・・・・・・。
・・・・アリス姫とのデート後、ファーストが禁止薬品の製造者についての話を切り出せたのはそれから4日後である。
精神的に疲れました。アルだって中身はもともと人間だし、男の子ですからね。無意識のうちにラン王女やアリス姫に好意を抱いているんですよ。