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177 紛れてめぐる

花粉症予防、しっかりしないと本気で死にかけますよ。

 アルの住む開けぬ森から近いところにある、ルンデバラート国の首都のランダナムでは、今日もあちこちではにぎやかな話声や喧嘩話などが聞こえていた。


 東西南北に区画分けがされており、森のある方面でもある東側区画は、冒険者ギルドや冒険者たちの宿泊所がある冒険者区画、正反対側の西側の区画は商業ギルドやその他商人たちが経営している店がある商行区画、そして北側の方にあるのは、この国の議会の議員たちが住んだりしている議会区画である。


 そして南側にある区画・・・通称「スラム区画」だが、現在縮小されており、貧しい人がいなくなってきて冒険者区画と商業区画がまじりあい、活気を生みだしていた。


 

 ・・・・スラム区画が縮小されて、にぎやかになってきたのは神龍帝であるアルの影響が実は結構ある。


 アルの作ったゴーレムたち、彼らが作った商会では儲けが出ており、その儲けの一部を商業税として商業ギルドに収めて、さらにギルドから国へと収められているのだが、その金額がかなり大きいものになっている。


 そのため、税を予算として扱っている国はその分スラムの改善に回すことができ、スラム区画がどんどん縮小されてきたのである。


 貧しくて働き手がなかった人たちはその区画の整備や建物の建設のために働きとして職を得て、親がいなかった子供たちは、建てられた孤児院にて預けられ、ある程度の職業訓練を受け働いたり、冒険者として活動するようになり、その収入を渡したりしている。


 そのため、どんどんスラムは縮小され、貧富の差が埋められていったのだ。


 


 とはいえ、この状況を面白く思わない人が居たりもする。


 そう、スラムで薬物を売ったり、金で雇って盗みを働かせて雇う金額以上に稼いでいたりなどした者達である。


 スラムが浄化されて綺麗になればなるほど、そう言う人たちにとっては住みにくい場所となってゆくのだ。


 さらに、ここ最近国の方でも汚職をしていた者たちを次々と摘発して取り締まっていたりなどと、彼らとつながっていた貴族たちが恐れて縁を斬ったりして、さらに厳しい状況となっているのである。


 まっとうに職について働けばいいのだが、根まで腐ってしまった人にはそのようなことを考え付く脳みそまでないのだろう。


 いわば、生きたゾンビのような腐れ外道という存在になっていた。


 なお、ゾンビというモンスターもいることはいるので、彼らにとって失礼だという意見もあったりする。





 そんな色々な人が交錯するスラムの中を、アルは歩いていた。


 いつもは森や、ゴーレムタウン、ベーシックの迷宮(ダンジョン)へ行ったりするけど、たまにはこういう街の中も歩きたい。


 一応、神龍帝の人化しているこの姿はすでに結構広まっているそうなので「認識障害」という魔法を「創造魔法」のスキルで新たに作成。


 名前の通り、一目見てもすぐに誰とはわからなくする魔法である。


 要は、背景に溶け込むモブのようになる魔法ですよ。そういうのってよく覚えていないでしょ。



 まあ、単にお忍びでここに紛れ込んでみているってだけです。


 普通に歩いていても問題は特にないけど、絡んできそうな馬鹿とかがいたときに正体を隠しておき、いざって時にその真の姿をばらす、なんてことをやってみたいという思いはみじんもない・・・・・・・と言い切れない。


 いやだって、俺だって一応人の子ですよ?モンスターとして転生しているけど、中身は人ですよ?





 適当にスラムを歩いてみているけど、特にこれといった問題は起きていない模様。


 あちこちがきちんときれいに清掃されているし、冒険者が歩いたり、商人が適当に店を開いたりとなかなかにぎわっている感じだ。


 この様子ならば近い将来、スラムは完全になくなって、路頭に迷うような人がいなくなるであろう。


 ただ、ここで問題になるのがそういうところで新たに汚職とかを考え始める人である。


 整備費用とかで横領したり、何か起きても賄賂を渡してなかったことにしたり・・・・そういうことをする輩はどこにでもいたりするからね。



「とはいえ、そう言うやつらにそう簡単に遭遇はしないか」


 何もないことに思わずつぶやいちゃったけど、まあ平和が一番である。


 がっかりとかは別にしていない・・・・していないと思いたい。




 しかしながら、こうやって適当に歩き回っても平和なところを見ると、治安はいい方なのだろう。


 少し情報を集めて聞いてみたらその理由の一部が「公認モンスターがよく関わっている場所だから」と答える人もいたが。



 デュラハンのガッバーナ、神龍帝のアル・・・まあ俺だが、あとまだあったことがないリッチキング、などと言った者たちが訪れもする場所だ。


 国を亡ぼすレベルの者がこの場所に決まって訪れるというのも、世界的に見れば異例なほうであろう。



 人と関わらないよう生活をしているやつや、あちこちを旅している者、そもそも人が訪れることができないような過酷な環境にある場所に公認モンスターたちは住まう。


 そのため、こういう都市とかに訪れるというか、人によく関わってくるようなやつが稀みたいなのかもしれない。



 そのことを改めて認識しつつも、冬のその位置には過ぎていくのであった。



・・・あ、帰り際までは平和ではなかった。


 残念ながら何やら怪しいおっさんたちが怪しいことを企んで話し合っているのを見ちゃったからね。


 せっかくなのでその企みをつぶさせてもらおうか。


 後々厄介になるのも困るし、悪い芽は速めに摘んでおかないとね・・・というか問答無用でつぶす。

アルに見つかった奴ら、おそらく最高に運が悪かったのだろう。もしくはどこかで使い果たしていたのだろう。


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