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178 企み・バレバレ・そして

いろいろ混ざってきそう

SIDE 窃盗団


・・・スラムのとある一角にて、こっそりある計画を話し合う者たちがいた。


「・・・では、あちこちの警備の状態や、手薄そうな場所は確認できたのか?」

「間違いない、この首都でも警戒が薄いところがあるからな。商業区画は警備が厚いのだが、それでもやはり隙間はある」

「いくらか賄賂を渡して見逃してもらう方法だけは仕えそうにないですぜ。真面目のやつが多いんでさぁ」



 一人はやや太りぎみの中年の男性、一人はほおがこけ気味だが眼光が鋭く身が細い男性、一人はいかにも田舎者を装っているような男性であった。


 彼らはそれぞれ見た目も体格も性格も違うとはいえ、とある窃盗団のメンバーであった。


 其の名も「神速の風」という、カッコつけのような団名だが、そこそこ有名な窃盗団でもある。



 商会の店舗を狙い、その金品や売り上げを強奪し瞬く間に奪っていく窃盗団で、適当な都市へと潜り込み、団員はそれぞれ変装して何食わぬ顔で紛れ込み、襲うところを狙ってから襲撃をかけて金品を奪う。


 そして、盗んだ金で各地にある賭博場や娼館などで費やして、瞬く間に浪費し、無くなったら窃盗を繰り返すという豪快かつ大胆な奴らでもあった。



 指名手配はされているのだが、彼らはそれぞれ変装がうまく、こうやって首都の中に潜り込むことができているのである。


 そしてこの都市に来て、彼らはこの都市にある様々な商会をも狙っていた。


 その最終的な調整を兼ねて、窃盗団の代表格でもあるこの3人が集まっていたのである。


 

「商業区画のこの商会、あの商会、そしてそこの商会・・・あちこちにたくさんあるが、どれもこれもなかなか儲けていそうなやつばかりだ」

「警備もその分すごい。特に、ここ最近絶好調なここにある商会は店の奴がゴーレムだとか」

「ゴーレム相手に薬は効かねぇんでさぁ、一番儲けているのはわかっているのに、一番ここほど窃盗には向いていない店もないんでさぁ」



 地図を出し、この都市の商業区画の商会の店舗を確認し、何処をどう狙うのか話し合い、他に都市にこっそり潜入している仲間と合流し、いつ決行に移すのかの最終確認を彼らは熱心にスラムのその一角で行った。


 最近にぎやかになってきて、縮小されてきているとはいえ貧しい区画でもあり、人があまり来ないような場所である。


 こういうところほど話し合いに向いているところは都市には他にはなかった。



・・・・ただ、彼らは運が悪かったのだろうか。それとも、ここに来る前に訪れた賭博場で大勝ちし、夢のような時間を過ごしていたことがあったせいで運を使い果たしていたのだろうか。


 その彼らの話し合いの様子を、まさか詳細に記録、録画して見ていた者が居たのだとは夢にも思っていなかった・・・・・。






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SIDEギルド


『~~~~~で、この商会を襲うのは明後日の夜に決行だな』


「と、この通り見事に全部聞いちゃった」

「なるほどのぅ、まさかそ奴らのような者が居たとは」


 ギルドの執務室、ギルドマスターのザップリンは、神龍帝のアルが見せた映像を見てため息をついた。



 そう、その男たちが話していたまさにそのすぐそばでアルが見て聞いちゃっていたのである。


 この録画機能だけを集中して、ムービーカメラのように使える魔道具(マジックアイテム)を作ろうかと実はファーストが検討中だったりもする。


 その試作として携帯に組み込まれていたのを、これ幸いと思いアルはその様子をきれいに撮影していた。




「いやね、適当にうろついていたらまさかこんな現場に遭遇するとは俺も思っていなかったんだよね」


 まあ、とれるものはとってしかるべき場所に提出してやろうと思って、一番そう言うことにうってつけそうなギルドに来たのである。


 衛兵とかがいる場所に出してもよかったけど、一応どこかでこいつらの仲間とつながっている人がいる可能性もあったからね。安心と信頼はザップリンさんにあったからだよ。



「しかしのぅ、まさかそ奴らもよりによって計画のその現場をアルに撮影されるとは・・・・不幸というべきか」


 ザップリンは思う。


 公認モンスターが都市に訪れ、そのスラムに訪れ、さらに偶然その話し合いをしている現場に遭遇されてこのように撮影されるとはどれだけの奇跡的な不運をこの窃盗団の者たちが持ったのだろうかと。


 しかも、よりによって商会を持ってもいる神龍帝の目の前で、いくつもある商会を襲おうとする奴らである。


「普通に俺自身が動いてつぶすというのもありだとは思ったが、それだとちょっといまいちね」


 直接動いて、決行前に叩き伏せるということはできる。


 でも、単体で動くのはちょっと面白みはない。


「どうせなら、心の底からポッキリか驚かせた方が面白そうだと思ったんだよな」

「・・・ならば驚かすの方じゃな。ポッキリは少々やり過ぎるじゃろうしのぅ」


 というか、エーゼット王国の末路の件もあって、驚かせるほうじゃないと後々やばそうな予感がザップリンにはしたのであった。



 まさに、英断とも言うべき行為でもある。



 この後、アルとザップリンは話し合う。


 どのようにしてこの窃盗団を捕らえ、そこに至るまでの過程にどのような仕掛けをするべきか。


・・・・最終的には、ザップリンもノリに乗ったのは言うまでもない。


 好々爺でみんなのお爺ちゃんでも、はしゃぎたい時はあるんですよ。





・・・次回、窃盗団を捕らえる予定だけど、今のところキャストセッティング中。

シナリオ:アル&ザップリン

捕えられる者たち:窃盗団

エキストラ:冒険者の中でもこの作戦に乗ってくれそうな人たち。


哀れ窃盗団。見つかったのが運のつきでもあり、こうして面白みが欲しいからという理由でさらにひどい目に。

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